まもなく開店2周年を迎える大阪・八尾のボードゲームカフェ「inst(インスト)」を訪問し、代表の「てっち」こと泉谷徹ニさんにお話を伺った。
10:30のオープン。ボードゲームカフェで午前中からオープンしているところは珍しい。22:30まで12時間、お店は開いている。定休日は水曜日だけだ。
大阪の地理に詳しくなかったが、八尾はなんばから近鉄で25分しかかからない。八尾駅からお店までは徒歩1分。ボードゲームカフェがひしめく大阪市内からのほどよい距離が強みになっているようで、八尾の遊び場としてテレビや新聞で取り上げられ、地元中心に新規のお客が多いという。
お客は近くの近畿大学のゼミ生と先生、パチンコ屋店員、パティシエなどさまざま。「軽音経験者が多いような気がする」という気さくに話すてっちさんは、店内にギターを置いていてお客の前で弾くこともある。
料金体系も変わっていて相席割引があり、お客の交流を促している。こうして飲み会帰りの人が『かえるさんジャンプ』に夢中になったり、木曜の夜に時間のかかるボードゲームが遊ばれたりと、居心地の良い空間を生み出す。今回も、取材が終わってから遊びに来ていた女性の方とすんなりとボードゲームを楽しむことができた。
ベーグルを注文。ケーキ屋さんが作っているそうで、柔らかくて味わいがあり、たいへん美味しい。
生ハムとチーズクリームサンド。カフェオレを付けて
駅の近くに「リノアス」というショッピングモールがあり、その中で中小企業が子供向けのワークショップなどを開催する「みせるばやお」にも出展している。直近では3月24日に行われる「ボードゲームは、いとを菓子。~春のゲームまつり~
そのような中で、新規のお客向けに国産の面白いボードゲームを紹介しようと始まったのが「ボードゲームセレクション」である。昨年のゲームマーケット大阪前に「プレゲムマウィーク」を開催したのがもとで、今年は9店舗共同で大賞・店舗賞を選定するまでに至った。作者にとっても強力なプロモーションとなり、ボードゲームカフェにとっても競合店が多数ある中で存在感を示すことができる。
エントリーした作品をお客に遊んでもらい、反応をもとに選定したinst賞は『謎解きは形容詞のあとで事件簿』(万屋楽団)。中央に伏せられた1枚を、形容詞をヒントに消去法で当てる協力ゲームだが、形容詞がランダムなので拡大解釈してヒントにしなければならない。その意図を読み取れたときの気持ちよさと、意味が分からなかったヒントを後で教えてもらったときの驚きは、優れたパーティーゲームの要素である。
『謎解きは形容詞のあとで事件簿』
各店舗賞はそれぞれのお店のカラーがにじみ出ているが、てっちさんがニコニコしながらルールを説明して、そういったパーティーゲームをワイワイ楽しむ姿が容易に想像できる。ほかにも『テレストレーション』『適当なカンケイ』『ヒト+イロ』などが人気だという。
地域密着で相席を促し、パーティーゲームで盛り上がれば、新しいつながりが生まれる。ベーグルも美味しく、物販も充実した品揃えで、オールインワンのボードゲームカフェだ。
inst(インスト) [Web
大阪府八尾市北本町2-4-6加藤ビル2F/TEL:072-968-7163
近鉄八尾駅徒歩1分/10:30~22:30/水休