クレオパトラと建築士たち(Cleopatra and the Society of Architects)
ニュルンベルク最注目作のひとつだったデイズ・オブ・ワンダー社の『クレオパトラと建築士たち』の写真がウェブで公開され始めた(Boardgamenews、Spielbox)。価格49.95ユーロ。電子回路を使ったクニツィアの『キングアーサー(King Arthur)』と同額である。1ユーロ140円超えの今、日本で発売されることになったら10,000円ぐらいしそう。
『ナイアガラ』のように箱を使ってボードを組み立てる。箱がクレオパトラの宮殿、その前に広がる庭。ここに石切り場からスフィンクスだの、門柱だのを運んできて設置する。このリアリティーが一番のセールスポイントであり、高額の理由でもある。
ゲームはカードを使って資源を集め、その資源でスフィンクスなどを建築し、褒美としてお金をもらって、その金額を競うという流れ。資源集めのカードは、半分表・半分裏にして混ぜたカードを並べて、3組の中から選ぶという面白いシステム。予め見えているカード、見えていないカードがあってどれを取るか迷うことだろう。
建築できるものはスフィンクス、オベリスクなどいろいろあり、それぞれ必要な資源の数と種類が違う。種類ごとに全部建つとクレオパトラが宮殿に向かって前進し、宮殿に到着したところでゲーム終了となる。
カードの中には建築をしやすくする資源やキャラクターがあるが、これらを使ったりカードをためこんだりするとむと「汚職のアムレット」を受け取らなくてはならない。これは自分のピラミッドの中にしまっておき、非公開であるがゲーム終了時に一番多くもっている人は、クレオパトラが飼っているワニの餌になってゲームから脱落する。
「汚職のアムレット」を減らす方法は、祭儀をすることだ。石切り場から建築物が切り出されるたびにダイスが振られ、マークが揃うと祭儀が行われる。ここではこれまで貯めたお金で競りをして、一番高額をビッドした人がアムレットを捨てることができる。
もうひとつ、宮殿の庭にモザイクタイルを敷くとき、空きマスにアヌビスを置いて確保できれば、そのマスの数だけアムレットを捨てられる。お金とアムレットの絶妙なバランス感覚が要求されそうだ。
作者は『キャメロットを覆う影』からカタラ、そして『キャッシュアンドガンズ』のモーブランというフランス人コンビ。プレイ時間60分。日本上陸が待ち遠しい。
追記:3月下旬になって、ドイツのショップにぼちぼち並び始めたが、Spielboxのレビューでは49ユーロと記されていたが、価格は軒並み30ユーロ台後半。メモワール44と同程度なので、国内価格は8000円台ぐらいになるか。
ゲームマーケット2006
来週の日曜日に迫ったゲームマーケット。日本の若きゲームデザイナーが発表する意欲的な新作を楽しみにしている人も多いだろう。いずれも数量は少なく、たいていは午前中、早ければ開場後数分で売り切れるので、手に入れたい方は予めチェックして買い逃さないようにしたい。
- 『カルタゴの貿易商たち』(カワサキファクトリー)
昨年の試作品無料配布から1年、テストプレイを重ねて発売されるカワサキ氏渾身の一作。2?4人用、45分、2,500円。地中海を舞台に、商品を仕入れて商船にタイミングよく売却することをめざす。海賊の番狂わせにも注意。 - 『ロボトリー』(カワサキファクトリー)
同じくカワサキ氏の初挑戦となる2人用アブストラクトゲーム。2人用、10分、1,500円。3体のロボットをエネルギーキューブで操って自分の陣地に誘導する。深い読みが必要ながらルールが分かりやすく、短時間で決着するように作ったとのこと。 - 『マーケットトレンド』(Hammer Works)
相場を読みながら宝石を売買してお金を儲けるカードゲーム。4?6人、1,000円、30部。カードドラフトを採用し、短時間で終わる経済ゲームを目指したとのこと。 - 『ほんのきもちです』(Hammer Works)
のし袋にお金を入れて渡しあう日本的なゲーム。昨秋のテーブルゲームフェスティバルで好評を博す。1,000円、70部。 - 『朝まで大統領選挙』(ボードゲームのおもちゃ箱)
昨年発表され好評だった『朝まで総選挙』のアメリカ版。さとー氏作。民主党、共和党さながらにチーム戦で激突する。4人用、30分、1,500円、45部。おもちゃ箱ではこのほかにさとー氏のダイスゲーム『エルスミーアの期末試験』(3?4人、20?30分、2000円、25部)、murakami氏のボードゲーム『Sky Ocean Story』(4,000円)、ダイスゲーム『フェアリー・クロック』(1,000円)、昨年発売作のリメイク『エルスミーアの魔女・セカンドエディション』(10部)の販売が予定されている。 - 『百科審議官』(ボードゲームのおもちゃ箱)
おもちゃ箱では初登場、千石一郎氏のデザイン。百科事典に載せる内容を吟味する百科審議官の試験で1番になることを目指す。3人用、20分、2,000?2,500円。 - 『クォータークエイク』(エルバット)
ダイスで指示された場所に建物を建て、収益を競うボードゲーム。街の4分の1を破壊してしまう大地震に要注意だ。2?4人用、10才以上、60?90分、4,980円。 - 『落水邸物語』(落水邸物語)
昨年の第2回素人ボードゲーマーNo.1決定戦で発表された変則トリックテイキングゲーム。出す順番と使う順番が反対というシステムは、多くのゲーマーを唸らせた。4人、30分、1,500円、約45部。 - 『時代劇3600秒カラー版』(King’s Court)
時代劇の主人公を集め、1時間という放映時間内に視聴率を稼ぐお笑いカードゲーム。隠れた人気を集めており、すでに第3版になる今回はカラー版で登場。1,500円。ほかに5つのゲームを集めた『ゲームパック“魔界サザエ・潜水議論ウォッチング”』(1,500円)、ダイスでヘンな料理を作る『料理チャンピオン』(1,000円)、ダイスバトルの『怪獣ファイト』(1,800円)と『ダイナゲイル』(1,000円)。少数出品。
そのほかに純新作ではないが復刊ドットコムが『榊涼介&林正之のマルチプレイ三昧』、ゲームリパブリックが『シャドウハンターズ』、ビバリーが『ブロックスデュオ』、遊宝洞が『幻影奇譚』を販売すると予想される。バネストも『ルッカチッタ』ほか、何か目玉作品を用意している様子。目が離せない。
追記:バネストの出展情報が発表された。『乗車券メルクリン』(6,000円)『ケイラス』(6,400円)『キャッシュ&ガンズ』(5,800円)ほか注目の新作がずらり。今回もここが一番の激戦区になるのだろうか?