電力会社(Funkenschlag)

財布を中身をよく数えて
電力会社
電力会社の経営者となって、発電所を買い、電力を生み出し、都市に届けるゲーム。ミープルチョイス賞、ドイツ年間ゲーム大賞推薦リスト、ポーランド年間ゲーム大賞、スペイン年間ゲーム大賞ノミネート、イタリア・ルッカゲーム賞、日本ボードゲーム大賞2位など。言わずと知れた定番の名作ゲームで、日本を含む数多くのマップが発売されている。日本でも人気は根強く、日本版The One Hundredでは10位以内の常連である。

しかし、どんな名作ゲームでも、遊ぶ機会に恵まれないことがある。参加者全員が初プレイのゲームを優先する我が家のプレイ事情もあって、発売されて10年以上遊んでいなかった。そのことを知っていたtomokさんが、久しぶりに参加した近くのゲームサークルでわざわざ立卓してくれたおかげでようやくプレイできた。ドイツマップ北部を使い、3人プレイで2時間ほど。

ゲームの中心は、発電所の競りである。どの発電所を選び、いくらまで値をつけるかが勝敗を分ける。毎ラウンド、発電所がいくつか並ぶのでその中から順番に1枚を選んで競りにかける。落札した人は抜けるので、後になるほど楽に入手できるようになるが、いいものはもう残っていないかもしれない。

この後、残ったお金で燃料を買い、盤面の都市に建物を建てて送電網を広げなければいけない。こちらもお金がかかるので、競りでいくらまで出せるかよく計算しておく必要がある。お金がかつかつなので、1エレクトロ(このゲームのお金の単位)も無駄にできない。何度も何度も所持金を数えていた。

燃料を買う順番、建物を建てる順番は、発電所のグレードが低い人からである。そのため、なまじいい発電所を落札してしまうと、燃料は高騰するわ、建物を建てられる都市はなくなるわでたいへんな目に遭う。ほかの人よりちょっとグレードの低い発電所で止めておいて、燃料や建物でイニシアチブを取るしゃがみプレイが基本。でもみんなが同じことを考えているわけで、競りの駆け引きはいよいよ熱い。

ラウンドの最後に、燃料を使って発電所を稼働させ、建物を建てた都市に送電すると収入が入る。しかしこの収入もすぐに次のラウンドの設備投資に消えてしまうのだ。電力自由化も楽じゃない。

途中で建物を建てられる都市が増えるが、ゲームの流れは、発電所の競り、燃料の購入、建物の建設、収入の繰り返し。しかし最後は劇的な終わりを迎える。それは、所定の数の都市に送電すること。そのラウンドで終わりとなり、いくら所持金が多くても、送電できる都市が少なければ負けてしまう。このため、終盤は発電所の容量と建物の数をめぐって、あといくつで終了トリガーが引かれるかの睨み合いとなる。

今回のプレイ、序盤は経験者の鴉さんと場所争いを制して、広い送電網を築くことに成功。発電所もそこそこ旧式の火力発電にとどめ、手堅い経営ができた。しかし終盤は燃料を必要としないクリーンエネルギーの発電所がどうしても手に入らず、燃料費がじわじわと経営を圧迫してくる。最後は2エレクトロだけ足りなくて所定の数に送電できず。勝者は序盤で燃料を買い占め、使いきる頃にスムーズにクリーンエネルギーに転換できたtomokさん。鴉さんは原子力発電所を独占できたものの、それまでしゃがみすぎたようだった。

1エレクトロに泣くこともある非常にシビアなゲームだが、競りがそのカツカツさをほどよく緩和し(ほかの人が要らない発電所だったら入手しやすいなど)、爽快感も味わえる。発電所の出る順番によってゲームの展開も大きく変わり、さらにマップごとにさまざまな追加ルールが導入されて、ずっと遊び続けられる作品である。

Funkenschlag
F.フリーゼ/2Fシュピーレ(2004)・アークライトゲームズ(2010)
2~6人用/12歳以上/120分

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