博物館は市内の中心部、マークト通りに面した古い街並みの一角にある。レンガ造りの建物を改装して、間取りはそのままに現代的なインテリアを施してある。地下倉庫に設えたトイレは見事だった。入場料は大人5ユーロ、子供3ユーロ。
1階は創業から現在までの歴史と、ボードゲーム工場の様子を映像で見るコーナーがある。歴史は1980年代にドイツでボードゲームが流行し、90年代に世界に広がり、00年代に知育分野に広がったと捉えていて興味深い。また創業者オットー・マイヤー氏の遺品や、同社の最初のボードゲーム『世界一周旅行』も展示されている。なお、このゲームは復刻版が博物館ショップ限定で販売されていた。
ラベンスバーガー社初のボードゲーム『世界一周旅行』
2階はボードゲームの階。階段を上ると、昨年発売50周年を迎えた『メモリー』のいろんなバージョンが出迎える。なお、『博物館メモリー』もショップで売られている。
そして部屋に入るとボードゲームの箱が天井までびっしりと重なっている。床にはラベンスバーガー社が獲得した5つの年間大賞ポーン(そういえばこの10年大賞から遠ざかっている)、壁には代表的なゲームが展示されている。引き出しを引っ張るとさらにボードゲームが出てくる。
奥の部屋は、ボードゲームのアイデアが製品になるまでを『ラビリンス』を例に映像入りで解説。作者が試作品を同社に送り、同社で会議やテストプレイを経て製品化を決定。イラスト、コマ、紙、配色、デザインなどを詰めて、工場の製造ラインに入れる。実にたくさんの人の手を経て私たちの手元に届くのである。
同じ部屋には、大型『ラビリンス・デュエル』があって、2人で実際遊べるようになっていた。タイルを素早く並べ変えて、カードのお宝にルートをつなげる。また隣の部屋にはタッチパネルで遊べるワードゲームも置いてあり、親子で遊ぶ姿が見られた。
大型『ラビリンス・デュエル』
この部屋にはボードゲームのコマやダイスが陳列されており、どのゲームの部品か考えるのも面白い。ラベンスバーガーのゲームは大量生産が基本のためか、プラスチックのコマが多いのが、日本人から見て残念なことである。
3階は絵本の階。本棚に見本が並べられており、ドイツ語が分からなくとも、仕掛け絵本などで楽しめる。学研のような科学絵本が多く、キャラクターものはほとんどない。このへんもお国柄か。
ゆっくり見て回って2時間くらい。決して大きい博物館ではないが、ラベンスバーガー125年のエッセンスが凝縮された博物館である。