ブレーマーハーフェン(Bremerhaven)

勝利点=名声×所持金
ブレーマーハーフェン
ドイツ北部の港湾都市ブレーマーハーフェン。「ブレーメンの港」という意味だが、ブレーメンからは60kmくらい離れている。港がなかったブレーメンが、19世紀に隣国から土地を買って港を整備したところが街になったものである。そのブレーマーハーフェンを舞台に港を経営する戦略ゲーム。港の経営ゲームで名高い『ル・アーブル』のルックアウトシュピーレ(ドイツ)から、似たようなデザインで今秋発売されたが、デザイナーはローゼンベルクではなく、新人である。
港を整備し、荷物を積んで船を招き、その荷物をトラックに積み込んで利益を上げる。さまざまな特殊能力をもった建物と、停泊している船が名声になり、名声と所持金を掛け算した勝利点を競う。勝利点=名声×所持金というのが、非常に分かりやすく、そして悩ましい。
アクションの選択は入札である。手札の5枚を順番に1枚ずつ、自分がやりたいアクションや、自分がほしいカードのところに裏にして置き、全部置いたところでオープン。それぞれのアクションやカードで、カードの数字が最も多い人がアクションを行ったり、カードを手に入れる。1ヶ所に何枚でも置けるが、無駄に争ってカードを消費すると、ほかのアクションができないだけでなく、漁夫の利もさらわれてしまう。インタラクションが強いシステムである。
入札するアクション・カードは、収入、建物カード、建設、手札のアップグレード、品物の価格変更、ランキング変更、船カード(プレイヤー人数分)、契約カード(プレイヤー人数分)で、4人プレイなら14ヶ所にのぼる。ほかのプレイヤーとの競合をなるべく避けつつ、うまくカードを配分していきたい。
アクションとカードの取得が終わったら、自分の港で建物を稼働させたり、船から荷物を降ろして契約カードに移したりする。ここで思い通りにいかないのが「時間マーカー」の存在。船カードと契約カードは、取得したときに指定された枚数の時間マーカーをのせ、毎ラウンド1枚ずつ取り除いていく。そして時間マーカーがなくなったときに、船は去り、契約カードは満期となるのである。それまでに指定された品物を届けていないと、売上から違約金を差っ引かれてしまう。
建物を建てるには建物カードスペースの入札で1位になり、さらに建設のアクションが必要だが、品物を生産したり、建設費が下がったりするなど特権がある上に、名声も高まるのでぜひチャレンジしたいところ。建物は20種類と少なめだが、イベントカードと連動しているものもあって1つ1つが個性的だ。
さらに入港した船の名声が加えられる。一度上がった名声は、船が港を去ってももう下がらない。名声トラックには、過去最高分が記録される。したがって建物をばんばん建て、頑張って豪華な船をどんどん入港させたいところだ。しかし建物を建てられる場所は限られており、豪華な船を受け入れるには埠頭を拡幅する工事が必要だ。どこに力を入れればお金と名声が共に高められるか、考えることが多い。
ラウンドの最後に起こるイベント(海賊とか、好景気とか)が前のラウンドから発表されており、対策も立てて置かなければならない。何ラウンドか行ったらゲーム終了となり、名声の過去最高記録と、所持金を掛け算して最も大きい人が勝ち。
4人プレイ・ロングゲーム(イベントがないショートゲームもある)を初プレイで3時間。序盤のカギは建設のアクションだった。みんなが必要で、入札でトップでなくても差分を支払えばできるので「相場を上げない」という「紳士協定」が広まる。しかしbashiさんが手札をどんどんアップグレードしつつ、相場を一気に上げる作戦に出た。これで計画外の支出になったり、最悪の場合建設できない人多数。その中で「銀行」を建て、直前に完了した契約の売上を全預金した鴉さんが、複利で所持金を伸ばしていく。みんなで鴉さんを止めにいったが止められず1位。しかし、tomokさんが終盤に契約を次々と果たし僅差に迫ったのが印象的だった。私は荷物が回らず最下位。手札最強だったbashiさんは禁断の「娼館」を建てて蓄財に励んだが、荷物の配達で終盤に伸び悩んで3位。
入札のときの駆け引きに加え、カツカツのお金、時間マーカーやスペース不足による制限が生み出す苦しさがやみつきになりそうなゲーマーズ・ゲームである。シンプルな得点計算方法は、お金と名声のどちらを増やしたらいいか常に悩ませられる。
Bremerhaven
R.アウアロフス/ルックアウトシュピーレ(2013年)
1~4人用/12歳以上/60~120分
ホビージャパンから日本語ルール付きで発売予定

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