エジプトのお宝を集めて博物館に売りつけるカードゲーム。オーストラリアゲーム賞を受賞した作品を、アメリカのズィーマンゲームズが版権を取って出版した。ズィーマンゲームズはほかにも東欧や日本のゲームなど、非ドイツゲームの発掘に力を入れている。
このゲームも、遊んでみると非ドイツゲーム色が濃いことが分かる。山札からカードを引いて場札と交換し、同じ種類の宝物を集めれば集めるほど得点が高くなるという骨格はドイツゲーム風。しかしこの営みをスリルあふれるものにする仕掛けがある。
山札から出てくる泥棒と砂嵐、そして地図カードがそれだ。泥棒カードを引いた人は、好きな人からカードを1枚抜き取れる。砂嵐は全員手札が半減。これらのカードがたくさん入っているために、地道に集めるという戦略が成り立たない。なくなる前に出したいが、セットができないうちに出せば得点が低いというジレンマ。
一方、地図カードを山札から引いてきたらしめたもの。ピラミッドの発掘で大量の宝物カードが手に入る。砂嵐で半減したところに泥棒に奪われて涙目になっているところに、突然やってくる大量のお宝。山と谷の高低差が激しい。
ピラミッドの最後のお宝は一気に7枚も手に入るが、地図カードも3枚集めなければならない。手札が2枚引いては1枚なくなるくらいのどうしようもないペースだったが、最後に放出された地図カードで3枚集めて最下位脱出に成功。
考古学の希望絶望を手軽に味わえるゲームである。
Archeology
P.ハーディング/ズィーマンゲームズ(2009年)
2〜4用/8歳以上/20〜30分