キングドミノ(Kingdomino)
あのタイルさえ来てくれれば!
中央にプレイヤー人数分のタイルを並べ、その中からほしいタイルを選ぶ。そのとなりにもまたプレイヤー人数分のタイルが並んでおり、タイルを取った人から次のタイルを選ぶ。取ったタイルは自分のお城から地形がつながるように配置し、これを繰り返して各自が12枚のタイルを取ったら終了。地形ごとにその広さと王冠の数をかけ、合計が多い人が勝つ。15分で終わるライトなゲームである。
ライトながらしっかりしたプレイ感がある1つ目のポイントはタイルの番号。各タイルには裏面に番号が振られており、小さい順に中央に並べられる。番号の小さいタイルを取ると、次のタイルは優先的に選ぶことができ、番号の大きいタイルを取ると、次のタイルは残りものになる。番号が大きいほど価値のあるタイルが多く、いいタイルを取ると次は選択肢がなくなるという仕組み。優先的に選ぶときは、自分がほしいタイルだけでなく、ほかのプレイヤーがほしいタイルを取ってしまうという手もあり、ジレンマと駆け引きが生まれる。
2つ目のポイントは、地形によって出現頻度が変えてあるところ。砂漠、草原、海、泥地、森、洞窟という6種類の地形があるが、たくさん出てくる割に王冠が少なかったり、少ない割に王冠が多かったりする。いくら広げても王冠がなければ得点にならないので、確実に得点するか、一か八か高得点を狙うかの選択も悩ましい。特に終盤は何が出ていないかタイル一覧表で分かるので、「海の家来い!」「森の小屋来い!」といった叫びが口々に出る(出たからといって、ほかのプレイヤーが取ってしまうこともある)。
3つ目のポイントはお城の位置取りを変えられるところ。お城から四方にタイルを配置できるが、最終的に5×5マスの陣地ができれば、お城の位置は中央でなくてもよい。お城をどこにするかは、出てくるタイル次第。「あのタイルが来るのを待って、ここは空けておこう」などという選択の結果、お城を端の方にする戦略もある。慣れてくるとそのあたりの加減が分かってくるだろう。
タイル選択のインタラクション、地形選択の戦術、お城の位置の戦略と、遊びごたえのある奥深さをもっており、外見はクラシカルなユーロゲームながら現代ボードゲームの要素が詰め込まれたゲーム。さらに立体のお城や木製の王様コマといったコンポーネントも美しく、箱庭感も楽しめる作品だ。
Kingdomino
デザイン・B.カタラ/イラスト・C.ブーケ
出版:ブルーオレンジゲームズ(2016年)
日本語版:テンデイズゲームズ(2017年)
2~4人用/8歳以上/15分
ドイツ年間ゲーム大賞2017に『キングドミノ』、エキスパート大賞は『脱出:ザ・ゲーム』
審査員は授賞式の前夜に投票して大賞を決定する。当日はノミネート作品のデザイナー、イラストレーター、出版社の代表が招かれ、それぞれ3タイトルのノミネート作品を順番に紹介した後、大賞が発表された。
先に紹介されたのはエキスパートゲーム大賞。7回目の大賞に選ばれたのは『脱出:ザ・ゲーム』。ドイツ人デザイナーのブラント夫妻がデザインした謎解きゲームで、コスモス社(ドイツ)から発売されたシリーズ3作品がまとめてノミネートされていた。エキスパートゲーム大賞はブラント夫妻にとって『村の人生』以来5年ぶり2回目。コスモス社にとって『アンドールの伝説』以来4年ぶり2回目。
審査委員会は「完璧なゲームの原理と、協力冒険ゲームの注目に値する品質で、第一弾の3タイトル全てを表彰すべきだと確信される。多様で革新的な謎解きは決して平凡でなく、しばしば天才的な解答を探す楽しみがある。これらの作品は、脱出ゲームファンと、それを目指す人たちにとってマストアイテムである」とコメントしている。
・TGiWレビュー:イクジット 秘密の実験室(EXIT: Das geheime Labor)
審査委員会は「古典的なドミノの原理を、元のシンプルなエレガンスさを失うことなく、新しい地平をもたらした。それどころか、これからできあがるお城周りの地形の計画と、タイル選択のクレバーなメカニズムの調和が取れて噛み合っており、見事に本質的なものに還元されている。巨大王国を作る2人用ルールでは、ゲーム習得をすみやかにすることができる」とコメントしている。
・TGiWレビュー:キングドミノ(Kingdomino)
ドイツ年間キッズゲーム大賞の発表は先月19日に発表され『アイスクール』が大賞に選ばれている(TGiWニュース
『キングドミノ』はテンデイズゲームズから日本語版が発売されており、『脱出:ザ・ゲーム』はグループSNEが来月から日本語版を発売する予定となっている。
・Spiel des Jahres e.V.:”Kingdomino” ist das Spiel des Jahres 2017
・Spiel des Jahres e.V.:”EXIT – Das Spiel” ist das Kennerspiel des Jahres 2017
— Spiel des Jahres (@SpieldesJahres) 2017年7月17日