秋葉原水曜日の会 06/04/19

秋葉原水曜日の会 06/04/19

先週に引き続き秋葉原に向かう。今回は先月下旬に発売され、個人輸入で入手したクレオパトラを持ち込んだ。いろいろなゲーム世代・ゲーム嗜好の人が集まってくるので、超新作あり、懐かしの名盤あり、誰も見たことのないような珍作ありといつも発見がある。

クレオパトラと建築士たちダンシングダイス魔獣の王

クレオパトラと建築士たち(Kleopatra und die Baumeister / B.カタラ、L.モーブラン / DoW, 2006)

クレオパトラと建築士たち大行は細謹を顧みず(『史記』)

クレオパトラお抱えの建築士となって、宮殿のパーツを作るボードゲーム。「乗車券」の成功で波に乗るデイズ・オブ・ワンダー社が、いかにも潤沢な資金を投じて作った風であり、その豪華さは「キャメロットを覆う影」よりずっと上。今年のニュルンベルクの期待作アンケートは3位で、デイズオブワンダーへの信頼の高さを物語る。作者は「キャメロットを覆う影」のカタラと、「キャッシュ&ガンズ」「ミス・モンスター」のモーブラン。これまではB.フェデュッティとR.フラガぐらいしか知られていなかったフランス人ゲームデザイナーの層の厚さを思い知らされる。

 宮殿には6種類の建築物がある。長い柱オベリスク、続いて3対のスフィンクス、宮殿入口の門、宮殿の周に作られる柱壁、そして上の段には床となるモザイク、奥にクレオパトラがお座りになる玉座。それぞれ2~9の立体パーツからできていて、それが徐々にできあがっていく様子はまさに圧巻としかいいようがない。
 ゲームはシンプルな構造になっている。手番にすることは、カードを補充するか、カードを出して建築するかのいずれか。資源は職人・木材・石材・大理石・瑠璃の5種類あり、建築物によって必要なものが異なる。何を建てるか考えながら、場札からカードを補充していく。必要な建築物によっては2パーツしかないものもあり、全部早い者勝ちだからのんびりしてはいられない。
 場札は3つの山から選ぶが、カードの半分が表、半分が裏になっていて、それがランダムに混ざっている。中身が全く分からないお楽しみセットや、汚職カードまるわかりの悪事セットなどがあって、選ぶのが楽しい。
 急いで安く建築するには、汚職に手を染めるしかない。カードの中には1枚で2つの資源が得られるカードや、何の資源にでもなるカード、他のプレイヤーからお金や資源を恵んでもらう乞食などキャラクターカードがある。こういうものを使うと、汚職をした証拠として汚職チップを取らなければいけない。この汚職チップは自分のピラミッドに貯金しておき、最後に一番多く持っていた人はいくらお金を持っていようともクレオパトラが飼っているワニの餌になってしまうのだ!
 汚職チップを減らす贖罪方法は、基本的に「犠牲祭」と「聖域」の2つ。「犠牲祭」は建築のたびに振るダイスで全部大祭司の目になったときに行われ(確率からいってゲーム中に1,2度)、供出するお金を握って一斉に公開し、一番多く握った人がチップを捨てることができる。でも負けると反対にチップをもらう羽目になるというシビアなイベントだ。お金を出しすぎると勝てないし、かといってケチるとワニのエサ……一体、いくら出したらいいのか? 一方「聖域」は、宮殿の上の段にモザイクタイルを敷いたときにできる隙間にアヌビス神を置くことで作られる。この聖域のマス数だけ、ゲームの最後に汚職チップを捨てることができる。広い聖域を作ることができるかが、勝敗の重要な分かれ目だ。
 こうして5種類目の建築物が建ち、クレオパトラが宮殿に到着したとき、汚職と贖罪をバランスよく行いつつしっかりとお金を貯めた人が勝つ。汚職チップ最多でワニのエサになってしまった人を除いて、一番のお金持ちが栄誉ある建築士になる。

