6本の砂時計を落とすな!『カイト』日本語版、6月15日発売
アークライトゲームズは6月15日、『カイト(Kites)』日本語版を発売する。ゲームデザイン:K.ハマノ、イラスト:B.ソーベル、2~6人用、10歳以上、10分、3300円(税込)。
6本の砂時計が落ち切らないように凧カードを出す協力ゲーム。フラッドゲートゲームズ(アメリカ)から昨秋発売された作品で、エッセン・シュピールのスカウトアクションで6位に入っている。
凧が飛んでいることを表す砂時計が落ちきる前に、用意された全てのカードを使い切ることを目指す。手番にはカードを1枚プレイして、指示された色の砂時計(または白の砂時計)を逆さまにし、山札からカードを補充する。
砂時計は全部で6色あり、砂時計の落ちきるまでの時間がそれぞれ異なる。さらに同じカードに2色指示されていることもあり、どの砂時計がやばくて、その色のカードを誰が持っているか、プレイヤー同士のコミュニケーションが試される。
慣れてきたらハードモードカードを追加することで、相談禁止、手札入れ替え、砂時計全反転など、ゲーム難易度を上げることができる。
内容物:ルール説明書 1冊、砂時計 6本、凧カード 53枚、ハードモードカード 12枚(カードサイズ:57x89mm)
ゲームマーケット2023春:2日目レポート
1日目のレポートはこちら。2日目の天気は曇りで、過ごしやすい気温だった。1日目と比べると混雑せず(人出は多かったが特定のブースに集中していた印象)、サークルでどんなゲームか尋ねたり、試遊したりすることもできるのが日曜日の良いところだ。土曜のほうが売れ行きはよいと思うが競合して訪ねられにくく、日曜日は売れ行きは落ちても訪ねてもらいやすいという長所がある。
家族連れやカップルは日曜日のほうが多い。これはエッセン・シュピールの平日と土日の客層の違いと共通する。エッセンは土日のほうが圧倒的に混むことを考えると、ゲームマーケットはまだマニア寄りのイベントといえそうだ。
ゲームマーケット事務局の発表では、1日目の来場者が12000人、2日目が10000人で合計22000人。ゲームマーケット2023秋と比べると1日目は横ばいで2日目が1000人増え、1日目と2日目の差が縮んでいる。
午後からはアナログゲームミュージアムの設立宣言イベント。実はアナログゲームミュージアムはすでに開設されており、神奈川・大磯にある草場氏の祖父の実家を利用して収蔵を始めている。民家であるため、一般開放や貸出はできないが、すでにゲームマーケットに出品された約2000タイトルが集められ、登録が進められている。
草場純氏による概要説明の後、「格闘系司書」高倉暁大氏、伊藤稔(アドル)氏、大阪国際工科専門職大学の福田一史という、図書館情報の専門家によるボードゲームの目録作成のお話。目録は文化の評価に必要不可欠であること、資料の管理やアクセスの提供など、BGGやボドゲーマにない情報が求められること、同人作家も含め、奥付を必ず入れてほしいことが述べられた。
活動資金の調達や、開設以前の作品の収集、目録に登録するマンパワーの確保など課題が山積しているが、草場氏は「参加型協力ゲーム」として多くの会員の参加を呼びかけている。この後、渡辺範明氏(ドロッセルマイヤーズ)、カナイセイジ氏(カナイ製作所)、刈谷圭司氏(ゲームマーケット前事務局長)、安田均氏(グループSNE)、米光一成氏(ゲームデザイナー)という豪華メンバーによる対談が行われた。
アナログゲームミュージアム設立宣言イベントでの福田一史氏によるプレゼン。すでに登録された分は「AGMサーチ」としてGitHubで公開されているという
同時刻に特設ステージで開催された「ThunderGryph Games賞 in GameMarket 2023」では、スペインのボードゲーム出版社サンダーグリフのゴンザロ氏が会場を回ってピックアップした作品の中から、『エレメンタルトランクマン(東京ゲームメイカーズ)』を大賞に選んだ。
サンダーグリフ社のゴンザロ氏と東京ゲームメイカーズのオグランド氏
以下、土曜も含めてチェックした作品を紹介。先日発表した「注目の新作ボードゲーム」を参考にして、さらに管理人が気に入った作品を加えた。今回もトリックテイキングゲームが人気で、国産ゲームだけでなく、ジーピーゲームズでもコスモス社の正体隠匿トリックテイキング『インサイドジョブ』が人気を集めていた。
トリックテイキング
『Uchronicle/ユークロニクル』(こぐまやん)はメイフォローで絶対勝たなくてはならないトリックテイキング。勝つために切り札を変更することができるが、過去のカードが並べられ、矛盾が生じた場合は除去して失点になってしまう。ゲームデザイン:ぶらちょこ、イラスト:あまぐ、2~3人用、12歳以上、30分。
『Trick’O Roof/トリコルーフ』(酔いどれ趣造)は勝った順に屋根の色を変え、お題の並びを揃えて得点するトリックテイキング。1番手は好きな色を選べてお代を達成しやすいが、2番手、3番手と選べる色が減っていく。ゲームデザイン:お酒、イラスト:みのすみす、2~5人用、10歳以上、30~60分。
『TIGHEE/タイギー』(VicVillage)は、基本的に取らないことを目指すトリックテイキング。ただし4の倍数を取ると得点になる。黒のスートは山札からめくられた色になるので油断がならない。『ちびくろさんぼ』のトラとギーのお話。ゲームデザイン:LEO、イラスト:Higawind&Agomi、3~4人用、10歳以上、30~40分。
