小さい頃、祖父から将棋を教えてもらったのを憶えている。何度やっても勝つことができず、本を読んで穴熊など試してみたりした。そんなことを思い出しながら、長女と『どうぶつしょうぎ』を遊んだ。
『どうぶつしょうぎ』は昨年発売されて9ヶ月で17万個も売れたヒット作である。うちにあるものも、親戚のおばさんから長女へのクリスマスプレゼントだった。そんな風にして、ボードゲームなどあまり知らない人も気軽に手に取るからこそ、ここまでヒットしたのだろう。
絵柄が子供にも親しみやすいだけでなく、どこに動けるかがドットで示されていて間違わない。盤面は3×4マスで、ヒヨコ(歩)同士はもう最初から目の前。先手はこのヒヨコを取るかどうかを考えることになる。
それでいてゲームは意外に深い。取ったコマを好きなところに打てる、前にしか進めないヒヨコが奥の列まで行くとニワトリになり、6方向に動けるようになるというような将棋のエッセンスだけでなく、将棋にはなかったライオン(王)が敵陣の一番奥まで行くと勝ちという将棋になかったルールでエキサイティングになった。
こちらによればお互いベストを尽した場合78手で後手が勝つそうだが、これだけの盤面なのにそれだけ手数が多ければ、人間同士が普通に遊ぶ分には全く問題がない(『シンペイ』は49手とのこと)。実際、30手くらいで決着が着く。
ここを取ったら、あちらに取られ、今度はこれで取って、ライオンはこっちに逃げるから……というような読みは、記憶と思考の訓練になる。はじめは同じコマで進んだり戻ったりしていた長女も、3戦目くらいになると少し先を読めるようになっていた。
草場純さんによれば、『どうぶつしょうぎ』はフェアリーにしやすいという。左右の端から反対側に出られるルールなど、しばらく遊んだら、いろいろな追加ルールやルール変更を考えてみるとよいだろう。もちろん、これをステップにして将棋にチャレンジするのもよい。
どうぶつしょうぎ
北尾まどか/幻冬舎エデュケーション
2人用/4歳以上/10分