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ヨフカシプロジェクト第5弾『天魔楼大戦』6月2日発売

コナミデジタルエンタテインメントは6月2日、メディアミックスプロジェクト「ヨフカシプロジェクト」第5弾『天魔楼大戦』を発売する。ゲームデザイン:川崎晋、ディレクション・物語設定:渡辺範明、キャラクターデザイン・イラスト:山椒魚、2人用、8歳以上、30分、4950円(税込)。ゲームマーケット2023春(ブース番号A30)にて先行販売される。

コミュニケーションゲーム『まっぷたツートンソウル』、デッキミキシング・ボードゲーム『魔警オルトロス』、マーダーミステリー『キルタイム・キラーズ 絶泉館の殺人』、ダンジョン攻略ゲーム『破宮のデクテット』に続くIP育成プロジェクト第5弾。環境汚染や気候変動などで地球を棄てた人類と、地上にとどまった人類が、それぞれを「天界」「魔界」と呼び合って地上における支配権をめぐり戦う。

プレイヤーは6種類のユニットから4種類を選んで自軍を編成し、マップ上に自軍を展開して敵の拠点「楼閣=タワー」を破壊することを目指す。各ユニットへの指令は「スタンス牌」を使い、攻撃特化、防御特化、バランス型などのスタンスを決定する。さらに各ユニットは戦いの中で成長して上級職となり、能力も変化する。

「カイジュウ・オン・ジ・アース・レジェンズ」第1弾『ゴジラ』で高い評価を得た渡辺範明氏(ドロッセルマイヤーズ)がディレクション、川崎晋氏がデザインを担当した。チームプレイで4人までプレイできる。

内容物:メインボード 4枚、ユニットコマ 6枚×2陣営、キャラタイル 6枚×2陣営、スタンス牌 16個、HPカウンター 24個、アイテムカード 8枚×2陣営、楼閣タイル 13枚×2陣営、先手マーカー 1枚、説明書 1冊

ヨフカシプロジェクト:天魔楼大戦

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遺産相続のボードゲーム

(月報司法書士2023年3月号掲載)

司法書士業務のなかに遺産相続に関するものがあるが、今回は相続争いをテーマにしたボードゲームをいくつか紹介しよう。相続できるかもしれない立場になった人間のむき出しの欲望を、当事者の身になってうかがい知ることができる。

◆遺産相続(Die Erbraffer)
ラベンスバーガー社(ドイツ)、1994年発売。
5代前の先祖から順次降りてくる遺産を自分のところに引き寄せるボードゲーム。ゲームボードは家系図になっており、プレイヤーはその末端にいる子孫の一人を受け持つ。先祖はお金や骨董品を持っており、世代交代をしていく中でお金を増やしたり減らしたりして、自分が一番多く相続できるように仕向ける。
世代交代のとき、未婚の子どもには好きなだけのお金を、既婚の子どもにはお金を折半、ヴァイオリンや高級ツボなどの骨董品は好きな方へ相続させる。分け方が気に入らなかったら「新遺書発見!」のカードでやり直しもできるが、その上にまた「新遺書発見!」ということも起こる。
遺産の分配の仕方から、誰がどの子孫を受け持っているか分かってくる。終盤になるほどあからさまな分配が起こるので、最後の最後まで油断できない。

◆おかしな遺言(Last Will)
チェコゲームズ出版(チェコ)、2011年発売。
大金持ちの叔父さんが莫大な財産を遺して亡くなり、「遺された財産は、お金を最も楽しく使える者に遺したい。親族たちに一定の財産を配り、最初に全て使いきった者に残りの財産全額を相続させる」という遺言を残した。財産獲得を賭けた未曾有の浪費合戦が始まる。
パーティの開催、豪華な晩餐、贅沢品のショッピングと、お金をどんどんなくして破産することを目指すが、他の人より差をつけなければならない。例えば「船旅」でも、犬やシェフを連れていけば出費が増える。中でもカギとなるのが不動産で、購入するのに大枚をはたくが、これをもっている限り破産できない。不動産価格は徐々に下落していくので、安くなったときに手放すのである。どうせならば庭師を雇うなどして、管理費を増やしておきたい。
誰よりも早くお金を使い切るには、お金を貯めるのと同じくらいマネージメントが必要である。ゲームが終わったら、無駄遣いしないように気持ちを切り替えたい。

◆愛人に私の財産の半分を遺贈する
WILD CARDS(日本)、2022年発売。
弁護士が制作した、現行民法に準拠した遺産相続体験ゲーム。故人の相続人候補の一人となって、他のプレイヤーたちと骨肉の遺産相続バトルを行う。
プレイヤーの中には配偶者、子、尊属、愛人などがおり、「相続廃除の遺言」「却下/棄却」「威力偵察」などで相続人がめまぐるしく変わる中、相続できそうな人はたくさんの遺産を公開し、相続できなさそうな人は借金をかぶせる。
カードは実際の民法や人事訴訟法などに沿って作られており、解説もついていて、相続の基礎的な知識も身につけられる。もしかしたら実生活でも役立つ時が来るかもしれない。しかし一番楽しいのは、自分の役割になりきってセリフを自由に言い合うロールプレイである。

◆サイレンが鳴り止む前に
スタジオオゾン(日本)、2022年発売。
プレイヤーが自ら登場人物になり、殺人事件を解決する「マーダーミステリーゲーム」。それぞれ自分だけの設定があり、犯人役は真相にたどり着かせないように嘘をつく。
遺産相続についての話し合いのため、久しぶりに集まった一郎、二郎、三郎。しかし話し合いの前に、父が何者かに殺されてしまう。一郎は金に困っており、遺産は長男の自分が全て継ぐものだと思っている。次男の二郎は父とは昔から折り合いが悪く、顔も見たくないほど。三男の三郎は、ここ数年ずっと父の面倒をみてきたため、一郎だけが遺産を継ぐことは許せない。警察が到着するまでに、犯人役の嘘を見抜いて、真相を明らかにできるだろうか。
遺産相続の愛憎を当事者になりきって体験できるが、実際の場面でそのようなことがないことを願いたいものである。

ドイツのボードゲーム評論家T.ヴェルネック氏は「人間の営みは何であれボードゲームに反映することができる」と語っている。そして人間の営みをボードゲームに反映することで、心の奥底に潜んでいる欲望が解放され、カタルシスが得られるのである。

ちなみに住職として付け加えると、「死人に口なし」と言っても故人はみんなのの声も姿も認識できるらしいので、欲に目がくらんだ遺産相続争いや自分勝手な忖度で故人を悲しませないことを願う。法的な手続きも、後から文句を言われないようにするためではなく、遺族が安心して故人に感謝できるようにするためのものであってほしい。