『サヴェッジボウル ~トリックテイキングゲーム~』(ぶれけけゲームズ)は前半は2位になると勝つというトリックテイキングで、ぴったり一定数の勝利を目指す。前半は1位になると手札を1枚捨てられるので、勝利数を調整するが……。ゲームデザイン:URiO、イラスト:長谷川登鯉、4~5人用、10歳以上、30~45分。
ユーロ系
『木曜日だった者』(木星文庫)はチェスタトンのミステリー小説に基づく韓国発のエリア制圧ゲームで、各曜日の名前がついたエージェントから、自分の担当を隠しつつ他のプレイヤーのものを推理する。ゲームデザイン:木星の読書家&ANUC KIM、イラスト:E.マネ他、1~4人用、12歳以上、25~50分
『マイトロッコタウン』(Studio GG)は建物と線路をつなげ、リソースを運搬・変換して勝利点に変えるタイル配置&ピックアップ・デリバーゲーム。『リトルタウンビルダーズ』のStudio GGによる新作で注目。ゲームデザイン:Shun&AYA、イラスト:AYA、1~4人用、10歳以上、30~60分
『RATORO/ラトーロ』(Sui Works)は牛とネズミという2種類のワーカーを使うワーカープレイスメント&セットコレクション。ネズミは牛のあるところに置けるが、その逆はできない。アクションのコストは捧げ物となり、捧げ物から取るアクションもある。ゲームデザイン:符亀、イラスト:みやのせなつみ、2~4人用、14歳以上、30~60分
『ハーベスト』(ForGames)は90年代にJRのキオスクなどで販売されていた幻の作品をリメイク。野菜カードを配置して3枚並んだら自分の畑にあるものを収穫できるが、失点になる腐った野菜は他人の畑に置く。ゲームデザイン:森川幸人、イラスト:井上磨、1~6人用、8歳以上、20分
『スプラッシュパーティ(Splash Party)』(Jelly Jelly Games)は自分の色を隠して他の色のコマをプールに落とす生き残りゲーム。H.マイスターが1999年に発表したものをカクテルゲームズがリメイクし、今夏日本語版が発売されるという。2~6人用、6歳以上、10分
『フラワーマーケット』(さとーふぁみりあ)は花を仕入れて顧客に売るセットコレクション。ゲーム中の資金はすべて借金で、ゲーム終了時に精算する。安くなってから仕入れたいが、他のプレイヤーの客を取られてしまうかもしれない。宣伝して手番順を上げたいが、それも借金である。ゲームデザイン:佐藤敏樹、イラスト:ことり寧子、2~4人用、10歳以上、40~60分
『コンコード』(OKAZU brand)はコミュニケーション禁止で全員がカードを一斉に出し、お題を達成する協力ゲーム。手番プレイヤーがどのお題を選んだかが手札のヒントになる。ゲームデザイン:林尚志、イラスト:ryo@にゃも、2~5人用、8歳以上、30分
ワード&パーティゲーム
『リレカエイズム』(角刈書店)はフレーズの頭文字を頭の中で入れ替えて正しく読み上げるワードゲーム。ジャンキー大山ショーのファミリーバージョンといったところ。3~6人用、6歳以上、15~30分
『んこんこ』(モザイクがかり)では「んこ」の付く言葉を早口で噛まないように読むワードゲーム。『トマトマト』と同じ趣向だが、羞恥心をくすぐられるワードが紛れ込んでいる。ゲームデザイン:モザイクがかり、イラスト:みゆまる、2~8人用、13歳以上、10~15分
『なむあみどうなつ』(ボドゲイム)はお経の中に秘密のワードを忍び込ませて、テーマを知っている協力者だけに伝わるように読み上げるターゲットヒント系ワードゲーム。ゲームデザイン:ごまねこ、イラスト:森太郎、3~5人用、10歳以上、20~30分
『キャピタルホース』(倦怠期)は都道府県ランキングを使った競馬レース。単勝から三連単で予想できる。馬の名前は都道府県名を英語に直訳したものとなっている。ゲームデザイン:新澤大樹、イラスト:菅原美沙穂、3~6人用、7歳以上、30分
『沈黙ノ艦長』(よぐゲーム)は同時プレイ1分間で次々と出されるカードを親が目を閉じて聞き、その後にかっと目を見開いてワープする方向と主砲を撃つ方向を決める協力ゲーム。膨大な情報を漠然と把握する力と記憶力が問われる。ゲームデザイン&イラスト:赤瀬よぐ、3~6人用、12歳以上、3~5分
1~2人用
『Ziegen jagen!』(ごみ国際)はマンカラ式でヤギを集める2人用ゲーム。人がいるマスのコマを全部取って1個ずつ配分し、最後の1個を置いたマスでヤギの数が草を上回っていれば獲得できる。4月に行われた名古屋ボードゲーム楽市で「楽市フレッシュドラゴン大賞」に選ばれた。ゲームデザイン&イラスト:きゃし、2人用、8歳以上、15~30分
『マンガすごろく:ゴッホとテオ』(アトリエ ミーミル)はゴッホとテオの兄弟がいい絵を描けるように協力するスケッチブック型のマルチエンディングすごろく。意欲が上がるほどいい絵が描けるようになる。ゲームデザイン&イラスト:山中麻未、1~2人用、12歳以上、30分
『はらわたの路地へ』(四等星)はマンカラの要領で冒険者を配置し、アイテムを獲得したり敵を倒したりしてダンジョンを進み、ボスを倒す1人用ダンジョン探索ゲーム。ボスを倒すたびに呪いがかけられ、7体のボスのうち、作者でも5体目ぐらいまでしかいかなかったという。ゲームデザイン&イラスト:mor!、1人用、10歳以上、30~300分
他にも現地でコンポーネントを確認できなかった注目の作品があり、順次プレイして紹介していく予定。また当サイトでは恒例の新作評価アンケートを行い、遊んだ方の生の声を集めていきたい。