Family Games: The 100 Best
2007年に同社から発売された”Hobby Games: The 100 Best“の続編で、有名デザイナーやメーカー社長が思い入れの深いゲームについて寄稿したエッセイをまとめたもの。今回はA.R.ムーン、R.ガーフィールド、L.コロヴィーニ、J.アーネスト、R.ブリーズ、M.リーコックなどが執筆している。
モノクロで写真もないペーパーバックだが、その分安価で、400ページという分量で読み応えがありそう。
・Green Ronin Publishing:Family Games: The 100 Best
隠密作戦(Covert Action)
みんなで作るスパイ物語
2チーム(3チーム)に分かれて、相手の親玉を倒す正体隠蔽ゲーム。誰の言うことを信じたらいいのか?
1チームには4つの職業がある。チームの親玉であり、撃つことができるスナイパー。スナイパー不在のときに代わりになるクリーナー、スナイパーに見せかけて自分を撃たせるボディーガード、そして相手チームの勝利を誘う二重スパイ。これらのカード2チーム分を混ぜて全員に1枚ずつ配る。各チーム1枚だけ、配られないで伏せておくカードがあるところがポイントだ。
スナイパー・クリーナー・ボディーガードは、相手チームのスナイパー(いなければクリーナー)または自分チームの二重スパイを倒すのが目的。でもスナイパーがいるのにクリーナーが撃つと負けになる。二重スパイは相手チームが勝つと勝ち。思惑が絡み合って、疑心暗鬼になる。
誰がどのチームに属するかは、カードの裏面の色で分かる。だがどの職業かは自分の分しか分からない。伏せてあるカードが何かは、誰も分からない。そんな暗中模索でゲームがスタートする。手番はなく、同じ色を配られた人同士でフリートーク。
「誰が撃てるんですか?」「私は撃てません」「私も撃てません」「私も」「じゃあスナイパーはいないということですね。それならクリーナーは?」「私はクリーナーじゃありません」「私も」「私も」「スナイパーもクリーナーもいないなんてことはないですよ」「私は本当に撃てないんです!」「さてはあなた、二重スパイでしょ」「私はボディーガードです」「怪しいな」
全くヒントがないように見えるが、言葉の端々や表情から何となく分かってくるものである。なので、とにかく喋らないとゲームにならない。相手チームの会話も耳に入れておく。
ラウンドは突然終了する。誰かが誰かを指差して「バン!」といったら職業オープン。どのチームが勝ったのかを調べ、勝ったチームのプレイヤーには原潜の設計図カードが与えられる。4種類ある設計図カードを全部揃えた人の勝ち。今回はのらりくらりと矢面に立たないようにした鴉さんが勝った。
ゲームが始まったときは、あまりに手がかりがなくて途方に暮れたが、みんながあることないこと喋り始めて分かってきた。このゲームは推理ゲームだと思ったら何もできない。みんなで1つのストーリーを作るゲームなのである。
そのストーリーが疑わしいと思ったら異議を申し立てて修正し、正しくなくとも自分に都合がいいなら賛同する。ラウンド終了後には、そのストーリーが意外に合っていたとか、全くのデタラメだったとか分かってまたひと盛り上がりする。そこで誰が正直で誰が嘘つきだったかという情報は、次のラウンドにも使えるだろう。性格を読むゲームでもある。
Covert Action
C.アッペル、H.マンゴルド、J.ヴェッター/R&Rゲームズ(2007年)
4〜18人用/10歳以上/30分
プレイスペース広島:隠密作戦
ボードゲームおっぱい:隠密作戦