秋葉原水曜日の会 06/01/04

秋葉原水曜日の会 06/01/04

年末も年始も暦どおりに開催している秋葉原水曜日の会に山形から直行して参加。正月休みの方もいらして3卓ぐらい立っていた。お正月のノリでカードゲームばかり遊んだが、どれもヒット。コンディションによるのかもしれないが、こういう日もあるものだ。
 私の「面白い!!」マークは、ゲームを遊んだ直後の興奮と感心に加えて、レポートを書いた後にもう一度全体を反省してつけている。メンバーがよいために妙に盛り上がっても、後から考えると大したことがないゲームだったり、反対に盛り上がりに欠けても素晴らしいアイデアをもったゲームもある。今回は最初の印象がどれもよかったので、今日の私の精神状態によるものだろうかとも思ったが、こうしてレポートを書き上げてから振り返っても唸らせられるゲームばかりだった。(写真:タナカマさん)

タイタニック|珍獣動物園フォッペンラストチャンスホットドッグ決算日

珍獣動物園(Einfach tierisch! / R.クニツィア / アミーゴ, 2003)

珍獣動物園シビアに、ときに大胆に

エサを節約しつつ珍しい動物を集めるカードゲーム。ラベンスバーガーから年に発売され、絶版になってからも高い人気を得ていたハイ・ソサエティのリメイクで、作者クニツィアが得意とするジレンマをたっぷりと味わうことができる。

 最初もっているエサの数はみんな同じ。動物カードがめくられたら、エサを出して競りをする。一番高いエサを出した人が動物を獲得。その点数が一番高い人が勝ちだが、ただし競りでエサを使いすぎて最後に一番少なかった人は、自動的にビリになってしまう。そんな放漫経営では動物園は成り立たないのだ。
 だから競りに熱くなりすぎて無駄なエサを出さないようにしたいのだが、かといってケチり過ぎればほかの人にもっていかれてしまう。もっと出すか、引っ込めるか、こんなに簡単なルールなのにどうしてと思うほど悩ましい。これぞクニツィアの本領。
 相場、つまりどのぐらいの競り値がちょうどよいのかは、ゲームの展開によって、またほかの人の出方によってまるで異なる。ゲームはある種類のカードが全部出たらすぐ終了になので、全部のカードは出てこない。いつ終わるかわからないために、競り値の相場もつきにくいのだ。1人だけ高値をつけまくっていれば自滅を待てばよいが、たいていそんなことはない。場全体が高騰すれば、エサを惜しんでいては勝てないだろう。ほかの人はすでにいくらぐらい出しているかをある程度意識しておくのがひとつのポイントだ。

 短時間で終わるのでもう1度と言いたくなる。今回は5人で2回遊び、どちらも僅差だった。カードの出る順番によって展開がだいぶ異なるので、毎回違った楽しさを味わうことができる。一般に敷居が高いとされる競りゲームだが、このゲームは手軽に競りを楽しめると同時に、奥の深さも堪能できた。

フォッペン(Foppen / F.フリーゼ / 2Fシュピーレ, 1995)

負けないように、負けないように

 余人の追随を許さない独創性で知られるフリードマン・フリーゼのカードゲーム。ドイツ・カードゲームの王道であるトリックテイキングも彼にかかればこうなるのかと唸る。田中風太郎さんのお持込み。

