秋葉原水曜日の会 07/09/26

秋葉原水曜日の会 07/09/26

結局9月は皆勤となった秋葉原水曜日の会。1ヶ月間、毎週通えたのは今年2回目である。お昼ごろに行って夕方には帰ってきてしまうので4時間ほどしかいられないが、それを毎週という頻度で補う。勤め人でない者にとってはこれで1週間のいいリズムが作れてありがたい。

1億6千万円ぐらいの借金をかかえた不幸そうな女顔の執事を、ひきごもりぎみのチビなお嬢様や、完璧超人の生徒会長やら、年上の優秀なメイドさん、ハムスターなオーラの普通の女子高生たちで奪い合うゲーム。女装もあるよスフィンクスニーベルンゲントップ・オア・フロップノッティンガム大航海時代

1億6千万円ぐらいの借金をかかえた不幸そうな女顔の執事を、ひきごもりぎみのチビなお嬢様や、完璧超人の生徒会長やら、年上の優秀なメイドさん、ハムスターなオーラの普通の女子高生たちで奪い合うゲーム。女装もあるよ(- / 鈴木あゆむ / ろーる屋, 2007)

1億6千万円……女装もあるよババヌキ、最後にもってたら勝ち

水曜日の会の会場となるイエローサブマリン秋葉原RPGショップには、充実した無料貸し出しゲームがある。ホビージャパンの新製品や、国産の新作が置かれ、自由に遊んでよい。それが最近とみに充実してきて、結構な量になっている。その片隅にちょこんと置かれていたこのゲーム。製作者が置いていったものだろうか。
 タイトルはやたら長いがゲームはとっても簡単。要するにババヌキで、最後に1枚(執事カード)残った人が勝つ。ペアができるたび捨てていくのは同じだが、そのときに特殊効果を発揮するカードがあって、ほかの人のカードを引いたり、手札を全部取り替えたりできる。自分に1枚だけきた執事カードを、無事最後まで守りきれるか?
 残念ながら、最後の最後で執事を持っていかれて負けてしまったけれども楽しかった。製作者の意図がゲームのシステムにあるとはあまり思われないが、奇を衒っていないのがかえって新鮮。

スフィンクス(Sphinx / O.マイヤー / ラベンスバーガー, 1974)

トラップに誘い込みたい

ラベンスバーガーの創業者オットー・マイヤーがデザインしたという珍しい作品だ。しかも30年以上も前。昨年復刻された『ドラゴンクエストダンジョンR』という同じデザインのゲームがあるが、その初版が発売されたのが1990年だから、さらに16年遡る。そんな昔にもうこれだけのゲームを発売していたわけだ。ドイツおそるべし。
 お互い相手が作った迷宮を手探りで進み、宝に先にたどり着いたら勝ちというゲーム。まず衝立の陰で決められた数の壁を配置し、スタートとゴール地点だけを相手に明かす。
 手番にはスタート地点から移動できる座標を相手に言い、壁でなければ黄色いチップを置いていく。壁にぶつかったら交替。壁の置き方では相手の裏をかいたり、裏の裏をかいたりして進みにくくしよう。
 完全によたろーさんの術中にはまった私。少ししか進めないうちに私の迷宮はあっさり見破られてしまった。もう1回やったら今度はこうやってやろう、ああやってやろうと想像力がかきたてられる。

ニーベルンゲン(Nibelungen / W.クラマー / アミーゴ, 1992)

大男がウロウロ

ワーグナーの歌劇にもなったニーベルング伝説をモチーフにしたボードゲーム。大賞作家のクラマー作。ライン川の底に沈んだニーベルンゲン族の財宝を奪いに、今また英雄たちが大男に挑む。
 2つのダイスを振って、1つは自分のコマを、もう1つは大男を進める。自分のコマが宝石のあるマスに止まるか通過するたびに宝石が手に入り、これを城に持ち帰るのが目標だ。しかし途中で大男に捕まってしまうと、宝石を半分失う上に村に帰されてしまう。
 同じマスにいるコマは先着順に重ねられ、大男が通過すると一番上にいるコマだけが捕獲される。これを使ってうまく他人のコマに潜り込み一難を逃れる方法がある。同じマスにいるコマは好きなだけ連れて行くことができるから、自分のコマを一緒に行動させつつ、ほかの人のコマを傘にしよう。
 ゲームで大切なのは途中で手に入る4つのアイテム。「ドラゴンの血」は英雄の追加移動、「魔法の水晶」は大男の移動制限、「隠れ蓑」は大男に捕まったときの難逃れ、「バルムンクの剣」は同じマスにいるコマからの強奪や移動要求。これらをうまく組み合わせると、大男から逃れるばかりでなく、有利に宝石を集めることもできる。
 宝石がある程度たまったら、大男に襲われないうちにお城へ。ここでそれまで集めた宝石を確保できる(宝箱の右の部屋から左の部屋に移す)。こうして規定数を先に集めたほうが勝ちだ。
 ゲームが始まってすぐ、大男の脅威に絶望的な雰囲気が漂う。何しろ大男は2人いて、毎回どちらかが必ず移動するから早いのだ。もたもたしていると安全地帯に逃げる間もなく捕まってしまう。これでゲームは終わるのか?と思われたのだが……。
 しむしゅさんが早めに2つのコマを同じマスに集めて、効率よく宝石を集める。一旦お城に帰る私にバルムンクの剣をつきつけ、「一緒に連れて行け!」お城に帰って宝箱を開けてみたら、もう規定数に達していた。私は2つばかり足りず。
 実は宝石はがっぽがっぽと入ってくるので、大男に半分取られてもまだまだ貯まるのだった。すさむくらいにお互い大男をぶつけ合い、奪い合うのがゲームの意図された遊び方のようだ。ドイツゲームには珍しい直接攻撃系。

トップ・オア・フロップ(Top oder Flop / M.シュレーゲル / アルゲントゥム, 2006)

B級映画にかけた青春(返せー!)

