ドイツのボードゲームメッセ「シュピール’14」では、日本発のゲームの海外版が多く見られた。開催前日、プレス向けに行われるプレビューは、各出版社が有料でスペースを借りて新作をアピールしている。そのためこのプレビューで展示される作品は、各社が力を入れてPRしていることを表す。ここでいくつも日本の作品が見られたことは、日本がひとつのブランドとして認知されつつあることを示しているといえるだろう。
今年、ドイツゲーム賞でカナイセイジ氏の『ラブレター』が4位に入賞。また日本の創作ゲームサークルが共同で出展している「ヤポンブランド」ブースは年々混雑の度合いを深め、今年は2つ目のブース「ミニマルゲームズ」を開設した。『シェフィ』をサンプル展示している「冒険企画局」ブースでは、ライセンスを希望する出版社がよく訪れるという。日本の存在感は、確実に増している。
ここではプレビューで展示されていた日本の作品を紹介しよう。
1.セイルトゥインディア(Auf nach Indien!)
OKAZU Brandによる、ポルトガルからインドを目指して航海するカードゲーム。日本でもゲームフィールドによる豪華版が発売されている。世界で評価される日本のミニマリズムが、500円ゲームズから始まったことをよく表す作品だ。AEG社による英語版、イエロ社によるフランス語版もある。ペガサスシュピーレによるドイツ語版が展示されていた。
2.街コロ(Machi Koro)
グランディングによる、ダイスで街を発展させるカードゲーム。ロシア、オランダ、アメリカ、イタリア、ポーランド、韓国、ドイツ、フランスの各国語版が製作されており、世界中で遊ばれるようになった。プレビューはコスモス社によるドイツ語版。
3.究極のワンナイト人狼(Loup Garou pour Une Nuit)
10分で終わる人狼ゲームをT.アルスパッチがアレンジした作品。ベジエゲームズによるフランス語版が展示。
4.すしドラ!(Sushi Draft)
こげこげ堂本舗による、回転寿司のドラフトカードゲーム。ブルーオレンジゲームズ・ヨーロッパによる多言語版が展示。
5.赤ずきんは眠らない(Eat Me If You Can!)
ユニアスによる、オオカミが相手の出方を予想して襲う心理ゲーム。イエロ社(フランス)による英語版が展示。
6.小早川(Kobayakawa)
オインクゲームズによる、コインを賭けて勝負をするカードゲーム。イエロ社(フランス)による英語版が展示。
日本の作品が海外の出版社で取り上げられるルートはいくつかあるが、ヤポンブランドによる出展の比率が最も大きい。ヤポンブランドでは、予めサンプルを何人かの海外レビュアーに送り、ウェブサイトで紹介してもらうことで注目度を上げているが、これが出版社の目に止まり、製品化に結びついている。今年も21タイトルもの新作がヤポンブランドとミニマルゲームズで発表された。ゲームマーケットからヤポンブランド、ヤポンブランドから世界という流れ。来年の今頃、このうち何タイトルが海外版で出版されているか楽しみである。
日本の作品はアートワークがしょぼかったり秋葉系が入ってたりするので買う気が失せますが、こうして力の入ったデザインでリニューアルされると欲しくなりますね。