 ルールはとても簡単。マストフォロー(同じ色のカードをもっていれば必ず出す)、切り札なし(最初に出された色以外は負け)で普通にトリックテイキングをする。問題は最弱のカードを出して負けた人だ。その人は、「フォッペン(からかい)」マーカーをもらって次のトリックを1回お休みする(カードを出せない)。こうして負けなければどんどん手札を減らすことができ、負ければそれだけ減りが遅くなる。誰かが手札を全部なくしたところでラウンド終了。ほかの人が出せなかった手札はマイナスポイントになる。
 つまり、いかにトリックでビリにならないかというゲームなのだ。通常のトリックテイキングは勝たなければトリックをもらえないので、大きい数字のカードの出すタイミングが大事だが、このゲームでは負けない程度に中ぐらいの数字のカードを出すのがコツだ。数字が低めのカードは後から出す人の状況を読みつつ、安全なうちに出しておきたい。
 ゲームの最終ラウンド、手札をなくした人は+10点がもらえる。それ以外は全部マイナスだから、この+10点は大きい。しかし、手札をなくすことができたのに最後のカードが弱かったばかりにフォッペンマーカーを受け取った人は、この+10点が消滅してしまう。しかしだからといって最後まで数字の高いカードを温存しておくのは上がれなかったときのダメージが大きい。トリックを取れなくても何を出すかが重要となるこのゲームでは、手札のマネージメント能力が問われる。

 人数分×1ラウンドで6ラウンドプレイ。リードされた色が出せないと負けてしまうので、どの色も満遍なくある方が有利で、偏っているとかなり苦しい。トリックテイキングマニアの田中風太郎さんが偏った手札をリードし続けることでさばいたのは見事だった。苦しい手札になったとき、実力が試される。

ラストチャンス(Last Chance / マクガイヤー兄弟 / ラベンスバーガー, 1994)

度胸がいいのもほどほどに

ダイスを使ったギャンブルゲーム。10年以上前にラベンスバーガーから発売され、日本でも一時期発売されていたようだ。しゅうさんのお持込み。

 タイルをめくると、ダイス目のパターンと賞金額が書かれている。規定回数ダイスを振って、指示されたパターンを作った人がこの賞金額を手にするのだ。まずはこの挑戦権を競りで決める。
 競り落とした人は、言った分のお金をデポジットする。成功すれば賞金の上にこのデポジットは返ってくるが、失敗すれば没収されてしまう。どれぐらいの額で競り落とすかは、綿密な確率計算と根拠のない自信によって決まるだろう。
挑戦者がダイスを振るその前に、他の人はこの挑戦が成功に終わるか失敗に終わるかを賭ける。そしてダイスロール!「失敗しろ失敗しろ~」教育によくないゲームだなあ(笑)。
 指示された目が出るたびにタイルに並べていき、全部並べきったら成功だ。パンパカパーン!しかし初回で成功させるのは至難の業。失敗に終わったら、並べられたところはそのままにして次の挑戦権を競る。だから成功率はだんだん上がっていくわけだが、賞金欲しさに競り値も上がる。もっとも成功率は100%にならないので、また散財に終わるかもしれないのだが。
 こうして7つのタイルが終わった時点で持ち金の多い人が勝ち。ただしタイルを獲得できなかった人は、いくら賭けで勝ってお金を儲けてもチキンとして除外される。

 さて今回、序盤はギャンブルゲーム特有の貧富の差が広がりかけたが、お正月の勝利の女神は気まぐれ。次第に4人とも持ち金が同じくらいになり、終盤みんなにトップの可能性が出てきた。そうなるとこのゲーム、突然ガチガチに様変わり。
 つまり挑戦権をいくらで競り落とせばよいか、あるいは成功と失敗のどちらに、いくら賭ければよいかが計算できるようになった。もちろん最後はダイスだから計算どおりにいくとは限らないが、どちらに転んでもトップが取れる、どちらかでなければ勝てないということが分かってきた。ここからが熱い、熱い。私はタナカマさんと僅差で3位につけていたが、上位を狙って思いっきりつっこんだらダイス失敗。典型的なギャンブル失敗例である。結局ばんゆうさんが上位らしい安全確実な手を打って、勝利をものにした。
持ち金など考えずワイワイ遊ぶもよし、持ち金を比べながらガチガチに遊ぶもよし。隠された戦略性の高さに驚くゲームである。

