近年、企業や地域などいたるところでワークショップ(参加型講義)が開かれているが、その多くはワールドカフェ方式(グループに分かれて相談し、出てきたアイデアを付箋に書いて模造紙に貼る)である。多様で活発な意見が出やすい一方、アイデアの評価をしないで終わるため、広げるだけ広げて収集がつかなくなったり、現実的・非現実的なソリューションの区別を付けられなかったりする。
本書では、参加者に質問や要約を促す対話的学習法、「他者について知る」「記憶と協力」「チームワーク」「偏見や排斥を学ぶ」といった特定の学習目標に関連したゲーム、「ジョルト」と呼ばれる短いエクササイズを合計38種類紹介する。
写真にお題をつけて当ててもらうコミュニケーションゲーム、次点まで支払わなければならないオークション、記憶力で行う三目並べなど、シンプルながらありきたりではなく、考えどころのあるゲームが多い。パズルを解かせてその仕事ぶりで管理職チームがリストラしていくゲームまである。
結構準備するものがあって、またファシリテータの手腕も問われそうなものも多く、ワークショップで使うには周到な準備が必要になりそうだが、その分だけ効果は高そうだ。面白いアイデアだが難しそうだと思ったら、簡易版にアレンジして使うこともできる。ペアになって思い出を脚色し合う「おもしろい思い出」はこの頃よく、ポジティブな親子関係を作るという狙いで講演中に使わせてもらっている。
著者は「毎日1つはゲームを作っている」という。ゲームデザインに関わっている人には、こういった非ボードゲーム系のゲーム紹介本はアイデアの宝庫ではないだろうか。