スペキュレーション(Spekulation)

思惑で乱高下
先日『ダービー』を紹介したディルク・ヘンの個人出版社デーベーシュピーレは、1992年のデビュー時に3タイトルを発表した。そのうち『アルカポネ』が後に『シュティムト・ゾー』を経て大賞作『アルハンブラ』になる。リメイクされていない残りの2タイトルのうち、1タイトルがこの『スペキュレーション(投機)』である。乱高下する株をタイミングよく売買し、一攫千金を狙う。
コンポーネントは、白黒で印刷したものに1つ1つペンで着色したもの。いったいいくつ製作されたのか分からないが、この手作り感には感動する。このゲームが制作された20年前は、自宅プリンターなどない時代だった。
スペキュレーション
会社コマがボード上を双六のようにして進み、順位によって株価が決まる。どの会社コマが進むかは、プレイヤーの選択で進むため、手持ちの株券によって思惑が絡み合う。安く買って高く売ることができるかどうか。
手番プレイヤーは、シンボルダイスと数字ダイスを振る。シンボルダイスはH、+1、−1、ブランクとなっており、Hなら手番プレイヤーから全員が株券を売買し、+1と−1は手番プレイヤーが会社コマを1つ選んで順位を上げ/下げる(順位が1つ前/後のコマのさらに前/後のマスにワープさせる)。
続いて数字ダイス。各プレイヤーは手札から1枚選び、その会社のコマを数字ダイスの分だけ進める。ダイス目が大きいときは自分が株券をもっている会社を、ダイス目が小さいときは他人が株券をもっている会社を進める。全員が同じダイス目で進めるので、双六にしては運の要素が低い。
カードの構成は全員同じで各社1枚と、どれも進めないというカード1枚。それを各自の山札にして、手札を2枚もつ。1枚出したら1枚引いて、出したカードは全部の会社を出すまで戻ってこない。これもまた運の要素を抑えている。
どれかの会社コマがゴールに着いたらゲーム終了。最初は1位100マウス(お金の単位)〜8位30マウスだったのが、ゲームが進むにつれて差が開き、最後は1位325マウス〜8位マイナス60マウス。もっているとお金が取られてしまう。
理想的なのは、下位で安いうちに買っておいて、その会社がごぼう抜きして上位に躍り出たら高いうちに売って、その資金でまた安い株を……という流れ。でもそんなにうまくいくはずがない。特にほかの人がもっている株を買っていかないと、誰も応援せずなかなか上位に出ないものである。
序盤に買った株が下位に低迷し、資金繰りができなくなったが、最後に高く売り抜けたので持ち直した。1位は2回売り抜けたtomokさん。手番順で優良株をただ1人買えなかったぽちょむきんすたーさんは、安い株で仕手戦をしかけたが、一か八かのチャンスにカードが出なくてマイナス決算。思惑が絡みあう中で、自分だけがもっている株券が上位に食い込むか、あるいは上位から転落しないか見守るのはドキドキする。
Spekulation
D.ヘン/デーベーシュピーレ(1992年)
3〜6人用/12歳以上/60分
絶版・入手難

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