珍しく日曜日がまる1日空いたので仙台まで足を伸ばす。仙石線の苦竹という駅から5分ほどの公民館で毎月2回開催されている遊友会というサークルにお邪魔した。初めてだったが、代表の神尾さんはじめ山形に何度もお越しくださっているメンバーがいるのですぐ溶け込めた。驚いたのは北海道の筒井さんもいらしていたことで、出張でいらっしゃっているのだという。全国に知り合いが広がり、どこかでふとお会いして嬉しいというのも、ボードゲームの楽しみのひとつだ。
ギズボーン
ギズボーン(Gisborne / C.ロッシ / クレメントーニ, 2008)
得点を集めながらカードで進むレースゲーム。イタリアに本社のあるクレメントーニ社はW.クラマーなどの有名デザイナーを使ってもあまり成功しておらず、このゲームのようにイタリアのデザイナーで行ったほうがよいゲームになっているようだ。調整時間の問題だろうか。
カードはトップの人から出していくので、後ろの人は前の人が出した枚数を見て追い越すか否かを決めることができる。それが重要なのは、順位によって手に入るカード枚数が違うからだ。
コース上にあるチップを誰かが取るたびに決算が起こる。トップからカードをもらい、それを手札にして進むもよし、箱に入れて点数にするもよしどちらでも選べるのだが、枚数は順位次第。トップが一番多くもらえ、2位、3位と枚数が減っていく。ところが最下位はもらえる枚数がちょっと多い。そこで決算が発生しそうなときに追い抜くかどうか考えることになるというわけだ。
カードをたくさんもらったトップが独走するかというとそうでもない。ボードの先は、トップが入ってから開かれることになっている。移動数半減の沼や、チップを奪われるコヨーテなんかに突っ込んでしまったらたいへんだ。チップのあるマスを通過してしまうことだってある。一方、後ろの人はすでにめくられたボードを見て回避したり、チップを狙ったりできる。先頭もよしあしというわけだ。
今回はぽちょむきんすたーさんが途中から先を省みない猛ダッシュで独走。チップを取り逃したりしたものの、悪いマスも強運で逃れてダントツ1位。私は途中で沼にはまってから急速に動きが悪くなり3位。もらったカードを手札に入れるか箱に入れるかの判断が勝敗の分かれ目。30分ほどでできるゲームで繰り返し遊びたいと思った。
ドラゴンダイス(Drachenwurf / W.パニング / シュミット, 2008)
ダイスを振ってドラゴンを集めるゲーム。シュミットが今年発表した「イージープレイ」シリーズは、愛好者の望みのままに複雑化したドイツゲームでかえって目立つことになっている。90年代前半だったらきっと影を潜めていただろう。ちょっとのルール説明ですぐ始められるゲームというのは意外と重宝する。
ダイスを振って出た目の色のドラゴンを獲得できるのだが、一度取ったドラゴンも1周の間は安全でないところがポイント。その間にほかの人がより多くのダイス目を出せば奪われてしまう。だが奪われたとしても、さらに多くのダイス目を出せば奪還できるわけで、一種の競りのようになっている。なかなか熱い。奪われると補償として卵をもらえ、ダイス目を改善したり1点になったりするという敗者にやさしい工夫もある。
6つのダイスは一投ごとに1つ以上確定させるので、最大6回振ることができる。ほしい色がだんだん揃っていく様子はスロットルを見ているようでワクワクする。最後の1個が外れて取れなかったときの悔しさ、いきなり揃ったときの喜び。ダイスゲームはこれくらいシンプルなほうがよい。
一服盛男さんが調子よく同色のドラゴンを集めて優勝。私のドラゴンは写真のようにてんでばらばらでいいとこなしだったが、取ったドラゴンがほかの人の集めているものばかりで、ほとんど奪われて卵だらけのぽちょむきんすたーさんはもう喜劇だった。
エケトープ(Eketorp / D.ヘン / クイーンゲームズ, 2007)
バッティングしないようにして資材を集め建物を作るゲーム。『アルハンブラ』の作者D.ヘンが自身のメーカーから発表していたものをクイーンゲームズがリメイクした。『テーベの東』が昨年ノミネートされたこともあり、クイーンゲームズはリメイク路線に入っている。
ついたてで隠した自分のボードで、コマをどのエリアに遣るかこっそり決めてオープン。各エリアにある資材の数が定員で、定員以下なら無血で獲得できるが定員以上なら戦わなくてはならない。コマはたくさんあるので、高級な資材には6人も7人も集まってしまうこともある。
