ずーあーさん主催の「こっそりゲーム会」に参加。「こっそり」というのは平日で参加者がいなかったことから名づけられたもので、開催は掲示板で告知され、それを見てチャンスとばかりに参加することにした。参加者はずーあーさん、かゆかゆさん、そして私(秋葉原会場ではもうひとかた)。
当初の会場だった秋葉原イエローサブマリンが21時閉店のため、もっと遊びたくて無理にお願いし、秋葉原から柏木まで来て頂いた。柏木では「サンペテ会」が行われており、少し離れた席でほんとうに「こっそり」ゲームをしていた。たまたまいらしていた田中ブンケイさんと初対面。お陰で4人で遊ぶことができた。
ドロップス&コー
ドロップス&コー(Drops & Co. / G. Baars / Haba, 2004)
あめ玉を一番上にセットします。下の方が落ちていくにつれて上から新しく補給されます。木製のバルブに、ゴム製のベルトコンベアが巻きつけられており、バルブを回すとベルトコンベアが回転します。スタンドで立てられた木製のボードの絵柄も含めて、工場の雰囲気満点です。
自分の番になったらサイコロを振ります。サイコロにはいくつバルブを回してあめ玉を落とすかが指示されており、バルブを回して、あめ玉を下に落としていきます。一番下には各プレイヤーの缶が並んでいるので、自分の色の缶をめざしてあめ玉を落としていきます。自分の色のあめ玉なら2点、他の色のあめ玉なら1点。
あめ玉の中には紫のクラッカーが混じっています。これは-1点。サイコロで「クラッカーを落とす」という指示が出たときのみ、下に落とすことができます。自分の色の缶に入らないように、また他の人の缶に落ちるように誘導しましょう。
しかし、サイコロの中には「缶を移動」という指示もあるのです! せっかく自分の色のあめ玉を近くまで落としたのに、紫のクラッカーの真下に移動なんてことも。缶の移動は左から右へと一定なので、確率を読みながら落としていければエキスパートです。
アナログゲームの醍醐味で、一箇所に溜まったあめ玉が突然崩れて下に落ちたり、微妙な位置にあるあめ玉が上から落ちてきた別のあめ玉で思わぬ方向に動いたり、意外性も楽しめます。一番上のあめ玉がなかなか落ちてこないのも笑えました。
ゲームはサイコロでめぐまれたかゆかゆさんが前半、調子よく自分の缶に落としていきます。後半はじわじわ落ちてきたクラッカーの押し付け合い。これをうまく避けてかゆかゆさんの逃げ切り優勝。「あのクラッカーを避けながら、このあめ玉を落とすにはこういってああいって…」などとちょっと考えさせられる面もあり、大人が遊んでも楽しいゲームになっていました。「勢いをつけて回すと結果が変わるか」などと考え始めたのは行き過ぎだったかもしれませんが……。
トロイの木馬(Das Pferd von Troja / A. Randolph / Jumbo, 1994)
トロイの木馬には兵士が2人だけ隠れて入るようになっています。上から新しい兵士を入れると、前に入っていた兵士がロケットペンシルのように下から出てきます。自分の占領したい街に木馬を向けて、兵士を「えいっ!」 自分の色の兵士が出るか、別の人の兵士が出るか、それは入れるときに覚えておかなければなりません。
たった2人の色、覚えるのは何でもなかろうと思うのは間違いです。手番に上から入れられる兵士の数は変動するからです。どんどん投入されて中身が変わっていくこともあれば、誰も投入できないまま自分の番になることも。「あれ? 何色が入っているんだっけ……」
さて、自分の手番には投入したい兵士の数(1~3)を宣言してカードを引きます。カードに描かれた兵士の数(0~3)が宣言した数以上ならば成功。つまり欲張れば欲張るほど成功する確率が下がります。3と宣言したら3のカードを引くしかありません。
成功したらストックから兵士を取って、1人ずつ木馬に投入していきます。そのとき、街を選んで木馬をセットします。「攻撃~!」兵士を上から入れると木馬の下から兵士が登場。こうしてそれぞれの街に兵士が入っていきます。
一番多く兵士を入れた人がその街を占領できますが、はげたかのえじきの論理で、1位タイが出た場合は相討ちとなり、単独2位の人が占領できることになってしまいます。しかも各街の定員は7人まで。3人対3人で他の人が拮抗している街には、1人送り込むだけで占領確定です。このルールを使って相討ちを狙い、少ない人数で街を占領できるようにします。
兵士が全員投入されるとゲーム終了。それぞれの街には表になっている点数と、隠されているカードの点数があり、占領した人がこれを獲得して合計で勝敗を競います。隠されているカードの点数は、3人の兵士を送り込んだ時点で確認でき、ポセイドンカードという特別なカードが出たときに別のカードと交換できます。0点、1点、3点の3種類しかなく、勝敗は僅差で決まるのでカードの内容も蔑ろにできません。
自分の色の兵士がなかなか来ない中、うまく相討ちを誘って実りの多い街を制したかゆかゆさんが1位。宣言どおりに兵士が投入できるかは運次第ということ、ときどき記憶があやふやになって間違えること、そして何よりもやたらでかい木馬に兵士を入れる作業がおかしいことで、ゲームがカツカツにならず、ほのぼのと楽しく遊べました。すでに絶版で、ずーあーさんがファナゲンから中古で手に入れたものですが、私もほしいなと思いました。
