八郷自宅ゲーム会 06/06/09

八郷自宅ゲーム会 06/06/09

水曜日の会でメトロポリスを遊んで、都市建設ゲームをもっと遊んでみたいと思うようになった。そこで山形に行く途中、米出さん宅にお邪魔して都市建設ゲームを遊ばせていただくことに。前日の開催決定だったが栃木からやすとしさんらがいらっしゃって、4人揃う。帰りには小山まで送っていただいた。場所とゲーム提供から送迎まで誠にありがたいことだ。
 今日遊んでみて分かったのは、私は建物の建築をテーマにしたゲームがとても好きだということ。競争しながらもひとつのことを目指す一体感、リアルで建設的なものづくりの喜び、次第にその全貌を現していく街並みの景観、ドイツゲームはこの手のゲームに事欠かない。すっかり満足して帰った。

タイムズスクエアビッグシティクレオパトラと建築士ダウンタウンファンタジア

タイムズスクエア(Times Square / R.クニツィア / コスモス-リオグランデ, 2006)

タイムズスクエア夜の街の客引きゲーム

コスモスの2人用ゲームシリーズにブルームーンを発表しているクニツィアの作品。リオグランデ版はニューヨークの歓楽街タイムズスクエアがタイトルになっているが、コスモス版タイトルは「リーパーバーン夜1時半(Aufder Reeperbahn nachts um halb Zwei)」である。リーパーバーンはハンブルクにある歓楽街。日本でいえば歌舞伎町といったところか。2つのナイトクラブがダンサーと客の取り合いをするという、ちょっぴりアダルトなテーマの作品だ。対象年令12才以上。

 2件のナイトクラブの間には6人のキャラクターが行き来している。カードを出して、対応するキャラクターを自分の店に呼び込むのがゲームの目的だ。
 一番重要な人物が椎名林檎、もといスーシー・スーという女性、2人のボディーガードを引き連れており、その制限でゆっくりしか移動できないが彼女が店に入ったら勝利となる。
 そうでなければ哀川翔、もといシャンパン・チャーリーを自分の店に入れたら勝ち。彼はスー以外のキャラクターをお店に入れると一歩ずつ近づいてくる。お店に入らなくても、山札が2回なくなったときに自分のお店に近いほうにいれば勝てる。
 後の2人は、スーよりこちら側にいればカードをジョーカーにする踊り子デーブ、一気に自分と同じマスに連れてくるハンサム・ハルがいる。この2人は頻繁に行き来するので、一発逆転も不可能ではない。
 この6人を交互に綱引きし、ハルを寄せれば踊り子を持っていかれ、ボディーガードを引っ張ってくるうちにスーが遠ざかって、あちら立てればこちら立たず。6人の位置を睨みながら一進一退の戦いが繰り広げられる。

米出さんが序盤踊り子を呼び込んだが、彼女は気移りが激しい。すぐにこちらにやってきて、ジョーカーの効果でスーもぐんと引き寄せた。しかしあと一歩足りない。米出さんはかわってハルでボディガードを引っ張り込む作戦。でもその間にチャーリーが店に入り、私の勝利と相成った。
 カードは同じ種類なら何枚でも出せるので派手に展開する。そして使った分だけ補充するので引き運の要素も強く、プレイ感は重くない。それでいて相互に関係しあう6人のキャラクターを綱引きし、一手一手が意外な動きをするのは面白い感覚がした。

ビッグシティ(Big City / F-B.デロンシュ / ゴルトジーバー, 1999)

ツーカーで都市開発

区切られた街区にさまざまな建物を建設し、立地条件で高得点を狙う都市建設ゲーム。21世紀になってから脚光を浴びてきたミュンヘンの裁判官、デロンシュ(「トランスアメリカ」「マニラ」)が最初に公開した作品である。米出さんによる気合の彩色コマでプレイ。まるで航空写真を見ているみたいだった。

 番地が書かれたカードを出して、その場所に好きな建物を建て、その都度得点していく。まず最初は家とオフィス。家はボードの外縁にあれば+1点、オフィスは反対に内側にあれば+1点になる。複数のカードを出して2マス分、3マス分の家やオフィスを建てられればさらに得点が高い。
 ボードがいっぱいになってきたら、そろそろ市役所の出番。家とオフィス以外の建物は、市役所がないと建てられないことになっているのだ。また市役所が建つと、新しいボードを置いて街を広げられる。いよいよ街らしくなってきた。
 郵便局・銀行・映画館は、家やオフィスと隣り合っているところに建てられる。教会はゾロ目番地のみ。路面電車は好きなところに伸ばすことができ、そこに面して建物を建てると得点が2倍。そして極めつけはデパート。家もオフィスも路面電車もあるところにしか建てられない。ゲーム中立てるチャンスが1回あるかないかというこのデパート、もし建てられたらものすごい高得点だ。
 公園と工場は、お邪魔建物だ。この2つだけは番地に関係なく置くことができ、他プレイヤーがひそかに計画していた区画を潰してしまう。
 こんな風にバラエティ豊かな建物で街を彩り、街が建物でいっぱいになったときにもっとも高得点をマークしていた人が勝つ。
 市役所、路面電車、公園、工場の4つは、それ自体では得点にならないため注意しないと単なる利敵行為になってしまう。市役所や路面電車の隣りは得点が上がるので、そこに置けるカードをキープしておいて、2手番かけて得点することになるだろう。公園と工場は、終盤トップを潰すのに使うのがよい。こうした役割を飲み込まないで漫然と手札どおりに置くだけでは面白くない。

 私は市役所もボードも路面電車も置かず、一手ずつ自分の手を伸ばすことにした。カードにも恵まれ、ダントツトップの座を守っていたのだが、米出さんがワンチャンスでデパートを建設し、さらに最後に持っていた土地3マスを工場で見事に全部潰されて失速、米出さんに差された。
 一手ではできないことを、いかに他の人に相乗りして達成していくか、反対から見れば相乗りされないように工夫するかが駆け引きを生み、静かだが面白い競争になっている。序盤は機械的に建物を置くだけで地味な展開だが、バリアントルールで手札の交換ができるようになると、協力関係も生まれてもっと楽しくなるだろう。

クレオパトラと建築士(Kleopatra und die Baumeister / B.カタラ&L.モーブラン ./. DoW, 2006)

満点!

