先週末に引き続いて自宅ゲーム会を開催。今回は仙台からぽちょむきんすたーさん、福島からくさのまさんとcarlさん、そして埼玉から鴉さんがいらっしゃった。このところスケジュールがぎっしりで、ルールすら予め読んでおく余裕がないくらいだが、それゆえに最高のリフレッシュである。この日も午後2時から始めることになっていたが急用で1時間半遅れ。しかも終わってからすぐ会合があってお見送りも満足にできず。遠くからいらっしゃった参加者には申し訳ない限りだったが、盛り上がるツボを心得た方々ばかりで、今回もよいゲーム会となった。
シャーウッドの森|いかだ動物園
シャーウッドの森(Sherwood Forest / N.フィンケマイヤー / エッガートシュピーレ, 2009)
イングランドの森を通りかかる旅人を、共謀して襲い金品を強奪するボードゲーム。年明けのニュルンベルク玩具見本市に発表される作品はほとんどがファミリーゲームという中で、これほどヘビーなゲームは数少ない。何がヘビーって、交渉である。プレイ時間は60分となっているが、今回は初級ルールにも関わらず2時間半も費やした。21世紀にはいってからこういうゲームは数少なくなったが、ドイツゲーム黄金期の90年代にはよくあった。しかしさすが21世紀のゲーム、新しいシステムであるワーカープレイスメントも取り入れられ、90年代よりも洗練されている。
ヘビーなのは交渉だけで、ルールは多くない。順番に盗賊コマをボードに置いて襲撃を計画し、旅団が実際に通って襲撃が実行される。これを6ラウンド繰り返して、勝利点の高い人が勝ち。
はじめにこのラウンドの旅団が並べられる。表になっているのは1枚だけで、あとは全部裏。中には旅団の強さと、襲撃に成功したときに得られる報酬、そして旅団のルートが書かれている。まずは盗賊コマを酒場に置いて情報収集(裏になっているカードを見る)するのがよいだろう。
盗賊コマを置くアクションには、酒場のほかに教会(お金を勝利点に換える)、商人(武器を買う)、市場(仲間を増やす)、隠れ家(襲撃に備える)がある。
情報が分かってきたら、旅団が通りかかる位置に盗賊を置く。盗賊団の強さは盗賊の数と、商人から買ってきた武器の数の合計。単独で置くこともできるが、旅団が強ければ、ほかの人に呼びかけて協力してもらってもよい。ここに交渉が発生する。
「2名募集! うまくいけば1点と1金がもらえます」「1人と武器で2名分出せますよ」「でもそれなら1金はありません」「だったらやめます」「1名だけでしたら」「じゃあほかにもう1名誰かいませんか」「それじゃ私が」……
複数の旅団がいることで交渉がややこしくなる。「3名募集!」「いやこっちの旅団のほうが獲物は大きいので、うちと組みませんか」「儲けは少ないですが、1人出してもらえれば倒せる旅団を知ってます」……
さらに、旅団のルートがところどころ重なっているため、どの隠れ家に置いたらよいか非常に悩ましい。何しろ、どんな旅団でも通りかかったら襲撃しなければならず、成功したら解散しなければならない。大儲けをたくらんで大挙して隠れていたら、みすぼらしい修道士が通りかかって終了なんてことも。獲物は平等に配分されるが、足りなければリーダーが振り分ける。だから交渉のときは、どの隠れ家に置いたら確実に狙っている旅団を襲えるかまで把握しておきたい。
慣れないうちは皆情報をオープンにして交渉していたが、情報提供を交渉材料にできる(「1人多く出してくれれば教えますよ」みたいな)ことが分かるにつれて、だんだん出し惜しみするようになる。これでさらにプレイ時間が延びた。トップ目のプレイヤーは仲間に入れてもらえないし、得点の入り方は1点や2点ずつなので、自然に得点も均衡。最終ラウンドの勝負となった。これなら6ラウンドではなく3ラウンドくらいで終わってもよさそうな感じである。
計画的な襲撃で大きい旅団をものにしたぽちょむきんすたーさんと、武器にものを言わせて盗賊をなぎ倒した鴉さんが同点で並んだが、使った盗賊の数でぽちょむきんすたーさんが1位。私は最後の大逆転にかけて見ずてんで張ったがハズレてしまい最下位。
