ライスウォーズ(Rice Wars)

先手を取ったら負け
ポーランド発、日本を舞台にした陣取りゲーム。日本の戦国時代は外国人にとっても魅力的なテーマらしく、昨年1年間でもフランスから『戦時』、ドイツから『徳川』と『武士道』、そしてポーランドのこのゲームと4タイトルも発売されている。日本人の目から見ると地名や登場人物の名称がヘンなのはさておき、ゲームとして、どのようにわが国を描いているのか、興味深いところだ。
箱に「争米」と大きく書かれたこのゲーム。そんな言葉はないわけだが最後に田んぼの広さで勝敗を決める陣取りゲームだ。日本地図でも何でもないボードはたいへんせまく、あっという間に埋まってしまう。そこで2枚取っては1枚取られという一進一退のじりじりとした攻防が醍醐味。攻撃相手は自由に選べるので、トップ目は当然総叩きに逢う。全員が拮抗する中で、最後の最後に1枚だけ上回ることを狙う。
はじめに手持ちの田んぼの分だけ収入が入り、そのお金で農民、足軽、浪人を雇う。田んぼを広げる、戦を仕掛ける、カードを使うといったアクションを1つずつ行い、全員やることがなくなってパスしたらラウンド終了。規定ラウンドが終わったときの田んぼの数で勝敗を決める。
戦を仕掛けるには、足軽か浪人が必要。戦は足軽や浪人を出し合って、さらにカードを出し合い、攻撃力を足す。攻撃で勝てば田んぼを奪えるが、防御で勝っても何も起こらない。使った足軽や浪人はこのラウンド使用済みとなり、お互いカードの補充だけできる。
まともにやりあえば、お互い戦力を消費する。すると弱ったところを第三者に攻められることになる。また、無防備で田んぼを取られても、戦力が残っていれば取り返せる。したがってこのゲーム、先に戦をしかけたほうが不利なのである。パスを2回したらもうこのラウンドでは防御しかできない。ほかのアクションで手番をつぶしつつ、ほかの人が我慢しきれずに戦を始めるのをひたすら待つ。こんなところに洗面器システム※が待っているとは思わなかった。
ラウンドごとに、収入が上がったり、攻撃側の戦力が上がったり、特殊効果をもつ助言者の競りを行ったりする。ちょっとしたスパイスだが、プレイヤー間の均衡を破る要素になるので等閑にできない。
みんなが後手後手に回ろうとして様子をうかがうためゲーム時間が延びる延びる。60〜150分と書いてあったが、ボードが狭くラウンド数が少ない表面ですら200分くらいかかった。田んぼが1枚でも多ければすぐ叩かれるので、最終ラウンドまではほぼ同数。最後の最後に死力を尽くした戦いとなる。戦力が足りなかった侍さんと私は脱落、ふうかさんとkarokuさんの一騎打ちで、ふうかさんが先に力尽きてkarokuさんの勝利。
破壊的な要素がないゲームで、ミスをして後退してもみんなに狙われない分復活できるため、膠着状態が長く続く。中間3ラウンドくらいは戦況が全く動かない。その間も知力を振り絞っているわけでヘトヘトになったが、戦国時代の国取りもこんな風にじりじりとしたものだったのかもしれない。『武士道』は未プレイだが、『戦時』や『徳川』よりもはるかに完成度が高い。
※洗面器システム…水を張った洗面器にどれくらい顔をつけていられるか競うゲームのような、先に音を上げたら負けの我慢比べ。
Rice Wars
M.ザソウスキ、M.スタキラ、W.ザデック/クズーニャ・ギエル(2008)
2〜6人用/60〜150分

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