ライン公国(Rheinländer)

フェイス2フェイスゲームズによる「ラインレンダー(RheinLänder、パーカー・ハズブロー1999)」の再販。ライン川沿いに騎士を配置しながら領地を広げ、都市や教会でポイントを集めるボードゲーム。例によってメーカーの依頼で日本語訳を制作。これまでよりも長めのルールだったので、やりとりがたいへん。誤訳や誤植で3回訂正した。

ライン川には番号が振ってあって、対応するカードを出すことで騎士を配置できる。騎士が2人以上並べば領地を形成でき、公爵コマを置いて所有権を表す。しかし隣りの領地に合併されたり、領地内の敵の騎士の勢力が増してしまうと奪われる。この桂三枝の国盗り合戦(桂三枝は余計だが)がとってもエキサイティング。自分の領地を奪われないよう気をつけながら、敵の領地を虎視眈々と狙う。秘密兵器「大司教」をもてば一気に形勢逆転することも可能だ。

作者のクニツィアにはチグリス&ユーフラテス(1997)、砂漠を越えて(1998)、サムライ(1998)といういわゆる陣取り三部作があるが、その後継としてそれに勝るとも劣らない陣取りゲームだった。クニツィア特有の胃が痛くなる要素「クニツィアめ?」満載。またこのゲームが発売された時期は、ラー(1999)、スティーブンソンロケット(1999)、タージマハル(2000)など、クニツィアのフリーク向けゲーム絶頂期でもある。

それが今ひとつ話題に上らなかったのはハズブローという、少なくともドイツゲーム界では評判のよくないメーカーだったことが大きいのではないかと思われる。それに起因するゲームバランス調整の甘さもあったのかもしれない。

このたびの再販は、イラストを一新、コマも木製を使うなどコンポーネント面では改良が見られたが、内容は一切変更を加えていない。日本語ルールが付属するが、約10年をおいて再販された「アイム・ザ・ボス」と違ってたった5年前の作品なので、どこまで売れるか正直疑問ではある。

今後のラインナップとしてムーン&ワイスブルムのアムレット(2001)も控えているが、これに至ってはさらに再販までの期間が短い上に、コンポーネントをこれ以上改良することも難しいだろう。むしろ興味深いのはこれから出てくる新作。エッセンではシャハトがゲームを売り込みに来ているのを目撃したし、今後もデザイナーゲームに取り組んでいくとすれば将来は明るい。

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