ゲーム内容はこちら。インタラクションに気づいた2回目の感想はこちら。コンポーネントの素晴らしさはさすがに段々感じなくなってきたが、1ゲーム1時間程度で終わる収束性のよさと、ルール説明にかかる手間の少なさから、ヘビーローテーション化しつつある。

このゲームはフランス人が作ったものだが、ヨーロピアンゲームという括りで見るとひとつの完成形になっていると思われる。建設、陣取りというドイツゲームの二大要素を中心に据えつつ、ダイスあり、競りありと仕掛けも盛り込む。さらにちょっとした特殊能力カードの味付け。それでいて手番にできることはカードを取るか建設かの二択というシンプルさに抑えている。そして豪華なコンポーネント、何度やっても飽きない多様な展開、誰でも最後まで勝つチャンス、適度な時間。これだけ揃うと、完璧といってもいいのではなかろうか。

英語版がつい最近発売され、近日中に日本でも発売されるだろう。値段は少々高くなると思うが、ぜひ遊んでみてほしい。

ダウンタウン(Downtown / B.ヴェーバー / アバクス, 1996)

美しい街を作りましょう

何もない更地を投票と入札で都市にしていくボードゲーム。作者は「アクアダクト」のヴェーバー。90年代後半に発売された作品の多くは、当時はカタンやエルグランデなどの大賞作の影に隠れてあまり遊ばれなかったが、今遊び直してみるとほどよいコンプレクシティ(複雑さ)があって深い味わいがあるものが多い。

 まず街区のタイルをめくって、その街区を何にするか投票する。住宅地か、工業地か、商業地かの3択。同数なら手番プレイヤーが決定し、その街区にタイルを置く。住宅地なら周囲に工業地がないこと、工業地なら隣りに商業地があること、商業地なら隣りに住宅地が2つあることが優良な街区の条件。優良な街区だと得点が2倍になる。
 しかし得点を得られるのはその街区に自分のコマを置いた人だけ。タイルを置いてから円盤とカードを使って、どの街区に何個のコマを置きたいか(1~3個)意思表示する。全員一斉に公開。
 コマは今タイルを置いたところだけでなく、前にタイルが置かれたところや、これから置かれるところに置いてもよい。これから置かれるところは、優良な土地になるかどうか分からないリスクがあるが、その分置くときに支払うお金は安くなっている。
 全員一斉に公開なので、バッティングは十分ありえる。でも1つの街区に置けるのは4つだけ。バッティングして余ってしまうと、お金を払ったのにその分だけ置けないという悲しい事態になる。それなら皆が人気の土地に群がる間に裏をかいて?、いや裏の裏を?……楽しい心理戦。
 タイルとコマ4つが揃った街区はすぐ決済になる。得点は隣り合うタイルの数、優良な土地なら2倍、かけるコマの数、さらに1人か2人で独占していればボーナス。一見しょぼそうな土地でも、1人で独占すればなかなかの収入が得られるものだ。
 こうしてタイルが全部置かれた時点で終了。コマが4個揃わなかった土地は決済しないままで、お金の多い人が勝ちになる。

 初手、やすとしさんと私が一気に優良な街区をゲットした……と思いきや隣接するタイルがない!という間抜けな出だし。それを引きずって、2人とも金欠に陥っていく。タイルが置かれる前に買った土地が見事当たった米出さんが優勝。
 独占はボーナスが高いが、投票で皆から妨害されて優良な土地にしにくい。1区画に置くのは2コマぐらいにして警戒されないようにしつつ、ぎりぎりで出し抜くというのがよさそうだ。それにしても皆の考えが似通っていて、面白いくらいバッティングするのがおかしい。コンポーネントに華はないが(イラストがドリス・マテウスだというが箱絵だけ)、質実剛健なシステムで盛り上がりどころも押さえてあり、とても楽しかった。

ファンタジア(Phantasia in Kinderland / K.トイバー / ゴルトジーバー, 1996)

バレバレじゃ~!

トイバーの大賞作「バルバロッサ」子ども版。時間も15分ほどで終わる。
 バルバロッサと同様、粘土で何かを作ってそれが何かを当ててもらうというゲームだが、お題はカードで指示され、マニアックな作品を作れないから当てやすい。
 手番には1つオブジェクトを指示して、1回質問し、その後で答えを当てる。割り込みはなし。正解なら当てたほうは2チップ、当ててもらったほうは序盤は0チップ、中盤なら1,2チップもらえ、最後まで当てられないとまた0チップになってしまう。3,4問ぐらいでやっと正解にたどり着けるくらいの紛らわしい作品を作ろう。
 1回目は作ったオブジェクトが特徴を捉えすぎていてあっという間に終了。2回目は一転して曖昧この上ないオブジェクトになったが、人間の洞察というのはすごいものである。ほとんどの作品は中盤までに当てられてしまった。
バルバロッサは面白いが1時間以上見なければならない。その点短時間で同じくらいの面白さをもつこのゲームも十分ありだと思った(答え、緑:目覚まし時計と枕、橙:キツネとピザ、紫:クジラと巾着、ピンク:マットとネコ)。

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