2014年に始まり、毎年行われてきたゲームマーケット大賞が、第5回で終了することが秋のカタログで明らかにされた。理由は「ゲームマーケットで発表されるゲームの数が増加の一途をたどっている」「より多様な意見から選ばれる賞を創設したい」の2点。当サイトの管理人は設立当初から審査員を務めており、ほっとした気持ちと、残念な気持ちが入り混じっている。
この賞の設立に携わり、私が一貫してこだわったのが賞の中立性である。ドイツ年間ゲーム大賞の設立に携わったT.ヴェルネック氏が15年前、メールで次のように述べている。
私の調査では、現在世界には100種類ほどのボードゲーム賞があるが、その中で本当に意味のあるものはわずかである。多くは「ゲーム・オブ・ジ・イヤー」(またはその他の名前)を名乗っているだけで、よくよく観察すると、ボードゲームメーカーや販売店から独立していない。消費者はバカでない。審査員が本当に独立して中立的でないことに気付いている。そうなれば賞の価値はないに等しい。
ゲームマーケット大賞を主催するのは、事務局を置いているアークライト社である。そのため話し合いの末、自社の作品を選考対象から外し、受賞作品の版権の自由を保証することが賞の規約に盛り込まれた。営利企業であるアークライト社が、ゲームマーケットを盛り上げたいという思いでこの項目を受け入れてくれたのはありがたいことだった。
いざ審査が始まると、ゲームマーケットで発表された新作を可能な限り遊んで評価するということがいかに大変なことか分かった。しかも回を重ねるごとに新作は急増していく。第1回で対象となった新作は522タイトル、第2回が573タイトル、第3回が733タイトル、第4回が906タイトル、そして第5回が1276タイトル。4人の審査員がそれぞれ、あらゆる手段で情報を収集し、試遊しまくっても、「面白い作品を見逃しているのではないか」という不安が拭えない。
それでも何とか審査してこられたのは、頼もしいほかの3人の審査員はもちろんのこと、刈谷圭司氏はじめゲームマーケット事務局の尽力によるところが大きい。ゲームマーケットの準備で多忙な中、出展者からの情報をまとめて新作リストを作成し、サンプルを収集して整理し、審査員の求めに応じて追加でサンプル購入したり、自宅に送ったり、社内の会議室を提供したりして頂いた。授賞式の段取りや賞品(楯や賞状)の準備、ウェブサイトやカタログでの告知ページ作成も全て事務局の仕事である。審査員に意見の相違があるときには調整まで行ってくれた。利益の出ないこの賞に、これだけの労力を払ってもらったことは感謝してもしきれない。
今後のゲームマーケット大賞について審査員が「今後タイトルが増えても選考は可能である」といえたのは、そのようなサポートがあったからにほかならない。しかし、ゲームマーケット事務局から野澤邦仁氏が「KAIJU ON THE EARTH」プロジェクトなどを担当する部署に異動となり、松尾壮紘氏がアークライト社を退職することになった。こうしてこれまでのようなサポート体制が難しくなったことが、ゲームマーケット大賞が終了することになった背景である。しかしこれはアークライト社に対する不満ではない。カタログでは「4人の審査員が引き受けて下さっていることがすでに奇跡」と労って頂いたが、この5年間継続して事務局のサポートがあったことがすでに奇跡である。
次回から、より多様な意見から選ばれる賞として、ゲームマーケット来場者による投票で選ばれる「ゲームマーケットセレクション」が始まる。不正投票がないように、チケットのシリアルナンバーで投票を管理するという。これに加えて識者がお気に入りの新作を自由にコメントするコーナーをカタログ掲載し、読者が自分に合いそうなゲームを見つけられるようにする。また、アークライト社が製品化を保証する「アークライト・ゲーム賞」も併せて設立される。投票、識者コメント、アークライトによる製品化の3本が、ゲームマーケット大賞の後継を担うことになる。いずれも急増する新作に応じたものとして妥当なものだと思う。当サイトの管理人も、審査の過程で経験したことを活かして、国産創作ゲームを応援していきたい。
・雲上四季:ゲームマーケット大賞の終了に伴い審査員を終えて思うこと
・ふうかのボードゲーム日記:ゲームマーケット大賞終了に寄せて
わたくしの六角版震災島や
六角版毒ガス塹壕戦も、是非とも
アークライト様から
製品版にしていただけるよ精進します
今のとこ4年もの歳月をかけてテストプレイをしたり調整してますからね
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