『パッチワーク:冬の贈り物』日本語版、12月上旬発売
2人用タイル配置ゲームの定番『パッチワーク』のクリスマステーマ版。ルックアウトシュピーレ(ドイツ)が今秋発売した。ルールは同じだが、アートワークが冬のギフトシーズン用に変わり、付録にパッチタイル形のクッキー型が付いている。
カップルで遊べる作品なので、クリスマスプレゼントにしてもよさそう。
内容物:時間ボード1枚、キルトボード2枚、時間マーカー2枚、ポーンコマ1個、パッチタイル類39枚、ボタンチップ50枚 他
山形新聞連載コラム(10):家事のマルチタスクとボードゲーム
11月22日の日曜随想掲載分。前回はこちら
来月から「おとう飯(はん)にチャレンジ!」という調理実習を行うことになった。普段ほとんど炊事をしていない父・祖父でも、とにかく一食分を作れるようになることを目指すという内閣府のキャンペーンで、県内では初めての開催となる。
我が家は十年前から妻が平日単身赴任をしており、普通に家事育児をしていただけで「イクメン住職」などと呼ばれた。しかし男性の家事参加は今もまだ当たり前ではなく、子どものいる世帯では妻が夫の2.8~3.6倍も家事をしているのが現実である。これでは妻が職場や地域で活躍しにくい上に、妻に何かあったときに夫や子どもの生活は立ち行かなくなってしまう。もっと男性が家事をできるようになりさえすれば……とあちこちで話しているうちに、いつしか「男女共同参画社会推進」がライフワークのようになった。現在、市の審議会委員、県の推進員、人権擁護委員の専門委員として本腰を入れている。
平日の夕食後や、土日の昼間など、普段から家族みんなでボードゲームを遊べるような家庭が私の理想である。しかし妻の家事が終わるのを待っていては遅くなってしまうし、妻も疲れてしまってもう付き合いきれない。そこでみんなで協力して一気に終わらせれば、ただ遊ぶ時間ができるだけでなく、チーム戦のスポーツのような、わくわくするような連帯感が味わえる。この感覚は仲良い暮らしだけでなく、仕事にも役立ち、生きる気力に結びついていくだろう。
『キッチンラッシュ』というギリシャのボードゲームがある。皆で協力してレストランを切り盛りするゲームで、制限時間内に注文を受け、料理を作り、お客に出し、皿を洗わなければならないが、それらを何台もの砂時計で同時に進行する。複数の作業を並行して進める「マルチタスク」は、実際の料理にも求められるスキルである。煮物をしている間に野菜を切り、茹でている間にまな板を洗う。このような「マルチタスク」をパニックにならず冷静に判断し実行する力は、調理技術と同じくらい重要なものだが、苦手な男性も多い。しかし『キッチンラッシュ』に初心者モードがあるように、実際の料理もレシピを見ながら簡単なものから始め、できることを増やしていくのがよい。
問題は夫が初心者からの「修業期間」にやる気を失い、あきらめてしまいがちなことである。そのため「おとう飯」では自宅外でこっそり練習しておこうというわけだが、自宅でいきなり「新規参入」するのはハードルが高い人も多いだろう。熟練のエキスパートである妻がいちいちダメ出しして夫がふてくされ、「もう二度としない!」と言ってしまわないためには、妻が「失敗する権利」と「それぞれのやり方」を認め、相手に合わせてフォローしてほしいところだ。ボードゲームでも、経験者が初心者にいちいち「指導」を入れるのはもちろん、過剰なアドバイスをしても、逆に放ったらかしでもやる気を失ってしまう。少しずつでもできるようになるには、相手を認め、とにかくほめ、多少の失敗は見て見ぬ振りをし、さりげなくサポートするとよい。
山形県の共働き率58%は平均を10%も上回って全国第2位。全国的に見ても、共働き世帯が専業主婦世帯を上回ったのはもう23年も前の話である。そのような中、帰宅時間は大して変わらないのに、妻は夕食の支度、夫はソファでスマホでは絶対におかしい。台所が狭くて1人しか入れないなら、洗濯物をたたむなり、テーブルを片付けるなり、やることはいくらでもあるはずだ。妻が家事をしていたら、たとえフリでもいいから夫も家事をする「パラレル(平行)家事」が夫婦円満の秘訣である。