山形自宅ゲーム会 08/12/14

山形自宅ゲーム会 08/12/14

日曜日の夕方から時間が空いたので、仙台から客人をお招きして新作を遊ぶ。エッセンで発表されたばかりのゲーマーズゲームが並んだが、みんなルールの飲み込みが早い。ゲーマーズゲームというと、ゲームの全容が分かる頃にはもう終盤になることも少なくないが、早速いろいろな作戦を取ったり、要所を巡って競り合ったりして盛り上がった。

ミドル・キングダムパレ・ロワイヤルダイヤモンド・クラブマチュピチュの王子

ミドル・キングダム(Middle Kingdom / T.レーマン / Zマンゲームズ, 2008)

ミドル・キングダム集めてコンボを決めろ

カードを一斉に出して、バッティングしていなければ数字の大きい人から取る『はげたかの餌食』システムに、さらに集めたカードの数比べと、特殊能力を加えて新しいドラマを生み出すゲーム。『レース・フォー・ザ・ギャラクシー』の作者と、『パンデミック』のメーカーとあっては注目しないわけにはいかない。
 一斉に出す手札の内容はみんな同じ8枚。ただし、一度使ったカードはリセットカードを出すまで使えない。リセットカードを出す回は事実上1回休みになるので、どこでリロードするかがひとつ考えどころとなる。
 場にはプレイヤー人数より1枚少ないカードが出る。出した数字の大きい人から1枚ずつ選んで取る。バッティングするともらえないが、出したカードは次の回に積算されるので不運を嘆くことはない。
 5種類のカードがあり、それぞれ集めて最多になると特殊能力がもらえる。特殊能力も5種類あり、コンボも可能だ。例えば「宦官」を集めてもらえる「宮殿」は、全員が出したカードを見てから出せるという特殊能力があり、これに「貴族」を集めてもらえる「後継者」でバッティングした結果余ったカードをもらえるようになると、わざとバッティングさせて余りをもらうといったコンボが可能になる。
 このほかに「龍」は、全員が取る前に好きなカードを取る能力がある。その代わり龍を場に出さなくてはならないため、プレイヤー間を循環するのが面白い。
 最後の得点計算では、枚数の少ない「貴族」や「将軍」が得点になったり、効果の薄い農民はたくさん集めれば大得点になったり、「預言者」がいれば「宦官」が得点になったりするなど多彩な得点方法が用意されており、カードのめぐりが悪い人でも勝つチャンスがある。
 上記の凶悪なコンボでカードを貯め込んだぽちょむきんすたーさんが1位。私は農民と商人でボーナスを狙っていたが、ほかの人の追随を許してしまい最下位。特殊効果の味付けが絶妙である。さすが。

パレ・ロワイヤル(Palais Royal / X.ジョージ / ハンス・イム・グリュック, 2008)

余剰な人員はどこ

フランスの宮殿を立ち回り、お金と紋章でタイルを集めるゲーム。宮殿の中にある8つの部屋に部下を上手に振り分ける配分がポイントだ。
 手番には、部下を門に置いて、そこから好きな部屋に移動させる。お金と紋章が揃ったら、ボードからタイルを入手。タイルの点数と、入手した場所に置かれるコマの陣取りで得点を競う。
 門に置かれる部下の数も、移動数も、手に入るお金や紋章の数も、全ては各部屋に置かれた部下の数次第。しかも部下の総数は決まっているので、どこかを増やせばどこかを減らさなければならない。しかもタイルを取るときにコマを置くので、総数はだんだん減っていくのだ。苦しい!
 8つの部屋の内訳は、置くコマの数、移動数、収入、紫の紋章、緑の紋章、入手できるタイル枚数、苦しいときの神頼みカード、そして各部屋同数のときの優先権。タイルやカードを入手するたびに、対応する部屋からコマが帰ってくる。帰ってきたコマは再び次の手番で門に置かれるというわけだ。
 タイルやカードの中には、移動数や紋章を増やすものがあるので、入手したものにあわせて、コマが循環する中で少しずつ配置換えをして、より高いタイルや複数タイルを取る体制を作っていかなくてはならない。
 はじめから得点タイルを取りに行って、タイルのメリットがほとんどなかった私はジリ貧になっていく。そういう場合は途中でタイル取りを1回休んででも部下の配置換えをしておくべきだった。これを怠ったがために、安いタイルしか集められない状態が続き最下位。
 中盤まではどこでも取れるのでさくさく進むが、終盤になると陣取りの情勢と、取りたいタイルに必要な人員配置をめぐって相当考えなくてはいけなくなる。1時間強のプレイ時間だったが、最後の2周で20分くらいかかった。最後の重さは少し気になるものの、盤面もタイルもカードもいたってシンプルであり、遊びやすいゲームである。

ダイヤモンド・クラブ(Diamonds Club / R.ドーン / ラベンスバーガー, 2008)

