効率のよい村をデザイン
場には教会、議会、修道士、畑、買物客、旅、職人の建物といったカードがずらりと並んでいる。スタートプレイヤーがダイスをジャラーっと振って、順番にその中から2個を選び、その合計の数字に対応するカードを取るか、すでに取ったカードを起動する。後のプレイヤーほどダイスが少なくなるため選択肢が減るが、スタートプレイヤーのアクションを選ぶまで手番順は変わらない。
取るときは1枚だけだが、すでに獲得したカードは同じ数字なら一度に複数枚を起動することができるようになる。この数字のコンボに、効果のコンボを組み合わせてほかの人より早く村を発展させていくことになる。2つのダイスの合計は2~12まであるから、それぞれの出目でどのカードを取るか迷い、どのカードを起動させるか考えるのは時間がかかる。
カードを取ったり起動させたりするたびに時間マーカーが進み、1周すると村人が1人死んでしまうのは『村の人生』から継承されたシステムだ。今回、村人は各ジャンルに配置されており、死んでしまうとそのジャンルのカードが使えなくなってしまう。何もできなくなる前に、子孫を育成して適宜補充していきたいところだ。村人が一定する死亡するとゲーム終了となり、カードの得点合計が多い人が勝つ。
村のボードは各自別々であるためインタラクションは高くない(思い通りに村を開発できるということも意味する)。「やったー、旅カードが最後まで行ったよ!」「いいなあ、でもこっちだって買い物客10人に配達できたもんね」「ふーん」……この少なめのインタラクションを補うのが「ネズミ」である。
このゲームには「物語ポイント」というのがあって、ゲームのいろいろな場面で手に入るが、これはそのままでは得点にならない。手に入れたときは「物語ツリー」(仮置き場)に置き、村長のアクションを使って初めて得点になる。得点になる前に、「ネズミ」の襲撃を受けると半分に減らされてしまう。
「ネズミ」は、誰かの村人が死ぬたびにダイスを振ってトラックを進み、襲撃マスに入ったら全員を襲う。そのため物語ポイントを溜め込んでいるプレイヤーは、ネズミの現在位置と、ほかのプレイヤーの時間マーカーに注意しておかなければならない。ほかのプレイヤーは、得点にされる前に時間マーカーをどんどん進めてバーストを誘うことになるだろう。間接的な攻撃ができるところがほどよい。
3人プレイで70分ほど。どんどん旅を進めるhataさん、修道士を増やすstさん、職人の建物でアイテムを作って買い物客に売り込む私と、方針が分かれた。それぞれの方針を伸ばすカードもあり、いずれも調子よく展開していたが、修道士を最大の6名揃えたstさんが大量ボーナス点で勝利。ゲーム中に物語ポイントをしっかり得点化できたのも勝因となった。
ダイスをたくさん振った後は、緻密に手番を考えなければならない。数多くの選択に絶えず迫られる作品である。
My Village
M.ブラント、I.ブラント/エッガートシュピーレ(2015年)
2~4人用/12歳以上/60~90分