京都議定書(Kyoto)
周りを見て出す
10月にドイツで行われたシュピール’13会場で、日本語で話しかけてきたフィンランド人がいた。ロールD6ゲームズという出版社で働いているというその若者は、日本語を専攻していて、大東文化大学に留学していたという。その方の作品ではないが、”Kyoto”というカードゲームを作っているというので気になって訪れてみた。メビウスゲームズが12月に発売したクニツィアの『京都』とは同名だが全く別の作品。
このカードゲーム、産業界の社長となってノルマを達成しつつも、資源を使い過ぎてペナルティーを課されないようにするという、京都議定書がモチーフになっている。1997年に京都で開かれた気候変動枠組条約締約国会議(COP3)にて、温室効果ガスの削減目標が設定された。期限は2012年で、日本は東日本大震災を乗り越えて達成している。
手番には資源カードを山札か場札から取って、自分の前にプレイする。資源には石炭、原油、天然ガス、木材、ウランの5種類があり、希少度(枚数)が異なる。ラウンドごとに設定された生産目標まで、プレイしなければならない。しかしラウンド終了時に、資源の種類ごとに最も多く出していたプレイヤーには、ペナルティーが課せられる(資源によってペナルティーが異なり、枚数の多い石炭が高かったり、ウランは少なかったりするところがリアル)。お互いの状況をにらみ合いながら、出す枚数を調整するのはまさにCOP3状態。「石炭をたくさん出してきましたなぁ。それだとウチも出せるので助かります。」
しかし、ほかの人より少ないからといって油断はできない。出したカードを裏返すというアクションがあり、裏返した分はペナルティーに数えない。このため調子に乗って出していると気がついたらトップに躍り出てペナルティーが課せられることも。「聞いてないよ!」
生産した利益とペナルティーを差し引いて、最も多い人が勝つ。全体では一番多く、個別では少なくというジレンマが生み出す我慢比べが苦しくも楽しい。
シュピール’13には試作品での出展で、発売は2014年になるという。
Kyoto
P.サヴォラ作/ロールD6ゲームズ(2014年発売予定)
2~8人用/10歳以上/45分
『ブルーマックス』日本語版、1月中旬発売
オリジナルはGDWゲームズ(アメリカ)が1983年に発売したもの(1995年に再版)。初版から30年の時を経て、ストラテリブリ社(イタリア)がリメイクして発売した。プレイヤーは第一次世界大戦のパイロットとなって、孤独な空中での任務に向かう。プロット式で行動を同時選択し、自機の現在の速度や高度によって機動をひそかに計画する。同時に公開して移動を解決するため、相手の機動を読み、己の機体の限界を知らなければ、生き残ることはできない。
射撃では新規にデザインされたカードを使用し、マップ、ユニットなどのアートワークを変更するなど、リアリティーをより高めた。六角形タイルのサイズもと大きくすることで遊びやすくなっている。またフォッカーDr.I、アルバトロスDIII、ハルバーシュタットCL.II、ニューポール24、ブリストルF.2B、ソッピース・トライプレーンなど独仏英の代表的な機体が登場。戦闘機マニアにもたまらない作品となっている。
初回注文分の限定特典として、プロモーションキットのニューポール17、ニューポール24(新機体)の追加機体セットが付属する。