また失敗した……!
3つのシナリオがあるので、そのシナリオに沿ったカードを取る。亡くなった文絵のデッキが12枚、主人公である武雄のデッキも12枚あり、文絵役のプレイヤーは武雄のデッキを、武雄役のプレイヤーは文絵のデッキをもって、そこからシャッフルして各自3枚の手札をもつ。
手番には、相手の手札を1枚取り、それを表にして使うか裏にして使うか(表を見ないで)決める。表にして使うとカードの効果が発動し、裏にして使うと主人公の能力が発動する。基本的には表にして使い(全てのカードはスリーブに入っており、初めて表にして使ったときにその効果が分かる)、いざというときに裏にして使う。
使い終わったら相手が山札から補充して、相手の番になる。相手もまた、自分の手札を1枚取って、表か裏にして使う。なおカードの内容を相手に伝えてはならず、手札の順番も変えてはいけないというルールがあり、これまでに使われたカードをもとに出そうなカードを推理し、以心伝心で進めていかなければならない。
そのうちに、①どちらかの捨て札に裏向きのカードが4枚になるか、②山札がなくなって補充できなくなるか、③カードの効果で終了が指示されればゲーム終了。カードはたった12枚しかないので、15分くらいしかかからない。
ポイントはマルチエンディングである。どのようにしてゲームが終わったかで、付属の「エンディングブック」を開いて物語の結末を読む。上記の①か②でゲームが終了するのはバッドエンドであり、③も何種類か用意されていて、ハッピーエンドになることは稀である。
これでなぜ一度遊んだら終わりでないのかお分かり頂けたと思う。むしろハッピーエンドを目指して、何度も繰り返し遊ぶことになるだろう。1ゲーム目を2人で振り返って、どのカードがカギになるのかを相談し、次のゲームを始める。カギになるカードが分かっても、そのカードがどのタイミングで出てくるかはランダム。またカードが出てくる順番も大事なので、何度やってもなかなか思うようにいかない。
シナリオ1「文絵のために」は文絵を助けることが目的だが、シナリオ2「秘められた殺意」ではデッキから1枚だけ抜かれた犯人を特定しなければならず、シナリオ3「田所先生の恋」ではうだつの上がらない先生を異動から守る。それぞれ少しずつカードが入れ替わり、新しい謎解きが待っている。
何ゲームもやっているうちに1時間、2時間と経ち、カード構成やハッピーエンドへの道筋は完全に分かるのだが、山札のランダムな順序によってそれでもハッピーエンドにたどり着けない。それがもどかしく、中毒性の高いゲームである。
文絵のために
ゲームデザイン・カナイセイジ/イラスト・杉浦のぼる
ワンドロー(2017年)
2人用/14歳以上/15分