ホットドッグ(Hot Dog / W.クラマー&R.ウルリヒ / アミーゴ, 1996)

食いたくなってきた

3つのテーブルにホットドッグを出して販売するカードゲーム。軽いゲームから重いゲームまで数々の傑作をもつドイツゲームの最多受賞作家W.クラマーが6ニムトの2年後に発表した作品。神尾さんから譲っていただいた一品。

出したいテーブルのカード、そこに出すホットドッグカード、値引きするお金カードの3種類を出して一斉に公開する。ホットドッグカードの数が少ない順に、希望したテーブルにカードを出していく。値引きすれば、数の多いホットドッグカードでも先に置けるかもしれない。何しろ各テーブルには定数があって、それを超えるホットドッグは出すことができないのだ。テーブルが小さいものですから、置ききれなくて販売は見送らせていただきます……。
 テーブルがいっぱいになったら販売でき、お金が入る。テーブルを空にしてまた新しいホットドッグを並べよう。こうして誰かのホットドッグが全部なくなったらゲーム終了、お金の多い人が勝ち。
 ホットドッグカードは何枚でも出せる。ちびちびと出して少しずつ利益を出していくのが基本だが、バッティングしてなかなか出せなかったら一か八か、大きめのテーブルに一気に投入してみてもよい。だから最後まで誰にでも勝利のチャンスがある。

小まめな投入が功を奏して1位。バッティング系は人の裏をかくことがポイントだが、このゲームでは3択しかないから裏をかくだけではなく、何枚ならセーフかを見極めなくてはならない。売れるか、売れないか、毎回毎回スリルが味わえる楽しいゲームだった。

決算日(Zahltag / F-B.デロンシュ / ラベンスバーガー, 2002)

働けども働けども我が暮らし楽にならず

設備や人員を調整しながら工事を受注していくカードゲーム。新作だと思っていたらもう3年も経っていた。発売当時は国内外であまりよい評判が立たず、いつの間にか消えつつある作品である。しかしトランスアメリカのブレイクで有名になり、昨年もマニラが好評だったF-B.デロンシュが発表した唯一のカードゲームとしてもっと注目されてもいいだろう。よたろーさんのお持込み。

 監督、工員、クレーン、ショベルカー。この4つを揃えて発注を受ける。カードをめくると発注された契約内容が書かれている。ベルリンの壁の取り壊し、ピサの斜塔の直立工事(やめろよ……)、オランダの水車の建築などなど。それぞれ設備や人員がいくら必要かが書かれており、それだけ揃えている人が入札できる。一斉入札で一番安い額を出した人が契約。設備を自分の前に出す。
さまざまな工事を数多く受注するには設備や人員をたくさん揃えておきたいところだ。しかしそうは問屋が卸さない。カードをめくったときに「決算日カード」が出ると、工事に使っていない、だぶついた設備と人員だけお金を支払わなければならないのだ。
 リストラしまくって小さい工事だけを受注する低リスクタイプ、反対に設備をどんどん増やして大工事を独占入札で大もうけする高リスクタイプと、プレイヤーの性格が分かれる。ただ前者の場合は他社との競合を避けるために入札価格は低く抑えられがちだし、後者の場合は決算日で多額の支払いが生じるため、いずれにしてもほとんど儲からない。談合したくなる気持ちも分かるというものだ。

みんな原価割れする中、大工事を独占入札して高い利益を得たタナカマさんが1位。そんなチャンスはゲーム中1度か2度しかない。それもバッティングしていたらおしまいだ。だからこそ独占の高額入札が成功するのはすごい。私は低リスク運用で入札もせず決算日も安く済ませたが、現状維持すらままならなかった。キビシー!
他社の出方も伺いながら、クレバーなマネージメントが要求されるこのゲーム、もっと遊びこめば契約カードの傾向も分かるようになってくるだろう。参加者一同高評価だった。契約カードのイラストも全部違っていて面白い。

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