巻頭で安田氏は、過去1年間の新作を振り返って、ワーカープレイスメントのさらなる広がりと、正体隠匿型、クラウドファンディングの人気を分析している。ワーカープレイスメントでは『ルイス・クラーク探検隊』『洞窟農夫(カヴェルナ)』『ロシア鉄道(ロシアンレールロード)』『航海術』『スパイリウム』『ユーフォリア』を挙げる。今やワーカープレイスメントは、ゲーマーズゲームに共通のプラットフォームとなっている。
また正体隠匿型では『ラブレタ―』『レジスタンス・アヴァロン』『クー』、クラウドファンディングでは『ユーフォリア』が挙げられている。後者について「現状はやはりアマチュア出版の弱点もあり、当初はおもしろそうに見えても、実際の出来には首を傾げたくなるゲームもまだまだ多い」というのは的を射た指摘であろう。
レビューもシステムを主体に執筆されているので、評論として読める。そのため遊んだことのないゲームよりも、遊んだことのあるゲームのほうが、どのように分析しているか分かるので面白い。良い面だけでなく、今ひとつの部分にも言及されており、自分の感想と比べるのもこの本の楽しみ方だ。
『オムノムノム』『グラヴウェル』『ビーグル号の航海』『漂流者』など、日本ではあまり流通していないゲームが取り上げられているのも特徴で、危うくスルーしそうになったゲームをチェックするのにも使える。リストを見ながら、どれをまだ遊んでいないか、どれを遊びたいかを考えるのも楽しい。
そのほか、グループSNEの皆さんが楽しく遊ぶ様子を記録したリプレイ、シンプルなゲームに焦点を絞って紹介する「ウニ頭でもできるもん!」、日本人デザイナーの作品やiOSアプリで遊べるゲームを紹介するコラム、ボードゲーム大好き座談会など誌面もますます充実。毎年読んでいる人だけでなく、最近やり込んでいるという人にお薦めしたい書籍だ。
・グループSNE:ボードゲームストリート2014