B級映画の出来を競うカードゲーム。その哀愁を楽しもう。
初めに自分が応援する映画を2つ、自分の前に公開。この公開したカードの数字上位2位までに、最後にできあがった映画のポイントが与えられる。できがよくても、悪くても。
 というわけで自分の応援する映画の出来がよくなるよう、「TOP」の側にカードを置く。一方、その映画を応援していない人は反対側「FLOP」の側にカードを置く。どちら側にも3枚までしかおくことができず、全部置かれたら完成となる。「TOP」側の合計のほうが大きければ成功でプラスポイント、「FLOP」側が大きければ失敗でマイナスポイント。
 そのほか、3枚置く前に映画をクランクアップさせるストップマーカー、どちら側でも合計を2倍にしてくれるダブルマーカー、トップからフロップへ、フロップからトップへカードを移す変更カードがあり、出来のよしあしは簡単に決まらない。
 いきなり私とよたろーさんが青春をかけた映画『タニヤの夢』が見切り発車で大失敗。そこで皆が、自分が応援していない映画の足を引っ張り始める。B級どころか、どんどんクソ映画になっていく映画たち。私のトータルは0点ちょうど。しかも残った手札とチップのボーナスのおかげで。
 自分が応援している映画を順調に成長させているうちはいいが、いったんお互い足を引っ張り始めるとそれが加速する。そういう展開を意図してデザインしたのだとしたら、このデザイナーもやるものだ。

ノッティンガム(Nottingham / U.ローゼンベルク / アバクスシュピーレ, 2006)

5枚貯めたい

ゲーム内容はこちら。水曜日の会主宰のタナカマさんは個人的にときどき「このゲーム面白い」キャンペーンをやっていて、ちょっと前のゲームに新しい発見があったりする。
 手札から見ないで取る、手札を見て取る、手札を公開させて取る、待ち伏せで完成した相手から取る、1枚ずつ出してもらって好きなのを取る、競りにかけて好きなのを選んで取る、相手が要求してきたときに取る、といった多彩な交換方法が繰り出されるバラエティがこのゲームの面白さ。カードの集まり方はほぼ運次第だが、その過程でのやりとりが面白い。
 なかなか揃わないうちに全種類1枚ずつの役ができて、それから4ペアまでいくべきところを3ペアで妥協したのが祟って伸び悩んだ。まずは5枚や4ペアの役を最優先して取るのが大事だ。

大航海時代(Age of Discovery / A.V.シュルツ / メイフェアゲームズ, 2007)

お金を貯めて、船を増やして、世界へ

中世、ヨーロッパ人はインド・アジア大陸・アフリカ大陸を「発見」していった。その大航海時代をテーマにしたカードゲーム。
 船は高価だが、持ち金はない。そこでまず近場で交易してお金を稼ごう。最低限の船を買って、交易契約書を入手しオープン。3周もあればまとまったお金が入ってくる。
 お金が貯まったらさらに船を買い、新しい交易で資金を確保しつつ、少しずつ冒険に出発させよう。船カードの中から中間決算・最終決算のカードが出てきたら、その時点で冒険に出ている船に得点が入る。
 いつまでもお金儲けばかりやっていては得点にならない。しかし船を冒険に出してしまえばその船はもう帰ってこない。船が少なければ収入も自然と厳しくなるだろう。どこで冒険に出すかの選択が難しい。
 さらに悩ましいのは、冒険先には定員があるということ。12の冒険ルートがあるが、船カードの数字の合計が規定に達してしまうとそのルートは閉鎖されてしまう。終盤にはみんな船をどんどん出してくるから、そのちょっと前にうまく潜り込みたい。
 そして最後に公開されるのが特殊任務カード。それぞれの冒険ルートに送り込んだ船によってボーナスが入る。この特殊任務カードは全員違っていて、1隻でも送ればいいが少ししかボーナスがないものから、独占しなければならないがボーナスが大きいものまでさまざま。特に独占は難しいのでゲームバランスを疑問視する声もある。
 効率よく資金を入手して船を送り込むにはある程度の慣れが必要。ちょっと油断すると1手番くらい軽く遅れる。その差が積み重なって勝敗を分けるようだ。今回は全員初めての中、序盤に資金難に陥りながらも最後に大量の船を送ることに成功し、ボーナスで大逆転したしむしゅさんのダントツ1位。私は資金繰りが弱かったせいか船の数を揃えられず2位。
 交易契約と船の購入は早い者勝ちだが出遅れても何とかなることと、冒険ルートの定員は終盤になって問題になってくるので、ゲームの全体を通してプレイヤー間の絡みは少ない。でも、その分安心して自分の計画を進められるのがゲームの楽しさになっている。説明にはちょっと時間がかかるが、ゲーム自体は45分。最後にけっこう複雑な計算をしてみるまで結果が分からないのもいい感じだ。特殊任務カードについては、国内外で議論があるようなので調べてみたい。

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