K2(K2)

命の限り山へ
1920年台にエベレストを目指したイギリスの登山家G.マロリー。なぜエベレストを目指すのか聞かれて「そこに山があるからだ(Because it is there)」と答えた逸話は有名である。
世界最高峰のエベレスト(8848m)より200mほど低いが、世界一登るのが難しく、4人に1人は遭難死するといわれるK2(Kはカラコルムの略)。不安定な天候、強い風、急峻な傾斜、滑落するとまず助からないボトルネック。登山はまさに命がけである。
そんなK2の登頂を目指すボードゲーム。ポーランドのメーカーが発売し、国際ゲーマーズ賞、オランダゲーム賞、ポーランド年間ゲーム大賞、ドイツ年間エキスパートゲーム大賞など、多くの賞でノミネートされた。日本ではテンデイズゲームズ(東京・三鷹)が発売直後から取り扱い、人気の高まりを受けて日本語版となった。

6枚の手札から一斉に3枚のカードを出し、カードの数字で登山家を移動したり、体力を回復したりする。高く登るほど得点が上がるが、移動力が必要で、体力も奪われる。無理やり登頂しても、体力がゼロになって死んでしまえば得点にならない。刻一刻と天候が変わる中、どこまで登れるか、死ぬ前にどこで引き返すかを見極める。
まずは3枚のカードを一斉に出して、移動ポイントの合計を比べる。単独で一番大きかった人は張り切りすぎて移動ポイントを0〜2引かれてしまう。移動ポイントは1つでも惜しいので、手札とほかの登山家の状況を見て、じっくりアタックしたい。
次に手番順に、移動ポイントを使って登山家を進める。登山家は各自2人おり、どちらを進めてもよい。2人をバランスよく進めるか、1人に集中して行き詰まったら2人目にするかも考えどころだ。
全員の移動が終わると、止まっているマスによって体力を奪われる。ここでゼロ以下にならないよう、カードの中にある体力回復を使っていかなければならない。また、途中で移動力を使ってテントを張っておけば、そこにいる限りダメージが1つだけ軽減される。山頂付近ではこのダメージ1を受けるか受けないかが生死を分けるだろう。
再び手札を6枚に補充し、次の日(ラウンド)。何日か後に、自分が受け持っている2人の登山家それぞれの最高到達ポイントを合計し、多い人が勝つ。
ゲーム中の苦しさに輪をかけるのが天候。「7000メートル以上は移動力+1、ダメージ-1」などのように毎日天候が表示され、そのエリアにいる登山家は上りにくくなったり、ダメージを余計に食らったりする。5日先までの天候が分かるようになっているので「明日と明後日は晴れるから今日は無理をしないでおくか」というような判断ができる。しかし向こう3日間は毎日吹雪とかいわれたらもう!
もう1つ輪をかけるのが、マスの定員である。山頂に近づくほど少なくなり、3人プレイで山頂付近は1名しか入れない。山頂に陣取っている登山家がいると、その手前でひたすら寒さをしのぎながら待つことになる。少々無理をしてでも、手番順によっては一気に行ったほうがよいことも。
天候も考慮に入れた緻密な計算と、ときには次に引いてくる手札に一か八か賭ける勇気が試されるゲームである。生死の境をさまようような窮地になると、酸素ボンベが切れてくるような気がしてこちらまで息が苦しい。
3人プレイで約45分。ルートはいくつかあって、近いほうが移動力やダメージが大きい。ぽちょむきんすたーさんに先を越され、キャンプを張って待っていたもののダメージが蓄積。降りるにも吹雪が続いて厳しい情勢となった。終盤は死ぬ間際でひたすら降りるしかなく、生存が精一杯で3位。2人目の登山家も高く登らせたぽちょむきんすたーさんが1位。
K2
A.カルーザ/レベルポーランド(2010年)
1〜5人用/8歳以上/60分
テンデイズゲームズ:K2

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