秋葉原水曜日の会11月5日

秋葉原水曜日の会11月5日

ドイツ帰国後初の秋葉原。もちろんカバンの中には新作を詰め込んである。エッセンでは基本的に「現地で遊んだゲームは買ってこない、買ったゲームは現地で遊ばない」というモットーで臨んだ。そのほうが結果的により多くのゲームを遊べるからである。今回はスーツケースに収まるだけしか買わず、デザイナー買い、メーカー買いしたものがほとんどである。さあ、その実力やいかに。

ドミニオンストロッチマスタービルダー

ドミニオン(Dominion / D.X.ヴァッカリーノ / リオグランデ, 2008)

ドミニオンゲーム内容はこちら。現地で遊んだ上に買ったのは、結局これだけだった。『レース・フォー・ザ・ギャラクシー』と同様、リプレイアビリティが高く、やみつきになりそうだ。もう来年のアラカルト・カードゲーム賞はこれで決まりという気がする。
 今回は序盤から「市場」をどんどん購入したヨシノさんが「村」と合わせて連続アクションのコンボを決める。追加アクションと追加手札と重ねるうちに購入資金がどんどん貯まっていく無敵のコンボだ。これはすごい。月斎さんと私は早いうちからお金を取りにいったが、手堅い分、爆発力に欠けた。
 攻撃カードも横行したが、自分以外全員にダメージを与えることで一歩リードするというものであるため、駆け引きがあまりなく、ソロプレイ感はぬぐいきれない。ほかの人は、手順にミスがないか見ている程度で、それだったらBSWでやったほうがいいという話になったくらいだ。これを物足りないと思う人もいるだろうけれど、一番の敵は自己ということだろう。勝敗の原因をほかの人の選択のせいにできない。バランスのよい判断力が運を引き寄せる。
 基本キャラクターで2回遊んだので、そろそろ入れ替えてみたい。

ストロッチ(Strozzi / R.クニツィア / リオグランデ, 2008)

イタリアの都市に船で品物を運びこみ、その量と速さを競うゲーム。今まで明らかにされてなかったが(後付けくさい)、『メディチ』『メディチ対ストロッチ』に続き「メディチ・ストロッチ・バルディ」ゲームシリーズの第3弾なのだそうだ。ヨーロッパで生産しているらしいが、版元はあくまでアメリカのリオグランデなので、日本に流通する経路が難しい。
 手番プレイヤーは船カードをめくって、ほしかったら自分のタイルを出す。海賊タイルを出したら無条件ですぐもらえるが、品物タイルや速さタイルだったら、ほかの人の海賊タイルに取られる可能性がある。1周して誰も海賊タイルを出さなかったら船を入手できる。次の人が次の船カードをめくって続行。こうして1人3隻、船を手に入れる。すでに3隻入手した人はパス。『ラー』をさらに簡便にしたような競りだ。
 入手した船は、すぐに3つの港のどこかに入れ、カードに書いてある品物を荷揚げする。また、船の速さの順に並べておく。ラウンドの最後には、この荷揚げ量と船の速さで各都市上位3位までが得点をもらえる。どの船を取れば、どの港で順位を上げられるか、簡単なようでいて相当悩ましい。『メディチ』のような駆け引きがある。
 さらに、船によって科学・芸術・建築のタイルを取るものもあり、ゲーム終了時に多く集めた人がボーナスをもらえる。ただしタイルをもらえる船は、その分品物も速さが劣るので注意が必要だ。勝敗の行方は、最後まで分からない。
 タイルを大量に集めつつ、2都市で上位に入った月斎さんが1位。弱い船を効果的に使えたのが奏功したようだ。少ないルールでジレンマを生むクニツィアの切れ味の鋭さを(久々に?)堪能できて満足。

マスタービルダー(Master Builder / W.クラマー, H.ヴィット / ヴァレーゲームズ, 2008)

労働者を雇って街を作る建築ゲーム。昨年『コンテナ』で一躍有名になったカナダのヴァレーゲームズが、今年また有名デザイナーを起用してきた。もう1作の『自由都市』はエッセンに間に合わなかったが、クニツィアの作品である。
 はじめは雇用から。親方から下働きまで4種類の労働者を好きな組み合わせで雇える。作る建物によって、必要な労働者が少しずつ異なる。今作っている、あるいはこれから作ろうとしている建物に合わせて雇う。あまり雇いすぎると給料が払えなくなるかもしれないから計画的に。
 次に建物のプロジェクトを競りで手に入れる。城壁や家などの簡単な建造物は最低価格が安いし、労働者も少なくて済むが、報酬も少ない。城門や議会などの大きい建物は、建つまでに時間がかかるため、給料がかさむ恐れがある。雇用状況を見極めつつ、適切なプロジェクトを落としたい。
 そして建設に取り掛かるわけだが、その前にイベントがある。労働者は人によって傷つきやすい、体力がない、怒りっぽいなどの性格があり、イベントによって特定の性格の労働者が働かなくなる。お金を払うことで働いてくれることもあるが、計画が台無しになる場合も。でも給料はしっかり払わないといけなくて、社長の悩みが味わえるというわけだ。
 建設では、労働者が働いた分だけ壁や屋根を組み立てて、完成したら中央にディスプレイするようになっている。達成感が味わえるひとときだ。完成しなければ次のラウンドに延期。報酬が入らないと給料の支払いが厳しい。
 私は最初から大きい建物を取って、労働者をどんどん雇う拡大路線だったが、早速給料が払えなくなり借金する破目に。この利子が後々まで響いて2位。1位は、労働者をリストラしながら安定した経営をしたヨシノさん。
 労働者の配分や建物の管理といった細かい作業が要求される一方で、イベントカードの効果は強烈。建設業界の現実って、こんなものなのかもしれない。

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