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西部の街(Western Town)

新しい建物、新しいカード
西部の街
アメリカ合衆国大統領A.リンカーンは南北戦争中の1862年、奴隷解放宣言を出したが、インディアンに対しては厳しかった。同じ年にホームステッド法を可決させてインディアンに農業を強制させ、逆らうものは徹底的に弾圧した。彼の有名な言葉「人民の人民による人民のための政治」に、インディアンは含まれていなかったのである。
そのリンカーン大統領のもとで、西部の開拓をするフランスのゲーム。大統領のお気に召すような街を作らなくてはならない。それは住民の数であったり、街の魅力であったり、合衆国にもたらされる黄金であったりする。いろいろな建物を使って、これらの要素を増やしていくのだ。リンカーンカードは毎ラウンド1枚ずつ公開される。そこに書いてあるものが、このラウンドの目標で、最もよく達成できた人にはボーナスがある。さらにゲーム終了時の得点もこれで決まるので、これに沿って街を開発しよう。
1ラウンドには3枚のカードをプレイする。自分のデッキから4~6枚を手札に選び、そこから順番に出してアクションを行う。「金鉱」で黄金を入手し、「保安官」で輸出する。住民を増やすなら「農場」、魅力を上げるなら「酒場」など。
さらに、「大工」で新しい建物を作ると、その建物のカードが手に入る。建設可能な建物はゲームごとに変わり、ラウンドごとに強力なものが追加されていく。新しい建物を作ると、新しいカードが手に入るという仕組みがとても面白い。テーブルの上は、建設可能な建物が所狭しと並ぶ。
もうひとつ、ほかの人が同じカードを出していると利用できるという独特のシステムがある。自分の番に、ほかの人が同じ種類のカードをプレイしていると、相手のカードを伏せて、自分のカードをまた使えるのである。このため、前手番の人とかぶるのを避けるか、かぶるのを承知でやりたいアクションを優先するか悩ましい。さらに3枚のプレイ順番も考えどころで、カードの選択がこのゲームのメインといってもよいだろう。
カードプレイが終わったら、まだ表になっているカード(ほかの人とかぶらなかったカード)に書かれた収入を得て、リンカーンのチェックを行う。こうして5ラウンド行って、得点の多い人が勝ち。
ゲーム中、「銀行」など、インディアンチェックがあるカードがある。ダイスを振って、その数だけインディアンが野営地に集まってくる。規定数を超えると、インディアンが襲ってくる。このときカウボーイで撃退できないと、建物に放火されて使えなくなってしまう。備えあれば憂いなし。インディアンを増やす「鉄砲鍛冶」などを使っておきたい。
4人プレイで150分。「保安官」を多用して金の輸出を再優先で進め、リンカーンのほうびを毎ラウンド手に入れることができた。しかしこれに集中し過ぎて、街の魅力を上げたり、得点の高い建物を建てる余裕がなかった。最後は「銀行」で大量の黄金を輸出したサガエさんが逆転優勝。リンカーンにおもねってばかりではダメだということだろう。
たっぷり遊びごたえのあるゲーム。時間が長いのがいやな方にはショートゲームのルールも含まれている。
Western Town
O.ワルニエ/ホワイミー(2012年)
2~4人用/12歳以上/90分
ゲームストアバネスト:西部の街

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シュピール’13新作情報:クイーンゲームズ

ドイツの出版社クイーンゲームズは今年、全タイトルをキックスターターで資金調達し、話題作りにもなりました。
★アメリゴ(Amerigo)
S.フェルト作、2~4人用、12歳以上、75分。
16世紀初頭にアメリカを探検したイタリア人探検家アメリゴ・ヴェスプッチを助けて「新大陸」を発見します。南アメリカの島々を探索し、交易路を作り、開拓地を建設します。
アクションは『将軍』などでも用いられた特製ダイスタワーを使って決定されます。7色のキューブが予め入っており、ゲーム中にキューブを入れ、中に引っかからないで落ちてきた色のアクションができます。
ゲームボードはプレイヤー人数によって9~16枚のタイルから作られ、ボード上を船で航海し、島に上陸して開拓地を建設します。開拓地は資源や得点をもたらし、海賊から守るために大砲を装備したり、特殊能力を得るためにグレードアップさせたりしていきます。
今年のドイツゲーム賞に3タイトル(『ブルッヘ』『ボラボラ』『リアルト橋』)も入賞した今最も注目されるデザイナーの作品です。

★ダーク・ダーカー・ダーケスト(Dark Darker Darkest)
D.オースロー作、2~5人用、14歳以上、120分。
『パニックステーション』のデザイナーによる協力ゲーム。たくさんのミニチュアフィギュアがゲームを盛り上げます。世界中をゾンビにしてしまうウィルスの解毒剤を求めて、モルティマー博士の屋敷を探索します。
屋敷の中ではゾンビと炎が一緒に押し寄せてきます。アイテムを手に入れて扉を開けたり、消火したり、襲いかかる恐怖のゾンビたちと戦わなければなりません。屋敷の秘密は隠れた生き物やセキュリティーカメラが見張っており、見つかるとイベントが起こってしまいます。戦闘やイベントでは特殊ダイスを振って
コードを集めて研究室に入り、ネメシスを倒すことができればゲームに勝利します。その前に全員が死んでしまったら敗北です。ゲームはダーク、ダーカー、ダーケストの3つの難易度でプレイでき、タイルの組み合わせによって毎回異なる屋敷になります。

★スペキュレーション(Speculation)
D.ヘン作、3~6人用、10歳以上、45分。
1992年に発表された同タイトルの株式ゲームのリメイクです。会社コマの価値がカードプレイとダイスで変動する中、株券の安いうちに購入して、その会社を上位にあげて儲けることを目指します。みんながもっている株は株価が上がりやすいですが差がつかず、自分しか持っていない株はリスクが高まります。
TGiW:スペキュレーション(旧版)

★聖墓の騎士:秘密の宝物(Templar: The Secret Treasures)
J.T.カストロ作、2~5人用、10歳以上、60分。
聖墓の騎士が修道院に宝を隠します。さまざまなキャラクターを使って、隠された宝を見つけましょう。
10枚のキャラクターカードと、宝物として本、聖杯、指輪を持っています。キャラクターカードを全員1枚ずつ選び、一斉に公開してから、順番にキャラクターのアクションを行います。アクションはキャラクターによって異なり、修道院の中を移動したり、宝を隠したり、隠された宝を取ったり、扉を開閉したりします。修道院長のレミジウスが移動した部屋に宝物があるプレイヤーは得点できます。
それ以降のアクションカードは、ほかのプレイヤーが直前のラウンドで出していないものに限られます。同じアクションで追随することができないため、カードの選択も重要です。