メドゥリス(Meduris)

超高速托鉢、準備できてません!
メドゥリス
小屋や神殿を作り、回ってくるドルイドに捧げ物をして名誉を競うゲーム。シュピール’16の新作で、昨年『カルバ』などでミドルクラスのファミリーゲームをリリースして成功したハバ社が、さらに一歩進んでやや重めのゲームに進出した。デザイナーはドラとリンデ、イラストレーターは『世界の七不思議』のコワンブラと、気合十分の布陣である。コンポーネントはハバ社らしく、木製コマが大きい。
ボード中央には資源(銅、羊毛、木材、石材)が取れるエリアがあり、ここで各プレイヤーの労働者たちが資源を産出する。産出した資源を使って周囲のエリアに小屋や神殿を作る。作るたびにドルイドが移動して小屋を一軒ずつ回るので、資源を捧げて得点をもらう。隣接する小屋が多ければ多いほど得点が上がっていく。
手番のはじめにダイスを振り、ランダムにどこかから資源が産出される。その後、資源を獲得する、小屋を建てる、神殿を建てるの3つのアクションから1つを選んで行う。
資源を獲得する場合は、自分の色の労働者を好きなエリアに移動して、そのエリアの資源をもらう。そのエリアにほかの労働者がいれば、上に重ねてその全員が資源を受け取る。面白いのは、労働者が重なると、上にいるほう(つまり後から来たほう)が多く資源をもらえるところだ。同じエリアにいつまでもいると、もらえる資源が減っていく。しかも資源は上にいるほうから順に取っていって、なくなり次第終了。この資源産出システムは新しい。

小屋を建てる場合は、周囲のエリアのマスに指示された2種類の資源を支払わなければならない。しかも隣接する小屋が1軒あると、支払う資源は2倍、2軒あれば3倍と上がっていく。こうして出来上がる隣接する小屋の連続を「村」と呼ぶ。5軒目ともなると、支払う資源は2種類×5倍で10個。今回のゲームはこれが最高記録で、6軒目を建てた人はいなかった。
小屋を建てると、ドルイドが移動する。ドルイドはボード状を時計回りに巡り、小屋を1軒ずつ訪ねていく。「我にお供え物をせよ!」このとき、資源をお供えできれば得点、お供えできる資源がないと減点。「村」にやってくると、そこにある小屋を全部一度に回るので、建設用の資源と別に、お供え用の資源も用意して置かなければならない。小屋が多い村ほど、お供えできたときの得点が高い。
また、小屋を建てたときにそのエリアのルーン石タイルがもらえる。これはドルイドがボードを1周するたびにボーナスをもたらすほか、ゲーム終了時にたくさんもっているほど得点になる。これもあるのでコストが上がっても小屋を建てる意味がある。
神殿も小屋と同じエリアに建てるが、支払う資源はいつも2個だけでよい。神殿からつながっている小屋の数だけ、ゲーム終了時に得点が入る。小屋がつながってからそこに神殿を建てるか、神殿を建ててからそこに小屋を伸ばすかはプレイヤー次第。
誰かが手持ちの小屋と神殿を全部建てたら最後に1手番ずつ行って最終決算。この時、ドルイドが一気にひと回りして全部の小屋を訪れる。「また来たんですか?! もうお供え物ないですよ」「じゃあ減点な」「ひぃ~」
最後は神殿とルーン石タイルの得点を足して最も多い人が勝つ。
4人プレイで75分ほど。序盤は小屋がまばらでドルイドが来ても得点が低かったが、次第につながり始めて得点が段々上がっていく。今回は神殿の建設が早く、小屋を建てる場所が少なかったため、コストの高い場所しか残らなかった。hataさんが奮発して最後の小屋を建て、終了フラグを切ったが、そこで支払った資源が多く、お供え物に回せない。最後の一周で資源を貯め込んでいたcarlさんがお供え物をきっちりして1位。
場所がなくなるので建設を急ぎたいところだが、資源が建設とお供えのどちらにも使われるため、その配分が難しい。だんだん近づいてくるドルイドに、果たしてお供え物の調達が間に合うか。リソースマネージメントの妙味が味わえる遊びごたえたっぷりの作品である。
Meduris
デザイン・S.ドラ&R.ツァリンデ/イラスト・M.コワンブラ/ハバ(2016年)
2~4人用/10歳以上/75分
国内未発売

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