美しい庭園はダイヤから

宝石を集めて自分の庭園を立派に造成するボードゲーム。フリークに人気の高いアレアは今秋、珍しく新作を発表しなかったが、このゲームはラベンスバーガーではなくアレア(※ラベンスバーガーの子会社である)から出ていたとしても不思議ではない内容だ。
 宝石を手に入れるには、採掘権と権利書と船が必要。手番にはボード上にコインを置いて、ほしいものを順番に購入していく。ここでドーンのアイデアが光る。前後左右のマスで既に買われたものがあると、その分だけ購入価格が上がる。はじめは全部1コインで買えるのが、どんどんコインが置かれるに及び、3コインや4コインで買わなくてはならなくなる。ほしいものはお金を惜しまないで買うべきか、それともお金を節約して安いものを買い、作戦を変更するべきか。購入の選択は非常に悩ましい。
 なおここで買えるものはほかに3つのパラメーター(樹木の価値・追加の宝石・収入)を上げるもの、建設の優先順位を上げるもの、動物園タイルを置くものがある。安物買いは銭失い。自分の作戦に沿った選択をしたい。
 全員が購入をパスしたら、宝石を入手して庭園の造成に取り掛かる。建設できるのはバラ園、東屋、噴水、植物園、樹木の4種類で、順番に必要な宝石(ダイヤモンドはジョーカー)を支払ってタイルを自分のボードに並べる。同じ種類を3つ、同じ種類を5つ、全種類などでボーナス(樹木は除く)があるが、どれも早い者勝ち。ほかの人の出方をよく見ておきたい。
 これが終わったらコインを戻して、タイルを並べ替えて購入ラウンドから。展開は結構早くて、4~5ラウンドくらいで終わるので、抜け目なく宝石を集め、集めた宝石を無駄にせず庭園に使わなければならないだろう。
 バラ園から始めた私は、樹木は一切立てずに建物を増やしていったが、タイル獲得で同じ路線の神尾さんに一歩遅れ。ぽちょむきんすたーさんが動物園を集めに走ったとき釣られたのが後々まで響いて最下位。、建物、樹木、動物園の3本を柱に多様な路線があり、次にこうしたいああしたいと思わせるいいゲームだった。ルールがシンプルで、物足りなさも若干あるが時間が1時間程度と長くなく、それでいて多様な路線が取れるゲームはなかなかない。

マチュピチュの王子(Die Prinzen von Machu Picchu / M.ゲルツ / PD出版, 2008)

入り組んだ街を行ったり来たり

マチュピチュの街を移動して品物を集め、神官を雇って捧げ物をし、神の庇護を求めるゲーム。「ロンデル三部作」で有名になったゲルツによるこのゲームは、マップにロンデルをうまく応用している。
 自分の番にはコマを移動してアクションを行う。5種類の品物を生産するエリア、手下を置いて生産力を上げるエリア、品物を払って神官や巫女を雇うエリア、神官や巫女で捧げ物をするエリア、品物を売買する「市場」、手下をキャンセルして品物をもらう「日時計」があり、入り組んで隣接している。隣接していれば無料で移動できるが、そうでなければコストがかかるという、ロンデルシステムの応用だ。エリアによっては早い者勝ちなので、先を読んだ位置取りも必要になる。
 捧げ物をすると伝令が進み、20マス進むたびに1枚、捧げ物カードが増える。これが得点源で、カードの指示により、生産エリアに置いた手下と、雇った神官や巫女が得点になる。カードを多く取るほどチャンスは広がるが、対応するものをもっていなければ宝の持ち腐れだ。
 アクションを行わないときは月タイルを取り、3枚取られた時点で1日が終わる。月タイルは品物や伝令の移動になるので、仕事を途中でやめて1日を終わらせてしまうのも損ではない。ただ、早く終わらせすぎるとエンディングに影響する。
 ゲームはマルチエンディングとなっている。9ラウンドまでにすべての神官と巫女が雇われれば、神様の庇護を受けられる。その場合は通常の点数勝負。一方、間に合わなければスペインに征服され、捧げ物カードの黄金人形が一番多い人は得点3倍、二番目に多い人は得点2倍になる。これによって盤面で出遅れた人にも逆転の可能性がある。
 どちらのエンディングでもカードをたくさん取った人が勝つのではないかと思ったが、そうでもない。黄金人形の数にはばらつきがあり、黄金人形が多いカードは得点しにくくできている。また素点が高くなければ2倍、3倍になったところで勝てない。1枚程度の差では勝敗はつかないのである。
 野洲さんが序盤から積極的に月タイルを取る攻勢。私は最後まで粘って資源を集めていたが、1日が早いので中途半端になってしまう。終盤になって猛烈に神官と巫女が雇われていったが、序盤が響いてスペイン征服。素点では、トウモロコシ生産に集中したぽちょむきんすたーさんが1点勝っていたが、3倍で野洲さんの勝利。私は黄金人形も集められず最下位。
 マルチエンディングによって、ラウンドを終わらせるタイミングに駆け引きや協力関係が生まれるのが面白い。生産を特化させる戦略の多様さもあり、また手番が長引かないのもいい。エッセンの第一印象は今ひとつだったが、最後まで遊んでみてすっかり見直した。

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