プロジェクトL(Project L)
完成させたピースでまた完成
多角形ピースを集めてパズルを完成させるゲーム。チェコのボードゲーム出版社がキックスターターで製品化したもので、日本語を含む多言語版が発売され、話題となっている。パズル要素、拡大再生産、ほどよい運の要素、適度なプレイ時間と、ユーロゲームらしさが光る作品。注目度が高く、品切れが続いている。
はじめは1マスと2マスのピースをもっている。手番には3アクションを使って、場からパズルボードの獲得、1マスピースの獲得、ピースのアップグレード、パズルボードへの配置を行う。パズル・ボードは2層式になっており、プラスチック製のピースがぴったり入るのが気持ちいい。
パズルボードの全てのマスを埋めたら得点や新しいピースが手に入る。こうして手持ちのピースが増えていき、得点の高いパズルボードに挑戦できるようになる。しかし次第に完成までの手数も多くなるところで重要になるのが「マスターアクション」だ。1アクションで、手持ちのパズルボード全てに1個ずつピースを配置でき、アクション数の節約になる。1手番に1回しかできないが、できれば毎手番できるようにしたいところだ。
ピースをぴったり収めるという『ウボンゴ』的なパズル要素だけでなく、「マスターアクション」を加えて3アクションをどのように組み立てるかも一種のパズルになっている。写真のような状態から、マスターアクションは何アクション目で行うのがベストだろうか?
黒パズルボードの山が切れたらゲーム終了。最後に残ったパズルには、得点を引いて手持ちのピースを配置できる。完成しないパズルは減点で、総合得点を競う。
山札から出てくるタイルはすぐに完成できるときと、完成に手間取ることがあって運の要素があるが、すぐ完成できるものは報酬も少ないので、有利とまではいえない。タイルの先取り以外インタラクションが薄めなのは現代的なデザインか。その分、計画的にピースの管理ができる。1回遊んだだけでポチりたくなってくる、スマートでクレバーな作品。
Project L
ゲームデザイン・J.ソーカル&M.ミケシュ&A.シュパネル/アートワーク・M.ロスコット
ボードキュベーター(2020年)+ホビージャパン(2021年)
1~4人用/8歳以上/30分
言葉カードを組み合わせて短歌作り『57577』7月23日発売
「5音の言葉カード」2枚と「7音の言葉カード」3枚を組み合わせて短歌を作るゲーム。鍋ラボがゲームマーケット2019大阪で発表した『短歌カードゲーム ミソヒトサジ〈定食〉』をリメイクした。場札と2回交換でき、できあがった短歌を発表して、一斉指差しで最多得票者が勝者となる。団体戦モード、リモートモードも収録。
歌人が厳選した言葉カードは「雨のなか」「海を見ながら」のような素朴なものから、 「プニプニの」「ヤッホホゴリラ」のような変わったものまで100語。自由に書き込めるブランクカードも使えば、 作れる短歌の組み合わせは4億通り以上となる。ギャグ系、しっとり系、青春系など、奇想天外な短歌が生まれ、撮影して SNSに投稿するのも一興だ。
デザイナーはふたりとも歌人で、なべとびすこ氏(鍋ラボ)は中高生や求職者、 引きこもりのかたなど幅広い層に短歌のワークショップを開いており、天野慶氏は「ラジオ深夜便」出演や「NHK短歌」テキスト連載などで活躍している。