イダンティク(Identik)
同じ絵だとは思えない
説明だけを聞いて、絵を再現するアメリカのお絵描きゲーム。アメリカで2006年に発売され、3年後の昨年にアスモデがフランス語版・ドイツ語版を発売。フランス年間ゲーム大賞を受賞し、さらにドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた。
お題カードには絵と10のチェックポイントが書いてある。親は10のチェックポイントが見えないように袋に入れ、絵だけを見る。この絵は、親しか見てはいけない。ほかの全員は絵を描く紙と鉛筆をもち、付属のタイマーのボタンを押してスタート。
制限時間90秒以内に、親は絵を見ながら描いてあるものを説明する。何が描いてあるのか、顔はどちら向きか、何を持っているか、服やアクセサリーは何か…などなど。ほかの全員は、この説明だけを頼りに絵を描く。ディテールに踏み込みたいところだが、順序よく説明しないと混乱するばかりだ。
90秒はとても短い。タイマーが鳴ったら説明を止めて、描いた絵をそれぞれとなりの人に渡して採点してもらう。親はここで初めて10のチェックポイントを1つずつ読み上げる。チェックポイントが達成されていれば1点、そうでなければ0点。ダイスで出た目のチェックポイントはボーナス。一方親は、誰かが1つでも達成していれば得点になる。
全員が1回ずつ親をしたら合計得点の多い人が勝ち。ルールはいたって簡単で分かりやすい。人数も、全員が親をできるくらいなら何人でもよいと柔軟。
親をやってみると、90秒で伝えられることは非常に少ないと分かる。目に付いたものを片っ端から言っても、それをどこに描きいれたらよいか分からない。でも、大きなものから小さなものへと順序だてて説明しようとしても、焦ってしまってそこまでの余裕はない。そして出来上がった作品を見て大爆笑。いかに自分の意図が伝わらないかを思い知らされる。
一方、描くほうは親の説明していない部分を想像で補いつつ描く。親は10のチェックポイント全てを説明しきれないので、補うことで追加得点を狙うのだ。それが見事にチェックポイントに入れば嬉しいが、勇み足になってしまうことも……。
お絵描きゲームというと、絵は苦手ですと言う人が必ずいるが、このゲームの勝敗は絵の上手い下手ではなく、あくまでチェックポイントを描いているかどうかである。karokuさんがぼんやりした何だか分からない絵を描いて、チェックポイントをそう見れば見えなくもないという風に達成していたのが印象的だった。
難を上げれば1度使ったお題カードはしばらく使えないことか。『ファウナ』もそうだったが、120枚も入っているから無用な心配かもしれない。
Identik (Portrayal)
W.P.ジャコブソン、A.A.コーアウト / ブレインコグ(2006年)−アスモデ(2009年)
3人以上/8歳以上/30分
国内未発売
平日ゲーム会
妻の引越しの手伝いで3ヶ月ぶりに上京。引越しはさっさと済ませて(といってもまる1日かかったが)羽根を伸ばしに秋葉原へ。ふうかさん、karokuさん、かゆかゆさんにゲームマーケットの新作をお持ち込み頂き、木曜日は無料のR&Rステーションでたっぷり遊んだ。レポートの詳細は後日。
・イダンティク(アスモデ)
今年のドイツ年間ゲーム大賞ノミネート作品。親が絵を見て説明し、子は説明を聞いて書く。制限時間90秒。その後で10のチェックポイントを採点するというお絵描きゲーム。まったく違う絵になってしまって笑える。
・ヒットマンガ(タンサンファブリーク)
親がマンガのひとコマに合う台詞を言い、子はその台詞を聞いてその絵を探すというカルタ取り。誰も当てられないと打ち切りになってしまうが、分かるか分からないか、ぎりぎりの線で台詞を言うのが楽しい。
・グリモワール(ワンドロー)
魔法の本にしおりをはさんで呪文を選び、その効果で勝利点を集めるカードゲーム。相手の状況を見て呪文を予想したいところだが、裏をかいたりかかれたり。魔法の本が素晴らしいギミック。
・ストレイシーフ(オインクゲームズ)
カードを裏向きに並べる中に泥棒を入れてカードをたくさん集める超ライトなブラフゲーム。
・テラフォーマー(遊星からのフリーキック)
カードの効果を駆使して入植した惑星を段階的に発展させるゲーム。アクションポイントとワーカープレイスメントをシステムに組み込み、さらにカードの組み合わせで展開が変わるようにしてある。これははまる。
・ノブナガ(グランペール)
カードを集めてNPCの信長と戦うカードゲーム。誰も選ばなかったカードが信長の戦力になり、信長がもっているものしか戦争がないところがジレンマを生み出していて秀逸。
・レインボー(グランペール)
手札の強弱で場札を取り合うカードゲーム。出したカードが次のラウンドの場札になるため、手札をどこまでセーブするか悩ましくなっている。やれることは簡単なのに、選択肢は多く、しかも手番のアヤまであるという、理想的なゲーム。
・キャッチアウト(グランペール)
3枚のカードの中身を宣言してとなりの人に渡していくブラフゲーム。渡されたほうはダウト宣言だけでなく、ホントということもできるから正直すぎてもいけない。マイナスカードが来たときには緊張する。
・R-ECO-RECYCLE(カワサキファクトリー)
ゴミを分別して出すように見せかけて、実は全く分別していなかったりという騙しあいゲーム。騙したつもりが騙されていたり、正直に出して勝ったりと単なるブラフゲームではなく奥が深い。
・キャット&チョコレート(Qvinta Exentia)
幽霊屋敷の難局を、数少ないアイテムをこじつけて使って乗り切るゲーム。チェンソーで襲われたときに、ネコとチョコレートでどうする? 審査員はほかのみんな。こじつけが見事失敗したほうが笑えた。
・うさかめコン・レース(チームきりたんぽ(仮))
足は速いけどすぐ寝てしまうウサギと、のろいけど、ウサギが寝るとずるをして近道をするカメのどれが早いかを予想するゲーム。カメも応援されると早い。
・ショッピングパニック(Hammer Works)
『テーベの東』のような時間消費システムを使って、制限時間内にデパートのショッピングを済ませる大忙しなゲーム。定期的に現れる限定品を誰よりも先に取りにいけるかがカギ。お買い物楽しい。
・ドナドナ(骨折ゲームズ)
ウシやブタなどに値付けをして十把ひとからげで売り飛ばすゲーム。出品者が値付けを変更できる入札システムが斬新。買った方もいらないものは容赦なく切り捨てられ、家畜の悲哀も描かれる。