新宿のゲームスペース柏木でヤポンブランドや日本ボードゲーム大賞の打ち合わせのついでに、軽くゲームを遊んだ。3タイトルはヤポンブランドのスタッフ、居椿さんのドイツ土産で、アーヘンのデパートから買ってきたという。国内では未紹介だったが、調べてみると高名なデザイナーの作品であることが分かった。そういうゲームがいくつも、さりげなくおもちゃ売り場に置いてあるドイツ。日本も、そんな風になったらいいのになぁと思った。
つるつるペンギン
つるつるペンギン(Plitsch-Platsch Pinguin / G.バース / ラベンスバーガー, 2006)
ペンギンが滑りやすい氷を渡ってお魚を集めるゲーム。作者のバースは子どもだけでなく大人の心もつかむギミック(仕掛け)の作品を作り続け、デザイナー買いする人も多い。
今回のギミック、氷タイルの下に小さいコマが置いてある。サイコロを振ってその数だけペンギンを進めるが、一歩ずつ氷の上に置いてバランスを取っていかなければならない。氷のタイルが崩れてペンギンが滑り落ちたら手番終了。氷タイルはきわめてアンバランスに置いてあり、ちょっとしたことでつるつるーっと行ってしまう。
成功したらまたサイコロを振って進め、これを繰り返して無事1周できたらお魚をもらう。マイナス点になる骨のお魚は、1回ずつ進めて最初に失敗した人がもらう。
さらに上級者ルールとして氷タイルの下に置くより小さいコマも入っている芸の細かさ。それを入れたら難易度が急上昇した。氷タイルの下のどの位置にコマがあるかを下から覗きこみつつ、重心を間違えないように慎重に置かなければならない。もらえる魚が多いとき、欲に目がくらんで手が震えてしまうのがおかしく、また崩れたときの盛り上がりが楽しい。
すいすいおさかな(Flinke Flosse / H.マイスター / ラベンスバーガー, 2003)
ダイスを振って出た目の魚のタイルをカルタ取りするゲーム。これまた子どもゲームの巨匠、マイスターの作品。
早い者勝ちでタイルに手をつけた人が中央のピカピカなお魚タイルをもらえる。それだけならばどうってことのないゲームだっただろう。しかし同じ目の魚タイルが2枚。めくると1枚は網が破れた絵が描いてあり、もう1枚は網が破れていない絵が描いてある。破れた網のほうを取ってしまうとそれまで捕まえたお魚が全部逃げてしまう。
というわけで、サイコロを振ったときに、対応する2枚のタイルのうちどちらが網が破れていないかまで覚えておいてそちらを取らなくてはならない。タイルの数は1~6まで6種類×2枚の12枚。覚えていたつもりでも、慌てて間違ったほうを取ってしまったりするものだ。
軽めながら記憶&パターン認識&早打ちという3つの要素がつまったこのゲーム、完成度が高い。
わいわいウシさん(Kuh & Co. / A.ビルクシャウ / ラベンスバーガー, 2004)
シンプルなダイスゲーム。カードをめくって指示された動物の目を3回のダイスロールのうちに出す。指示された目が出るたびに取り除き、残りのダイスで残りの目を出していこう。全部出せればカードをゲットできるが、失敗したら次の人がその続きをする。振るダイスは5個。3つの動物だけならなんとか出せそうだが、5つの動物が指示されているカードは難しい。
次の手番の人にしてみれば前の人が失敗してくれるのがありがたい。子どもゲームのはずなのに、人の失敗を喜ぶという大人なゲームになっていた。カードの絵柄は、1枚1枚別々に描き分けられていて楽しい。
失敗し続けて次の人にチャンスを与える人がいたり、稀に2人が失敗して3人目にチャンスが回ってきたりと、ダイスゲームならではの予期せぬ展開が楽しめた。
おばけの森(Geisterwäldchen / M.シャネン / ドライマギア, 2005)
ドワーフにくっついておばけの森を脱出するゲーム。テーマとしては『オバケだぞ~(おばけの階段)』の続きとなっているらしい。コンポーネントも、同じく磁石を使用している。今回はドワーフコマとプレイヤーコマの中に磁石が内蔵されていて、ドワーフコマにプレイヤーコマを近づけるとくっつく。そこでドワーフコマを進めれば、一緒にくっついたままプレイヤーコマも進むという仕掛けだ。
手番にはダイスを振って好きなコマを進める。オバケのマークが出たらオバケをかぶせて、そのコマはオバケがいなくなるまで進めない。ドワーフはどんどん進んでいくので、それにくっついていれば一緒に進めるが、途中川を越えるときに何人もくっついていると皆流されてスタートに戻ってしまう。
オバケコマが2つしかないので、『オバケだぞ~』のような記憶はあまり問われない。代わってオバケによる邪魔をかいくぐり、ドワーフからどれくらい離れないでいられるかが勝敗に関わっている。そのためにはダイスでよい目を出すことが大事で、さまざまな仕掛けの割に普通の双六であるような気がした。もちろんそれはそれでダイスの一投一投に気合が入って盛り上がる。