ジンバブエトリック(Zimbabweee Trick)

祭りは急激に終わりを告げる
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アフリカ・ジンバブエではムガベ独裁政権による経済政策の失敗により、300兆ジンバブエドル=1円というハイパーインフレが起こった。ひと目ではいくらか分からないような膨大な数字を、トリックテイクに落とし込んだ作品。ゲームマーケット2019春でサークル倦怠期より発表された。
配られた手札を見て、何トリック取れるかを予想する『ウィザード』系のトリックテイクである。マストフォローだが、スートはなく数字をフォローする。自分がプレイしたカードは一の位から累積していき、その累積したもので勝敗を決める。
例えば最初のプレイヤーが「7」を出したら、「7」を持っていれば出さなければならない。「7」を持っていなければ、「9」などを出して勝ちにいくか、「6」などを出して負けるかを選べる(全員が「7」を出したら最後に出した人の勝ち)。
勝った人から2周目に入るが、次に出したカードは十の位となる。例えば「6」を出せば前に出したカードを合わせて「67」。十の位が全員が同じだと、一の位で比べることになる。
これを12回行うと、最後は千億の位まで伸びる。カードを出すたびに数字を言うルールがあり、「8665億5888万9396!」なんてことになる。
ゲームを面白くしているのは「10」というカード。一桁上がるので勝ちやすいが、次は「1」の上に上書きされ、その下の位が「0」であることによって負けやすくなる。勝ち数の予想がしやすくなるカードだ。
12トリックが終わったら得点計算。予想通りなら1トリック2点、予想が外れたら1トリック1点だが、最も多くのトリックを取った人は「破産者」で0点になってしまう。そのため、終盤まで弱い数字を残しておいて、わざと負けられるかが鍵となる。ところが数字の構成が「1」は1枚、「2」は2枚……「10」は10枚となっていることから、小さい数字ほど少なく、勝つことより負けることが難しい。
みんなが調子に乗っているときは一緒に調子に乗って、肝心なところで手を引く。勝つか負けるかのヒリヒリしたスリルもさることながら、お祭りの高揚感と、お祭りが一気に終わっていく虚無感がテーマを見事に表現していて面白い。ジンバブエの特産物をさりげなくあしらったカードのアートワークも素晴らしい。
ジンバブエトリック
ゲームデザイン・新澤大樹/アートワーク・菅原美沙穂
倦怠期(2019年)
3~4人用/8歳以上/20分

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