ゲームマーケット2017秋(2日目)レポート

昨日に引き続き、2日目のゲームマーケット2017秋。2日目が開催されるのは史上初である。1日目と比べると出足はゆっくりで、開場時の待機列は1200~1300人(Raelさん調べ)。それでも開場後の来場が多く、最後まで賑やかなイベントだった。
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ゲームマーケット大賞の結果は……?
日曜のみ出展のブースをチェックした後は、ゲームマーケット大賞の授賞式に参加した。今回唯一の会場内イベントということもあって、会場の一番奥だったにも関わらず80名近くが集まった。司会はいけだてつや氏、アシスタントは珠洲ノらめる(しゅぴ~る遊園地)さん。
先月4日に発表されていた優秀作品5タイトルの制作者に表彰状が渡された後、キッズ賞とエキスパート賞、特別賞、そして大賞が発表された。
【ゲームマーケット大賞2017】
大賞:8ビットモックアップ (さとーふぁみりあ)
優秀作品・キッズ賞:Kittys(リトルフューチャー)
優秀作品・エキスパート賞:エンデの建国者(imagine games)
優秀作品:イアルへの道 -Path to Yaaru-(梟老堂)
優秀作品:ボブジテン(TUKAPON)
特別賞:-KUFU-(るりるりゲームズ)
大賞を受賞した『8ビットモックアップ』のイラストレーター・長谷川登鯉氏に草場純・審査委員長が賞状と楯を授与
デザイナーのさとーとしきさんは北海道に向かっているとのこと。長谷川氏が「お酒飲めないんですけど、さとーさん、手伝ってくれた皆さんと飲みに行きたい」とコメントしたところ、いけだ氏が「さとーさんも喜びの牛乳を北海道で飲まれると思います」としめた。

というわけで、さとーさんにはメールでインタビュー。長谷川さんが8ビットを提案したのは、タイルに入る斜線のデザインからで、『ポピュラス』『ドラクエI』『ゼビウス』などをイメージしたという。
TGiW:このゲームの制作経緯を教えてください。
さとー:2016年の冬にシステムが完成し、そこからテーマ決めや微調整を加えていきました。でも最初は製品化するかどうかかなり悩んでいたんです。『カルカソンヌ』や『カルバ』に似たシステムなので新規性の薄いゲームを世の中に出していいのか迷っていたんです。最初に長谷川さんに相談したときに「8ビットはどうでしょう?」と持ちかけられ、それだ!とひらめいたんです。既視感があろうが8ビットの世界を作りたい。それがこのゲームの誕生です。
TGiW:工夫したところ、苦労したところは?
さとー:説明書はかなり校正をかけました。2016秋のときに、説明書についていろいろと物議をかもしたので、お手本となるような説明書を作ろうと、かなり念入りに作りました。
TGiW:受賞してひとことお願いします。
さとー:多くの方に支えられてゲームを作れることに心から感謝いたします。今後もゲームを作り続けていきますので、引き続きよろしくお願いします。
TGiW:今後の展開はどうなっていますか?
さとー:8ビットモックアップの第二版もゲムマ秋で完売してしまったので、増産までしばらくお待ちください。来年のゲームマーケット2018春では新作ゲームを出す予定ですので、是非お手にとってください。

受賞した5名の制作者。おめでとうございます!
会場内では、アスモデ社(フランス)からライセンス・新規事業部長のG.ベナッサ氏が来ていた。近年、『街コロ』や『ラブレター』など、ゲームマーケット発のボードゲームが欧米市場にも紹介されるようになり、ゲームマーケットには前回から参加している。ゲームマーケットにはパッションがあり、グラフィックがユニークで、アイデアに新鮮味があるという。このアイデアをもっとプロフェッショナルな方向に展開したいと、数タイトルの出版について検討している。
アスモデ社はフランスのほかドイツ、アメリカ、中国に支社をもち、昨年は世界で3400万セットのボードゲームを販売。その特徴は「ファンタジーフライト」「デイズ・オブ・ワンダー」「ホワッツ・ユアゲーム?」「パールゲームズ」などのレーベルをブランド化して流通を担っているところにある。ゲームマーケット発の作品も同様に、アスモデ社から出ることになってもレーベルはそのまま残るそう。日本の同人サークルが世界にその名を広める日も近いようだ。
本日は3ゲーム遊ぶことができた。
『ねずみ海賊ラッタニア』(OKAZU Brand)は、1時間かからないくらいの中量級ゲーム。一列に並んだ10枚のエリアタイルから行きたい場所を2枚を選んで、同時に公開する。エリアによって収入を得、仲間を雇い、獲物を獲得し、その獲物を名声に変えていくが、1番目のエリアから見ていって、誰もコマを置いていないエリア以降はアクションができない。奥に行くほどアクションができなくなるリスクが高まるが、その分独り占めできたときの報酬も大きい。自分の行きたいエリアまでコマがつながるよう、ほかのプレイヤーの行動を見極めるところの読み合いが面白い。2~5人用、10歳以上、30~45分。

『大どろぼうは街影に』(COLON ARC)はチーム戦で大泥棒を捜索するカードゲーム。昇順に並んだカードから、両端を予想して相手のカードを奪う。予想にあたっては、チームメイトと交換したカードや、これまでに聞いた履歴からカウンティングで推理していく。一斉捜索で一か八か大量のカードを奪うこともできるので油断できない。2~5人用、10歳以上、30分。

『ハンザの女王』(ゆるあーと)はハンザ商人となって交易の覇権を争うボードゲーム。毎回2枚の手札から1枚を自分の前にプレイし、その色のエリアにあるカードを補充する。5枚プレイするごとに決算を行い、色別にプレイしたカードの交易品が多い人から得点が入る。得点がエリアごとに変動し、さらに要人(おっさん)のセットコレクション、裏向きに出して最後に明らかになるリューベックのマジョリティー争いなどもあり、手番2択にもかかわらず悩みどころが多い。2~4人用、10歳以上、30~45分。
会場内では遊べなかったが、カナイセイジ氏のデザインによる2人用謎解きゲーム『文絵のために』(ワンドロー)も注目されていた。文絵という女子高生が謎の死を遂げ、その数日前にタイムスリップしたプレイヤーが救うことを目指す。ゲームの中でカードの効果が徐々に明かされるというシークレットがあり会場内での試遊は行われなかったが、レガシーシステムではなくエンディングまで行っても再び遊べるようになっている。『ラブレター』で知られる杉浦のぼる氏のイラストも目を引かれ、女性の購入者が多かったという。木皿儀隼一氏いわく「評価が1か5に分かれそうなとんがった作品」。遊べなかったのでカナイ氏とのツーショット。

ゲームマーケット総責任者の刈谷圭司氏によれば、出展者は若干ではあるが土曜日のほうが多く、前売りチケットも土曜日のほうが多めだったという。しかし日曜日は当日チケットで参加した人が多く、その部分はふらりと参加したファミリー層だったのではないかとのこと。その点で子どもゲームコーナーを日曜日に行ったことも奏功した。出展した730団体のうち、両日とも出展したのが42%で、土曜のみが33%、日曜のみが25%。土日のバランスについて刈谷氏は「想像以上に理想的で、嬉しい誤算だった」と話す。ゲームマーケット2018春は5月、2018秋は11月の予定で、どちらも2日開催が決定している。