こびとのくつや(Der Schuhmacher)
ただでは働いてくれない
グリム童話をテーマにしたカードゲーム。足りない材料はこびとたちが分けてくれる。でも、ちゃんとお礼をして森に帰さないと、できあがった靴をもっていかれてしまう。『枯山水』で第1回東京ドイツゲーム賞を受賞した山田空太氏の、『ポストマンレース』に続くゲームマーケット第2弾。
テーブルには材料(4色の革、2色のリボン、糸、布)、靴、こびとが何枚かずつ並べられる。手番には、場か山札から材料カードを取るか、手札の材料が揃ったら靴を作るかが基本。ほかの人より先に材料を集めて、どんどん靴を作ろう。材料が手に入れにくい靴や、材料が多い靴ほど得点が高い。
材料カードは2枚まで取ることができるが、2ゴールド分(多くは2枚)取ったら、1枚は公開しておかなければならない。こうして手持ちの材料に加え、みんなの前に公開された材料を横取りし、こびとが用意する材料も足して靴を作ることもできる。みんなのカードを使うから、できあがるのは早い。でもその代わり、こびとが自分のところにやってくる。このこびとをゲーム終了時まで森に帰さないと、こびとはできあがった靴の中から最も高いものを持ち帰ってしまうのである(ハーメルンの笛吹きみたい)。
こびとを帰す方法は2つ。1つは、できあがった靴を売ること。このゲームにコインはなく、売った分だけすぐに材料を購入する。売った靴の得点はなくなってしまうが、場にいい材料が並んでいたら、よりよい靴が作れるだろう。もう1つは、誰かがこびとを使ったときで、指定された材料をプレゼントするとこびとは森に帰ってくれる。自分で使ったときも帰せるが、使ったばかりの1人は残るから、つぎのチャンスを待たなければならない。
こうして誰かが靴を5足作るか、材料(2周)、靴、こびとのいずれかの山札が切れたらゲーム終了。残ったこびとが靴を高いものから持ち帰り、残った靴と、公開して揃えた材料の得点を合計して勝敗を競う。
3人プレイで30分ほど。レアな紫の革がたくさん手に入ったので、こびとを使わずに7点の靴を作るのに成功。その間、ふうかさんとkarokuさんはこびとを投入して靴の量産体制に入る。そのうち材料が切れてきたので、プレゼントする材料を確保した上でこびとを使ってみた。手札を減らさず靴ができるのが気持ちいい。しかし、ここでこびとを放出した後は、こびとを使う人がいなくなった。結局貧乏くじを引く形になり、最後まで残ったこびとが9点の靴をもっていって敗北。1位はふうかさん。
セットコレクションだが、こびとのリスクを取れば他人の分も使えるところが悩ましい。あと1枚あれば揃うところで、自力で引いてくるのを待つか、スピード重視でこびとを使ってしまうかは展開次第。終盤にこびとが残っていると森に帰せるかどうかどきどきする。こびとは集めている材料をめぐってほかのプレイヤーとの駆け引きもあり、最初から最後まで楽しめた。
こびとのくつや
山田空太/imagine GAMES(2013年)
2~4人用/8歳以上/30分
再版未定
オトーリバース(Otoreverse)
そっちのバースト(笑)
オトーリ(御通り)とは、「親」が口上を述べた後、杯に酒を注いでとなりの人に渡し、飲み干したら杯を親に返す、というのを繰り返して全員が酒を飲むという宮古の風習である。これをカードゲームにしたものが『オトーリバース』だ。ゲームマーケット2013秋でアルハラシステムズ(沖縄)から発表された。つぶれないようにぎりぎりまで酒を飲もう。つぶれそうになったらアルハラ(アルコールハラスメント)でほかの人に飲ませよう。
各プレイヤーに渡されるキャラクターカードには、得意な酒(いくら飲んでもOK)と、不得意な酒(ダメージ2倍)、限度量が書いてある。自分の番には、酒カードをめくるか、このラウンドを降りるか。酒カードに書かれたアルコール度数だけ、ダメージが蓄積されていく。限度量を超えたら「リバース」で、トイレに駆け込んでこのラウンドは無得点になる。だから、どこまでめくるか度胸が試される。
やばいと思ったら、アルハラもできる。回数制限があるが、自分が引いた酒カードを誰かに押し付けられるのだ。不得意な酒だったら一発でリバースになることも。リバースしないで終えたラウンドの、酒カードの度数の合計を競う。
1枚で即リバースのスピリッツや、ギリギリまで連続してめくるイッキ、となりの人がリバースすると連鎖するチェインリバース(いわゆるもらいゲ○)などのイベントなど、飲み会の雰囲気そのままに楽しめる。それでいてお酒の枚数や度数に違いがあって、めくるかどうかでちょっと確率計算できるようになっている。
3人で2ゲーム。1回目のキャラクターは限界度が低い上に、いきなりスピリッツとか引いてしまったため、リバースしまくりで無得点。2回目はキャラクターを変えてビールOK・テキーラNGのギャリーで勝負。しかし安全に進めた上に、アルハラやチェインリバースもあって1位を逃した。2ゲームともkarokuさんの勝利。こんな飲み会は絶対嫌だが、ゲームでは逆に楽しめた。リバースしてキャラクターカードを裏返すと、トイレの絵が出てくるのがいい。
オトーリバース
名嘉秀和、宮原彬、具志堅信篤/アルハラシステムズ(2013年)
3~5人用/20歳以上(?)/15分
ゲームマーケット2014大阪で再販予定