でんじゃらすじーさん(Dangerous Jisan / Yuhodo / Konami, 2004)
このゲームでは手番プレイヤー以外、手札を持ちません。手番プレイヤーはカードを出して「でんじゃらすポイント」を足した後、次の人に手札を渡します。「でんじゃらすポイント」はすぐにマックスの30へ。「おい、こんな手札じゃ何も出せねーよ」などと言いながら1枚引いて、生き残れるかどうか。でもときどき青いイベントカードが出てきて状況が一変することも。バーストしたらライフポイントを1つ失い、3つ失ったらゲームから脱落します。
各カードに書かれたセリフを読みながらやると盛り上がるかもしれません。「テレビを見るのじゃっ!8」 でも一番の盛り上がりどころはゲーム中全て「じゃい」を付けなければいけないというイベントカード。「次はキミの番じゃい!」「いいカードがないのじゃい!」……大の大人が恥ずかしい限りです。
ゲームはずーあーさんが「早く終わりたい…」とつぶやいた時、じゃいを付け忘れるという失敗でライフポイントを失い終了。ノーダメージの私が勝利しました。ラメ入りのスペシャルカードは何種類かあるそうで、コレクタブルの要素もありますがそういうものがほしくなるのかどうかは分かりませんでした。ノイを遊んだことのない方に。
スルース(Sleuth / S.Sackson / Face2Face, 2004 (1st ed. 1967))
宝石は3つの種類×3つの形状×4つの色で36枚。最初に1枚だけ抜いて箱に隠します。残りの宝石を全員に配ります。他の人が何を持っているか訊きながら、自分の持っている情報と照合して、隠された宝石を特定していきます。
自分の番には聞き込みカードを出し、プレイヤーを指名して聞き込みをします。「ブルーダイヤモンドはいくつ持っていますか?」「ペアはいくつ持っていますか?」そして答えをメモ帳に記入し、消去法で絞っていきます。内容を見せてもらえるカードもありますが、数だけの情報でも、他の情報と総合すれば隠された宝石である可能性を消去できるかもしれません。そのあたりは探偵の腕の見せどころです。
特定できたと思ったら、自分の番でなくとも宣言することができ、箱の中のカードを見て合っていれば勝利。外れていれば脱落となります。また宣言の前に1回だけ、聞き込みができることになっており、情報を確定させるのに有効です。
全部消去する前でも、全員が持っていないことを確認できれば一足飛びで宣言でき、推理の鋭さが問われます。メモを上手に取って、誰よりも早くて正確な推理をめざします。
途中でブンケイさんがメモの間違いからか混乱しているうち、かゆかゆさんが宣言して正解。各プレイヤーで断片化されていた情報がだんだん集まっていくのは面白いプロセスです。1つの推理ミスでも致命的となり、集中力を要求されるのでパズル好きな人に。みんな真剣に考えているので、会話などを楽しむ余裕はあまりありませんでした。
マルコポーロ(Marco Polo / R.Knizia / Ravensburger, 2004)
キャラバンは団子状に固まって進んでいきます。マスに指定された組み合わせでカードを出せば先に進めますが、前のマスに他の人のコマがある場合、そのマスを飛び越して先の空いているマスまで一気に進めます。したがって後方でカードをためて、一気に前に躍り出たい訳ですが、みんな考えていることは同じ。いつどのタイミングで出し抜くかを読み合うことになります。
途中には点数をもらえるマスがありますが早い者勝ち。ゴールは途中と最後に2箇所あり、誰かが着いた時点で早い順に点数が割り振られます。かといって先行逃げ切りで先を急ごうとしてもカードが足りません。前を進む他の人のコマを飛び越すことによってカードを節約でき、その節約した分がラストスパートに生きてくるからです。
ゲームは序盤冗長な展開に見えましたが、かゆかゆさんが中間地点を制してトップに。後半は注意深くカードを見極めた私が取って首位を奪取しました。ずーあーさんはもう1枚が出ず。
手札の補充の仕方が勝敗を分けるように思われます。アルハンブラと同じく表になっているものから選ぶか、裏になっている山札から引くかを選べるのですが、誰が何を取っているか観察してしっかり覚えておき、どのマスに進みそうか見定めておくこと、反対に自分が何を狙っているかばれないように山札から多めに引いてカモフラージュしていくこと。記憶力が試されるゲームになってしまいますが、それほどたくさん覚えられるわけでもないので、どのプレイヤーをマークして覚えるかがポイントになりそうです。うまくカモフラージュしつつ、自分のほしいカードを山札から引けたときの喜びはたまりませんでした。
カサソラ・メルクルが現代のゲーム状況を「デカダンス(頽廃期)」と表現していますが、面白いゲームがないと嘆く前に、ゲームの面白さを見つけるはたらきかけをゲームに対して積極的にしているかで、同じゲームから得られる楽しさはまるで違ってくるのではないかと思います。