季刊『プレジデントFamily』2017冬号と『AERAウィズキッズ』2017冬号にボードゲームの特集が掲載されている。これまでも時折ボードゲームを紹介している2つの教育誌、今回はどのように取り上げたのだろうか。
「論理力が育まれる」「協働力が育まれる」「EQが育まれる」という3つにジャンル分けして6タイトルずつ。『カタン』『パンデミック』『K2』などやや重めのボードゲームや『ブラフ』『スカル』『人狼』などの嘘をつくゲームが目立ち、キッズゲームは『キャプテンリノ』程度。全体的に対象年齢が高い。
最後に「ボードゲームでなぜ、頭がよくなるの?」というコラムがあり、PDCAや非認知能力に触れられている。とはいえ、効用よりも夢中になって遊べるところが最大の魅力であると結ぶ。
ジャンル分けも「スピードを競う」「アクションを楽しむ」「戦略を練る」「協力で乗り切る」「推理を深める」「記憶力を高める」「数字感覚が身につく」「運を楽しむ」というようにボードゲームのタイプで行い、29タイトルを紹介する。対象年齢は低めで3~4歳から遊べるものも。国産の『じゃぱらん』『タギロン』や、台湾の『ワンニャービスケッツ』、リトアニアの『メイ・カー』『いろどりシティ』などバラエティに富んでいる。
はじめに1ページを使って解説コラムがあるが、ボードゲームで相手のことを理解できるようになり、仲間と相談して決める力が磨かれるといったコミュニケーションスキルの効用を強調する。
こうして見比べるとボードゲームの取り上げ方が対照的である。知育か楽しさか。子育てに限らず、子どもとボードゲームを遊ぼうというとき、知育を前面に出して狭く深く教育熱心な親の関心を引くか、楽しさを全面に出して広く浅くアピールするかの選択は常にありそうだ。前者では難しそうと思う親や、楽しくなさそうと思う子どもが敬遠するかもしれないし、後者ではほかの娯楽との差別化がはかりにくい。
とはいえ遊びと学びは別物ではない。「ボードゲーム楽しそう」というのが先で、結果的に知育効果があるというのでもいいし、「ボードゲーム頭良くなりそう」というのから入って、結果的に楽しめるのでもよい。さまざまな考えの親子に対応して、いろいろなチャンネルがあることが望ましい。それゆえ、こうして同じ時期に異なる切り口で2誌に取り上げられていることは愛好者として嬉しいことである。