エッセンのベストフリークゲーム

昨年の10月にドイツで開かれたエッセン国際ゲーム祭では、例年にも増してたくさんの話題作が発売された。そこで、フリークゲーム・ストラテジーゲームと呼ばれるものに絞り、その後に公表された数々の人気投票の順位を総合してみた。これで欧米のボードゲーム愛好者の嗜好を見て取ることができる。
調べたものは以下の5つ。まずフェアプレイ・スカウトアクション（FP）は、エッセン国際ゲーム祭の開催期間中に会場でアンケート用紙を配り、来場者が記入したものをリアルタイムに発表するものである。ボードゲームアンケート（UF）は、年内にインターネット上で調査したもので、主にドイツ圏の愛好者が回答している。プフェファークーヘル（PK）は毎年新作を遊んで評価しているドイツのゲーム会で、ドイツゲーム賞を占う賞となっている。ミープルチョイス（MC）はアメリカを中心とするネット上のグループで、最後にボードゲームギーク（BG）のランキングを載せた。
これらのランキングの上位に入っている12タイトルを選び、その相対順位を取って平均したものが下の表である。
この結果、最も評価が高かったのはイタリアのゲーム『バスコ・ダ・ガマ』。ドイツで圧倒的な人気を誇っている。続いてアメリカのゲームでドイツ語版も日本語版も発売された『エンデバー』、そして来月日本語版が発売される『ダンジョンロード』、ドイツ語版の初版が売り切れた『ハンザ・テウトニカ』が続く。これらはアメリカでの評価が高い。
一方、ドイツ年間ゲーム大賞で特別賞に選ばれた『果てしなき世界』、新進気鋭QWG社（オランダ）の『カーソンシティ』、名門イスタリ社（フランス）の『アッシリア』は評価が伸び悩んでいる。
私も順位付けを試みて、下記のRead Moreのところに記してみた。世間の評価とずいぶんずれているようだ。

私が選んだ基準は5つ。いずれも繰り返し遊びたいかどうかに関わるものばかりである。
�@セットアップが簡単なこと
�Aルールが覚えておきやすいこと（直感的に分かりにくいルールや例外処理が少ないこと）
�B勝ち筋が多様なこと
�Cしてやった感（狙い通りにゲームが運んだという感じ）がもてること
�Dほかのプレイヤーと適度に絡むことの5つを基準にしてみた。
その結果の順位は以下の通り（未プレイの『果てしなき世界』は含まれていない）。カッコ内は上記の総合ランキングである。
1.ハンザ・テウトニカ(4)
�@〜�Dのいずれも高い水準で満たしており、遊ぶたびにいろんなことをやってみたくなる。加えてレベルの上がり方がヴィヴィッドなので成長の実感が持てる。これが1番。
2.カーソンシティ(11)
�@〜�Dのいずれも満たしている。ワープレと同時に陣取りがあるのは目から鱗。決闘はダイスロールが好み。
3.ヴァスコ・ダ・ガマ(1)
�C�Dが高い。勝利への道が一方向で、しかも失敗が許されないところが窮屈だが、その分事が上手く運んだときの喜びは大きい。ワープレにプロットを盛り込んだアイデアは絶妙。
4.ファクトリーマネージャー(9)
�C�Dが高い。ちょっと失敗するとリカバリーが難しいが、競りあり、手番のアヤありで悩ましい。
5.洛陽の門にて(8)
�@�A�Dを満たす。処理に恐ろしく時間がかかるが、カードドラフトの駆け引きや、野菜もお金もカツカツのリソースマネージメントが楽しい。
6.ダンジョンロード(3)
�A�C�Dを満たす。コンポーネントがたくさんある割に戦略の幅はあまりないが、テーマに沿った展開なのでルールがしっくりくる。
7.アッシリア(12)
�@�A�Bを満たす。長期的な戦略は練りにくいが、イスタリらしく、食料もラクダもぎりぎりのカツカツ感が快感。
8.エンデバー(2)
�A�B�Dを満たす。レベルアップの実感がわきにくいのと、エリアマジョリティ取りも戦争も淡々と進むが、考えるところは多い。
9.マカオ(6)
�B�Cを満たす。資源の割り振りに手間がかかるが、たくさんもらえるものほど後になる産出の仕組みが面白い。
10.エジツィア(7)
�C�Dを満たす。パーツもカードテキストも多くて飲み込みにくいが、ワープレを快速で進められるルールにしたのはよい。
11.権力ゲーム(5)
�Dを満たす。会社の中の出来事を忠実に再現しようとしたせいか煩雑すぎだが、ワイロ推奨とかで笑える。
（6月30日追記）
ローゼンハイムの春（RS）の結果を加えたところ、順位に変動があったので新リストを加えておく。