戦闘は手番プレイヤーが相手を選んでサシで勝負。お互いカードを出して数字の大きいほうが勝ち残る。負けたら病院へ。数字の差が大きいとなかなか帰ってこれないから注意が必要だ。こうして1人ずつ減っていき、定員になったら資材を配分する。同数だったときは共倒れになるというルールがあって、いきなり2人いなくなって戦わずして獲得なんてことも。
戦闘に使ったカードはお互い交換され、プレイヤー間を循環する。負けた人には強いカードが来て、あとの戦闘で有利になるという仕組みだ。何枚か覚えておけば、相手のカードの状況が分かるから有利に進められるだろう。
これだけでも十分楽しいが、資材はほかの人からも奪えるのがポイント。ついたての裏で、中央の資材置き場だけでなくほかの人のエリアにコマを置くこともできる。同様についたての裏で相手が警備コマを置いていなければ、やすやすと資材を奪ってこられる。守るほうとしてはそれを警戒して警備コマを置いても誰も攻めてこないこともあるし、警備コマを置けばその分ほかのエリアに回せるコマが減るわけで選択が悩ましい。
誰を狙ってもよいところで、下位プレイヤーを狙うという戦術は確かにある。トップのプレイヤーは狙われることを警戒して警備コマを置いてくるからなかなか崩せない。一方下位のプレイヤーは資材集めに必死でガードが甘くなるから、資材を取れる可能性が高いだろう。しかしそうすると誰かをゲームから脱落させてしまい、場合によっては険悪なムードになる恐れもある。こういう直接攻撃ができるものはアメリカゲームにはよく見られるが、ドイツゲームでは珍しい。
さて今回、ずっとトップ目だったA間さんは草の家で崩しやすそうだったが、誰かが崩してくれるだろうと中央に集まるみんな。そのうちに規定数達成してしまい最終ラウンド前にゲーム終了、逃げ切り1位。筒井さんと戦うたびに同じ数字が出て共倒れしまくった上、最後にコマが少なくなったところでむしり取られた私は最下位。直接攻撃の奪い合いはところどころ発生していたが、得点は終盤まで均衡したいいゲームだったと思う。下位狙いなどしない紳士で遊べばマル。
トランプ、トリック、ゲーム!(Auf der Pirsch / G.ブルクハルト / ファランクスゲームズ, 2003)
足跡を集めつつ、クマも
ゲーム内容はこちら。ルールの確認点としては、3トリック取った人でもフォローする義務があるが、フォローされる義務はないこと。最初の3ラウンドは足跡のあるカードの色だけ掛け算に組み込むこと。
いろいろ考えたけれどもあまりうまくいかずに最下位。15点×4色で60点という高得点をマークした上に強いクマカードで最終ラウンドを迎えた神尾さんがぶっちぎり。追加ルールを加えなくても十分面白い。
ウィザード(Wizard / 作者不明 / ジーピー, 2006)
しだいにあやふやになっていく中で
世界選手権も開かれているトリックテイキングゲーム。今年も各地で地方大会が開かれ、11月3日に六本木ヒルズで日本選手権が開かれる。
カードが配られたら獲得トリック数を予想し、合っていれば得点になる。ポイントは配られるカード枚数が第1ラウンドの1枚から第10ラウンドの10枚まで1枚ずつ増えていくというところで、次第に予想が難しくなっていく。特殊カードがあるために降りるのはあまり難しくないので、どれだけ多めに予想して実行できるかが勝敗の分かれ目になる。手札を見てどのカードで勝つかをイメージするのだが、ほかの人の思惑と絡み合って大幅に違う結果になることも。予想は順番に行っていくので、ほかの人の予想も手がかりになるだろう。
切り札より強いウィザードカードがなかなか来なかった私は予想も少なめ。それが外れたりするからダメダメである。そんな弱気のまま最下位となった。カードが1枚ずつ増える中で、ほかの人の出し方の癖(先に取りに来るか、皆が強いカードを出し終えた後で取りに行くか)を見ながら戦略を立てていく。前のラウンドの結果を踏まえていく深さがあるゲームだ。
タブラの狼 (Lupus in Tabula / G.デロッシ / ダヴィンチ出版, 2002)
理由にいちいち納得していたらダメ
ゲーム内容はこちら。遊友会では、毎回ゲーム会のしめに人狼を遊ぶ。占い師が最初に名乗り出て、ボディーガードが占い師を守るという定石ができており、それを踏まえた形でゲームが進められていた。これだけやりこむと派手な演技はなくみんな素でプレイしている。それぞれが適当な理由を述べ合って投票するという論理的(?)な進行や、占い師が投票途中まで結果を明らかにしないで様子を探るというやり方に感心した。
不慣れな私は寡黙な外来者という感じの立場で2回とも村人。1回目は最後まで生き残ったが1対1で狼に食われ、2回目も最後まで生き残って狼男を殲滅。