イスタンブール(Istanbul)

シビアで楽しい街歩き
イスタンブール
イスタンブールのバザールを効率よく巡って、商品を仕入れて売り、ルビーを集めるボードゲーム。2014年のドイツ年間エキスパートゲーム大賞にノミネートされている。この賞はヘビーゲーマーの入口にいる愛好者を想定して選ばれており、十分な遊びごたえがあってかつ難しすぎないという、絶妙なところを付いてくる。昨年は『アンドールの伝説』、一昨年は『村の人生』が選ばれているが、今年はいかに?(7月14日発表)
ボードはお店タイルを並べて作り、並べ方によって展開が変わるようになっている。商品の仕入先と販売先が近ければ、そこを行き来するのが中心になるし、遠ければ売らずに配達したり、タイルに換えたりといった別の手が有利になるだろう。また近すぎるとみんな競合してしまうので、ほかの手を取らざるをえない。タイルの並びを見て、ゲームの戦略を組み立てるのが面白い。
さて、自分の番になったら、自分の商人を2マスまで移動して、移動先のアクションを行う。ただし商人は助手を引き連れており、アクションを行うたびに1人ずつそのマスに置いていかなければならない。助手がいなくなったら、助手のいるマスまで戻って回収するか、噴水(集合場所)で1回休んで全員招集しないと、新しいアクションができなくなる。同じ作者の『ルイ14世』や『ゴア』などで用いられた「ドーンウォーク」の発展形である。
この助手の制約がうまく出来ている。助手を回収しながら同じお店をいくつか巡回していくのが一番効率がよいが、それだけではどうしても足りないものが出てくる。例えば商品は衣服、スパイス、果物、装飾品の4種類があり、それぞれ別のところで仕入れる。それをセットで販売したり、配達したりするところがあり、助手の数が追いつかない。やりたいことはたくさんあるのに、できることは少ないという悩ましさは、よいゲーマーズゲームの特徴だ。
タイルは16枚もあるので、仕入れて売るだけではない。荷車の積載量を上げたり、助手を増やしたり、一度限りの特殊能力を得たりと、アドバンテージをもらえるマスなども重要だが、特に面白いのは警察署とティーハウスだ。
警察署は、そこにいる親族コマを好きなマスに飛ばして、そのマスのアクションができる。飛ばされた親族コマは、ほかのプレイヤーが捕まえたら(ごほうびをもらえる)また警察署に戻ってくる。これがアクションの選択肢を増やす。通常のアクションでは、ほかの人のコマが先にいるとショバ代を支払わなければならないが、親族は無料でできるので重宝する。
ティーハウスは、数字を宣言してダイスを2個振り、宣言以上の目が出れば宣言しただけお金をもらえる(失敗したら2リラのみ)という、一か八かのギャンブルコーナー。ここにハマって帰れなくなった人は数知れず。ゲームが非常に盛り上がる。
そんな風にして助手を引き連れて街を歩き回るわけだが、目標はルビーを集めることだ。ルビーは、それぞれの場所で大金を支払ったり、決められた商品を配達したりすることで手に入るが、後になるほど入手条件が厳しくなっていく。一手でも早くルビーを目指したい。規定数のルビーを先に集めた人の勝ち。
4人プレイで75分程度。私は商品を仕入れて販売し、その利益でルビーを手に入れる作戦だったが、配達してルビーを手に入れるほうより一手間多い分、出遅れた。しかしルビー2個分の利益を上げるなど何とか食いつく。結局、お金に余裕があったため幅広い方法でルビーを集めることができ、ルビー5個を達成。同じラウンドに達成したdjさんと持ち金の差で2位。ティーハウスのギャンブルにはあまりいかなかったのが勝因だったかもしれない。
終盤の詰めは考えることが多くてたいへんだったが、全体的なゲームの流れはテンポよく、ルールも少なめ(『コンコルディア』ぐらい)で気持よくプレイできた。ティーハウスのギャンブルや、思いがけないコスト増加など、番狂わせの仕掛けがほどほどに用意されているのも好みである。
Istanbul
R.ドーン/ペガサスシュピーレ(2014年)
2~5人用/10歳以上/40~60分
ショップ検索:イスタンブール

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