『パンデミック』のリーコックが、社会問題をテーマにしたワークショップを開催するメナパーツと共同でデザインした作品で、CMYK社(アメリカ)から昨年発売された。ドイツ語版はシュミット・シュピーレから発売され、ドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞している(スイカTシャツ事件)。脱炭素化社会を目指す協力ゲーム。
各プレイヤーは欧州、米国、中国、第三世界のいずれかを担当し、地球温暖化に対する技術を開発して、回復力のある社会の構築を目指す。ゲームは最大6ラウンドにわたってプレイされ、各ラウンドには《長距離送電》や《樹木農園》などのカードを手札から自分のプレイエリアにある《クリーン発電所》や《回復ボランティア》などのカードにプレイする。既存のカードの前にプレイすれば能力の置き換え、後ろにプレイすれば強化となるほか、「エネルギー」や「生態系」などのタグが増えることで強力なコンボを生み出す。
メインボードには5つのステージがある。「国際ステージ」では会議を開き予測される《嵐》や《世界的な金融危機》などの危機を検討し、《大規模風力発電技術》や《損失・損害基金》などの国際的プロジェクトカードを選ぶ。「地域ステージ」では自分のボードに《社会運動》や《森林再生》などの地域的プロジェクトカードをプレイし、排気トークンや汚染エネルギーを除去する。「排出ステージ」ではこのラウンドで排出した炭素駒をできるだけ回収し、「危機ステージ」では国際ステージで出た危機カードを解決。危機が解決できないと「砂漠化」や「海洋の酸性化」でリソースや手札の減少を招く。
クリーンエネルギーの増産と、汚染エネルギー・排気トークンの除去により、温室効果ガスを実質ゼロにすれば全員の勝利で、その前にラウンド6が終わるか、気温が2℃上昇するか、社会的危機トークンが12個溜まると全員の敗北となる。ラウンドごとに各勢力のエネルギー需要が増え、勝敗の行方は最後までわからない。
「気候変動ゲームを作らないと聞かれるたびに、どうやったらこんな難しいテーマを楽しくできるのかわからないと答えてきたが、この作品はそれをやってのけた」(E.ハーグレイブ)、「プレイヤー間の自由な協力によって、チームとして行動し、一手一手の影響を議論するようになる」(P.ウォーカー=ハーディング)というように、シリアステーマとエンターテインメントを両立した作品。コンポーネントもテーマに合わせてプラスチック、繊維製品を使わず、木駒や紙類はすべて森を守るFSC認証、外包装のシュリンクをなくしている。
内容物:ゲームボード類 7枚、 カード類 281枚、厚紙製トークン 261枚、木製トークン 108個、ダイス 2個、ルールブック 1冊、紙製保管用トレイ 4つ
(写真はドイツ語版)