ティタニア(Titania)
昔々、ティタニアという国の王様が後継者を探していた。亡き女王の悲願は国の繁栄の象徴である海上の塔を再建すること。そのためには嵐の中で船を進めて貴重な貝を集め、その貝でクレーンを動かして崩れた塔を作り、さらにヒトデで飾り付けをしなければならない。後継者候補たちはこぞって船を進め始めた(このゲームのための創作神話のようだが、ソース不明)。
R.ドーン(『ダイヤモンドクラブ』)がハンス社から出すのは『ゴア』以来6年ぶり。今回はニュルンベルクでの発表ということもあって、60分以内で終わるミドル級のゲームである。コマを並べながら移動する「ドーン・ウォーク」をたくみに取り入れ、手軽だが悩ましいゲームに仕上げた。
目的は名声ポイントだが、得点方法は貝を使った塔の建設、ヒトデの飾り、得点チップの3種類がある。
手番には手札から出した色の船を移動して、移動先でチップをめくり、そこに書かれた貝やヒトデを取る。ボード上には赤青黄3色の船があるが、誰がどれを移動してもよい。だからほかの人が移動した船に便乗して、さらにその先に行くこともできる。
船の移動は「ドーン・ウォーク」で、前に船があったマスの隣にコマを置くというもの。船が進むにつれてボードにはわんさか船のコマが並ぶことになる。船のストックがなくなったらラウンド終了なので、どの船がよく使われているかをよく見ておいたほうがよいだろう。
貝が集まったらクレーンのマスに行き、指定された色の貝を払って塔を建てる。貝の色によって建てられる場所が異なるので、手持ちの貝を見て、どの塔を狙うか考える。同じ塔でも階が上がるにつれて必要な貝が増えるので、ほかの人より先手を取りたいところ。だが狙っている塔から遠すぎてもたどり着けないし、中途半端に近づくと便乗したほかの人に先を越されてしまう。どこまで船を進めておくかは駆け引きがある。
手札は1度に3枚まで出すことができ、一気に塔に近づけるが、そうすると1枚も補充できない。でも2枚出せば1枚補充、1枚出せば2枚補充、1枚も出さなければ3枚補充と補充枚数が増える。駆け引きが生きるのはこのプレイ枚数の調整があるからこそである。1枚も出さないで3枚補充すると、次は一気に来るんじゃないかとプレッシャーを与えられるだろう。
ヒトデは塔の色の種類だけ集めれば、塔まで行かなくてもボーナスが入る優れもの。ただし1ヵ所につき1個までなので、ヒトデの早集め競争もある。さらに得点チップは裏になっているのを拾い公開は最後。大逆転もありうる。
1ラウンド終わったら、ヒトデや船を全部片付けて第2ラウンド。ただし塔はそのままなので、得点効率のよい塔を目指して遠くに行かなければならなくなる。
効率よく貝集めと塔建築を行き来したPsy+さんが1位。くさのまさんは得点タイルに集中し、最後に怒涛の追い上げを見せたが惜しくも2位。私は後半になって狙いの塔を絞り込みすぎ、得点が伸びなかった。
めくったチップによってその後の目的地が変わったり、ヒトデチップをめくってボーナス点がいきなり入ったりするなど、めくり運に左右されるところがあるが、どの色の貝を誰が持っているかよく見て、先を越されないように船を進めるのは駆け引きがあって楽しかった。
Titania
R.ドーン作/ハンス・イム・グリュック(2010年)
2〜4人用/10歳以上/60分
メビウスゲームズ:ティタニア
ルーピノ(Loopino)
カーリングカードゲーム?
小箱に入った60枚のカードでバラエティとウィットに富んだゲームを作り続けているアドルング社の中で、ひときわ異彩を放つゲーム。カードを投げて、ターゲットからの近さを競うというアクションゲームである。冬季オリンピックで流行ったカーリングを髣髴とさせる。
スタートプレイヤーがターゲットカードをテーブルに置いたらゲームスタート。予め決めておいたリリースポイントから順番に1枚ずつカードを「投げる」。フリスビーのように回転させてもよし、テーブルの上を滑らせてもよし、上から放り投げてもよし。
全員が6枚全部のカードを投げ終わったら、どのカードがターゲットから近かったかを調べる。カードには四隅に+マークがついていて、この+マーク同士の近さを測る。親切なことに長さを図る目盛りまで付いていて、ミリ単位で決着がつく。
カードには1〜6の数字があって、一番近かったカードの数を見て、その枚数だけ近い順に得点が入る。4だったら、4枚が得点対象。そして得点は、カードの数字×今空いている(ほかのカードに覆われていない)+マーク。
カードの順番は自由だが、数字の小さい順に出すとよいだろう。そうすれば大きい数字のカードがほかのカードに覆われたり、はね飛ばされたりする可能性が減る。また1枚投げるごとに腕が上がってくるかもしれない。相手のカードを覆いつつ、ターゲットカードのすぐそばに入れられたら最高だ。
とはいえ、テーブルから落ちたり、裏返ったりすることもしばしば。今回はさらに、ターゲットのはるか手前で止まったカードに、ほかのカードもひっかかって吹き溜まりのようになっていた。6のカードで最高点をマークしたtomokさんが優勝。
真剣にやったからといって上手にできるわけではないが、投げ方を工夫したり、角度をつけたりと皆さん研究熱心なのがかえって笑えた。
Loopino
K.アドルング/アドルング・シュピーレ(1997年)
2〜10人用/6歳以上/10分
プレイスペース広島:ルーピノ