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カルタッチョベースボール(Kartacio Baseball)

攻守同時の妙
今年になって発売された2人用のライトなカードゲームシリーズ。いずれもスポーツをテーマにしており、余計な要素を削ぎ落としてテンポのよさを生み出している。
スポーツをテーマにしたボードゲームはデザインが難しいという。スポーツがもつスピード感やテンポが、ボードゲームではどうしても損なわれてしまうからだ。近年ではグラパックジャパンが意欲的な作品をいくつか発表したが苦戦を強いられている。
野球は、比較的テンポが穏やかなスポーツだが、このゲームは攻守を同時進行するという斬新な仕掛けでテンポアップに成功している。交互に1枚ずつ手札からカードを出す。ヒットカードは3枚溜まったら1点。その前に相手がキャッチカードを出してアウトになってしまったらまた1からやり直す。相手はキャッチカードで得点機をつぶしつつ、自分もヒットカードを出す。防御がなければ攻撃、攻撃がなければ防御。
防御のできないバントヒットや、1枚で2枚分あるクリーンヒットがあり、防御しにくいようになっている。さらにホームランは、それまで出していたヒットカードの枚数だけ得点になるビッグチャンスだ。
ホームランのチャンスを狙って走者をためようとしたが、ことごとく潰されて試合終了。着実にヒットで得点を重ねたくさのまさんが2対1で勝ち。1点を争ういいゲームだった。
カルタッチョベースボール
しんどうこうすけ/エイベックス(2009年)
2人用

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スリーセブン(Gamble 7: Three Seven)

補充でバッティング
ブラフも交えて手札にある「7」のカードの数を競うゲーム。これも今年のゲームマーケットでカワサキさんが発売したギャンブルゲーム集のひとつ。タイトル通り7つのゲームが入っているが、いずれもニヤリとさせられる仕掛けがあって素晴らしい。きっとアメリカやドイツでもウケるだろう。
始めに参加料を払い、配られた手札を見て賭けチップを決める。自信があればレイズ(前の人より上げる)、様子見はコール(前の人と同じ)、自信がなければドロップ(賭け金を残して降りる)。コールが一周した時点で、手札に「7」が3枚以上ある人は公開する。
1周目で揃うことはあまりない。ここで「7」を引くことを期待して補充するが、ここにバッティングが仕掛けられている。手札から数字を出して、誰ともかぶらなかった人が、その枚数だけ山札から引けるのである。バッティングを恐れず欲張って「5」や「6」を出すか、安全に「3」か「4」あたりを出すか。安全に出したつもりがバッティングすることもある。
補充が終わったらまたチップの増額から。最終的に「7」を多く公開できた人がチップを総取りする。
くさのまさんは1ラウンドから強気のビッド。皆が降りて参加料をせしめたが、本当に「7」がたくさんあったのかは分からない。2ラウンド、3ラウンドと進むうち、みんな「7」が1〜2枚でも降りないようになってきた。「補充で引けばいい」と強気である。その強気に運が味方して、くさのまさんが最後に大量の「7」を引き大場を制して1位。
「7」があまりないのにレイズしたりコールしたりするのは内心ハラハラするが、顔に出してはいけない。そんなポーカーフェイスと、バッティングの読みの両方が試される。
賭博英雄伝セブン
川崎晋/カワサキファクトリー(2009年)
3〜5人用/9歳以上/15〜180分