上級ルールではさらに、獲物の分配まで交渉できるようになり、また弱い盗賊団を蹴散らす保安官が登場する。考えることが増え、さらに交渉が延びそうだ。
いかだ動物園(Zoowaboo / C.ロッシ / セレクタ, 2009)
並んだ動物のコマが、イカダの穴に全部収まるかを見積もるゲーム。今年の年間キッズゲーム大賞ノミネート作品。
イカダタイルを置いて、その周りに10枚のカードを並べ、対応する動物コマを置く。この10個のコマがイカダの穴に入るかどうかを見積もって、入ると思えばイエス、はみ出すと思えばノーのタイルを出して一斉にオープン。
ここからがゲームの真骨頂。全員がイエスだったら動物を1匹増やし、全員がノーだったら1匹減らすのである。これをイエスとノーに分かれるまで繰り返す。分かれたら、イエスを出していた人が皆で(1人だったら1人で)、実際に穴に動物コマを詰め込んでいく。詰め込めればイエスだった人の得点、駄目だったらノーだった人の得点。
全員イエスだったら増やすというルールで、(大人がやると)チキンレースになるのが面白い。「余裕っすよ!」と煽られるとイエスが出しづらい。そのうちどこでノーを出して降りるかの判断が狂い始める。
もっとも、小さい動物コマが入るかどうかの見積もり自体も難しいから、ノリで出しておいて、いざとなったら頑張って詰め込むというのが正解かもしれない。動物を詰め込むのはパズルで、砂時計による制限時間もある。足をうまく組み合わせて隙間なく詰めていくのも楽しい。
ゲームは6ラウンド行われ、中央のイカダのかたちは毎回変わる。ゲームに慣れさせない見事な仕組みだ。得点は1ラウンド目が1点、2ラウンド目が2点……6ラウンド目が6点。逆転も不可能ではない。
煽りまくっておいて、自分は冷静に判断した鴉さんが全問正解で1位。私は弱腰になって早々に降りたら隙間が残るくらいだったり、逆に強気になったらぎりぎり詰め込めなかったりして(1人だけイエスという場面。あそこで詰め込めたらヒーローだったのになあ)、最下位。お決まりのパターンが多い子供ゲームの中で、オリジナリティが高くて新鮮だった。今回のノミネート5タイトルの中では、最も気に入った。
賭博英雄伝セブンよりバッティングポーカー(川崎晋 / カワサキファクトリー, 2009)
心が通じ合っちゃダメ!
今はゲームマーケットの目玉というだけでなく、エッセンで世界のゲームファンが楽しみにしているカワサキさん。今年の新作は、ギャンブルゲーム7種のアンソロジーである。そのうち1番目の『バッティングポーカー』を遊ぶ。
参加料を払い4枚の手札をもらってスタート。手番には、好きなだけ捨ててその分だけ山札から引くか、お金を払って場札1枚と手札を交換するか、パスするかが選べる。ワンペアからフォーカードまでのポーカーの役を作るのが目標だ。3回手番があり、いい役を作るのはさほど難しいことではない。しかし、いい役を作ったからといって得点になるとは限らない。
下の役から順番に、ディーラーが呼び上げるので手札をオープンする。同じ役を作った人がほかにいなければ得点。タイトルの通り、バッティングしてしまったら減点である。上の役ほど得点が高いが、皆狙うのでバッティングしやすいという罠。かといって下の役で安全策をとると、強気で上の役にいった人に高得点を許してしまう。これは悩ましい。
役を選ぶ手がかりは中央のポットである。参加料と減点分のチップがここに置かれている。得点しても、ポットあるチップの分しかもらえない。チップが少ないときは、下の役で先にチップを取ったほうがよいし、チップが多ければバッティングのリスクを承知で上の役を狙ってもよいだろう。あとは性格と、顔色だ。
「合計10」という役を通しまくったぽちょむきんすたーさんの圧勝。私はなぜかcarlさんと心が通じ合ってバッティングしまくりで原点を半分も下回った。下の役から呼ばれていくとき、手札を公開しない人同士が顔を見合わせるのがおかしい。
ギャンブルゲームは道具の豪華さも大事だが、今回のコンポーネントもかなり力が入っている。厚紙を打ち抜いて使うチップはドイツゲーム並みの品質でやる気が出る。あと6種も楽しみだ。