予想に寄せていくスタイル
孔雀の羽にカードを差し込むインディアンポーカータイプのトリックテイキングゲーム。自分の手札は見ることができず、隣の人に選んで出してもらう。トリックを多く取ることではなく、予想を当てることが目的。各プレイヤーの思惑によって結果が予想にだんだんと寄せられていくところが面白い。
カードを配られたら、中身は見ず、ほかのプレイヤーに見えるようにして孔雀に差し込む。ほかのプレイヤーの手札をじっくり見比べて、順番に誰が何トリック取れそうかを予想する。自分の予想はいきなりできないので、ほかのプレイヤーの予想が終わってから最後に行う。
さらに「信任カード」というものを1枚選ぶ。これはスーパーひとしくんのようなもので、指定したプレイヤーについて、自分の予想が当たっていたら得点、外れれば失点というものだ。普通は、ほかのプレイヤーと予想が一致しているところに賭けるのがよさそう。
そして実際にトリックテイクを始める。自分の手札は見えないから、右隣の人に選んで出してもらう。切り札ありのマストフォローというオーソドックスなルールだが、コントロールはお互い完全に右隣の人に握られている。リードカラーがなくなっても、切り札の色を出すか、そのほかの色を出すかは相手次第。
しかし目的は多くトリックを取ることではなく、予想を当てることである。右隣の人は自分の予想が当たるように調整してくる。それがほかのプレイヤーの予想と一致していれば問題はない。問題は予想が違うときである。
予想が違う場合、全員が協力して調整することはなくなり、右隣の人がいくら頑張っても勝てないように(あるいは負けないように)ほかのプレイヤーがカードを出してくる。どのカードをリードすればいいのか、先の先を読む思考が問われる。これは自分の手札しか見えない通常のトリックテイキングとはだいぶ異なるプレイ感覚である。
1ラウンドが終わったら予想の当たり外れを元に得点計算して、次のラウンドへ。3ラウンドで合計得点の多い人が勝つ。
予想は手札の評価だというのがトリックテイクの基本だが、このゲームは、プレイングで予想を曲げられるため、あえてほかのプレイヤーと違う予想をして、自分だけ当たるように仕向けることもできる。そこに生まれる当事者以外のプレイヤーの攻防が熱い。会話の中に談合やブラフまで生まれてくると、ゲームはまた違った様相を帯びるだろう。
先読みの要素と、トリックていくとは思えないほどの会話量が独特なプレイ感を生み出している作品である。
ゲームデザイン・A.ポーター/イラスト・R.ペターソンズ
ブレインゲームズ(ラトビア)+ホビージャパン(2018年)
3~5人用/10歳以上/30分