フラッシュポイント(Flash Point: Fire Rescue)


今燃えようとしている火がそこに

2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロでは、消防士やレスキュー隊の果敢な救助活動が注目された。彼らの活動は死と隣り合わせで、実際に命を落としたニューヨーク市の消防士は343人にのぼる。事件から10年後、同じアメリカで発売されたこの協力ゲームは、火事で家の中に取り残された10人の命を知恵と勇気で救助する。建物が崩壊するのが先か、7人以上救助するのが先か?

消防士たちが到着したときには、すでに家の中に炎が広がっている。順番にアクションポイントを使って、家の中に入り、炎を消し止め、要救助者を屋外に運び出す。でも決して容易な仕事ではない。

まず要救助者が、家の中のどこにいるか、はじめは分からない。「?」マーカーのところにいくと、2:1の確率で要救助者が登場するが、誤警報のこともある。せっかく家の奥まで入ったのに、そこには誰もいなかったなんてことも。消防士のアクションポイントは限られているので、無駄な動きは敗北につながるだろう。「オレはこっちから入って、奥を探索する。援護の消火活動を頼む!」「了解!」チームワークが大事だ。

そして1人手番が終わるたびに炎が拡大する。待ったなし。サイコロで決めた座標にまずは煙マーカーを置き、すでに煙マーカーがあれば炎マーカーに変える。すでに炎マーカーだったら、このゲームのタイトルにもなっている「フラッシュポイント(引火点)」だ。爆発して周囲四方向が延焼し、壁が壊れる。周囲にも炎マーカーがあると、恐怖のショックウェーブ。その直線上で離れているところにも延焼や壁の損壊をもたらす。さらに、炎マーカーに隣接する煙マーカーが全部炎に変わるフラッシュオーバー。連鎖反応で炎が広がっていくのは恐ろしい。

フラッシュポイント

消防士が炎に包まれると、ノックダウンして救急車に運ばれ、そこから再起を図る。しかし要救助者が炎に包まれれば、残念ながら手遅れとなってしまう。無事に救助できれば、次の「?」マーカーをサイコロで決めた座標に補充して次の人の手番となる。

経験者向けゲームでは、最初から相当火の手が広がっており、爆発も何度か起こっている。また、引火するといきなり爆発する危険物が屋内にあり、連鎖で炎が広がる高温点マーカーも登場する。しかも要救助者を屋外に運び出すだけでなく、救急車に乗せなければならない。難易度は3段階だが、新入隊員レベルでも十分厳しい。

一方、消防士のほうもグレードアップしている。まず強力な放水銃を備えた消防車。消防士が自ら乗り込まなければならないが、うまく使えば一挙に炎を消し止められる。おそらく1人は、消防車の運転手専属になるだろう。さらに、各プレイヤーは特殊技能をもった専門家を担当する。「?」マーカーをめくって要救助者がいるかどうかを確認できる赤外線走査員、要救助者が自力歩行できるように治療する救急救命士、消火用のアクションポイントが多いCAFS隊員、放水銃を1回の手番に2回動かせる操作技師など8種類。どれを選ぶかから、ゲームは始まっている。

新入隊員レベルでプレイ。tomokさんの消防車が活躍し、6人目までは何とか救出し終わる。ところが7人目がまもなくというところで、相次ぐ爆発のため壁が予想以上に壊れており、建物が崩壊して敗北。リベンジを誓うのであった。

協力ゲーム、連鎖反応、各プレイヤーの特殊能力など、いたるところに『パンデミック』(2008年)の影響が見られるが、カードが一切なく、ランダム要素がサイコロで決められていることと、テーマが身近であることで、より分かりやすく、感情移入がしやすい作品である。

Flash Point: Fire Rescue
K.ランジング/インディー・ボード&カード(2011年)―ホビージャパン(2012年)
2~6人用/10歳以上/45分

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