 1回目はお互いに汚職を勧め合いながら、自身は汚職を避けるという展開。そのうちよたろーさんががんがん汚職をし始めると、他の人も追随する。要は汚職チップが最多にならなければいいわけだから、他にもっと汚職している人がいたら、それを上回らないようにさえすればよい。ところがこれが罠。よたろーさんは犠牲祭で大金を投じたほか、何と8マスの聖域を作り贖罪態勢を固めてきた。そうなると聖域を作れなかった人はなかなか引き返せない。結局、クリーンな仕事を心がけてきたのにモザイクタイルを1枚も置けなかった私がワニのエサになった。
 メンバーが替わって2回目。今度はみんなはじめから汚職しまくる展開で、ものすごいスピードで建築物が建っていく。みんなの手元には汚職チップがジャラジャラ。そこで再び聖域が注目され、これが勝敗の分かれ目となった。私は前回の反省から急いでモザイクタイルを1枚確保したが、やはり及ばずしむしゅさんと同点で2人ワニのエサ。
 汚職を避けていると手が遅くなり、なかなか収入にならない。1手を争うようなところは思い切って汚職して、同時に贖罪の方法を探るというのが勝ち筋のような気がした。1ゲーム60分で、プレイ感もさほど重くないから、1日のうちに繰り返し遊ぶのもOKだ。箱にぎっしり詰まっているのっで持ち運びと収納がちょっと大変だが、これからしばらく、ヘビーローテーションになりそうな予感(写真:タナカマさん)。

ダンシングダイス(Dancing Dice / S.ソレンティーノ / ダヴィンチ出版、2004)

そーれ1,1,1!

ダイスの組み合わせでダンスの技術を競うイタリアのダイスゲーム。6つ振って、3つずつ2組に分ける。1組目から公開。強さは1ゾロ、2ゾロ、3ゾロの順で強く、あとは場のダイス目と同じというのが4番目、以降は組み合わせではなくてダイス目の合計で勝負する。参加者の半分が合格。残りはNGで体力ポイントを失う。続いて2組目も同じようにする。
 1組目と2組目を同じ組み合わせにできたり、6つ全部が同じ目だったりすると、お疲れポイントはつかない。この確率は低いが、なったらみんなから拍手をもらえるだろう。
 ポイントは1組目と2組目への振り分けだ。半分はNGなので、ならすと両方負ける可能性が高い。どちらかに気合を入れて、後は負けを覚悟で流すのがよいが、はて気合を入れるのは1組目、それとも2組目? 体力ポイントがなくなった人から脱落、生き残り。

 役が少ないので覚えることもあまりなく、短時間で盛り上がった。ただ私はダンスをうまく踊れなくて、真っ先に脱落してしまった。ダイスがちゃんとステップのシンボルになっていて、芸が細かい。

魔獣の王(King of the Beasts Mythological Edition / R.クニツィア / プレイルーム, 2004)

ポイズン、ダビデとゴリアテ再販など、軽いファミリーゲームを売り出しているプレイルームの作品。クニツィア作。もとはカバとかネズミとか、のほほんとした動物のゲームだったのが、いつの間にかドラゴンとかユニコーンに代わっていた。
 場札から取って手札から出し、リストと自分の前に振り分ける。リストにたくさん集まった動物上位3位について、自分の前にあるカードが得点になるという仕組み。リストに多く出さないとそもそも得点にならないし、でも自分の前にも出さないと得点にならない。クニツィアらしいジレンマがある。
 ただ、手札と場札によって選べる動物がどうしても限られているため、このジレンマはあまり強くない。他の人に相乗りしようにも、他の人も特定の動物を狙っているわけではないから、読みにくい。そのため場当たり的なカードプレイになるのは、ゲーマーには物足りないかもしれないが、深く考えないですむ分、ファミリー向きということだろう。

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