T.V.Flipperさんという県内にお住まいの方からメールがあり、米出さんのご自宅でゲームを遊ぶという予定を聞いた。そこでちょうど夏休みをとっていた白紙さんを誘って笠間へ。つくばからは車で1時間半のところである。11時から4時間ほど、昼ごはん抜きでしっかり遊んだ。
思うに一昨年、つくばに引っ越してきた頃は仲間を都内から呼び寄せるばかりだった。そこに米出さんと出会い、次第に県内在住の愛好者も見つけることができた。いなさそうでいるのが不思議だが、これも縁というものだろう。今年になってから期間限定でつくばに来た白紙さんも含め、近場で仲間が揃う幸せをかみしめた。
ガリレオ(Galileo / P.Lewe / W&L Spielspass, 2001)
中央の5×5のマスに天体タイルが並んでいます。これを手番につき1枚ずつめくっていきます。すると、次第に天体の状態が分かってきます。
周囲には24ヶ所の望遠鏡があります。それぞれの望遠鏡から見える天体が、どういう構成になっているか予想していきます。望遠鏡から真っ直ぐの方向に4タイル(一番奥はカウントしない)の中で、恒星が多いか惑星が多いかを予想するのです。当たればプラスポイント、外れればマイナスポイントになります。
さて、手番プレイヤーが1枚めくって次のプレイヤーに替わると、「予想してください」と宣言します。そうしたら、早い者勝ちで好きな望遠鏡に自分のコマを置いて予想します。同じ箇所への予想は2人までで、しかも2人いると先に予想した方にボーナスが入るので、すばやい判断力が求められます。
いずれかの列の4つのタイルが全てめくられると予想が当たっているかの判定をします。タイルに描かれた恒星と惑星の数を比較して判定しますが、±1までは「だいたい同じ」という中間の予想になります。得点をコマで記録して次の番になります。
ここまでのルールですと単なる運と勘のゲームになってしまいますが、非常に味わいのあるルールが付いています。それは、手番にタイルを1枚めくる代わりに、タイルを交換できるというものです。布袋があってその中に交換用のタイルが2枚入っています。交換する場合は面になっているタイルを1枚除去して、代わりに袋からタイルを出して裏向きに置きます。手番プレイヤーは袋のタイルを見ることができるので、自分の予想が当たるように置いたり、ほかプレイヤーの予想が外れるように置いたり、はたまたそういうふりをしてブラフをかけたりすることができます。でも何を置いたか忘れてしまって元も子もなくなったりすることも。
ゲームはほかのプレイヤーをワナにはめながら注意深く加点して私が1位。視認性が悪いボードが早い者勝ちの予想をうまく邪魔し、またタイル交換のルールが適度な疑心暗鬼を生み出すのがたまりません。テーマにメカニズムがマッチしていることも好感を持ちました。かなりよいゲームです。
競馬マフィア(Horse Racing Mafia / G.Suzuki / Grimpeur, 2003)
レースの前に各プレイヤーには「指令カード」が1枚配られます。ここにはどの馬を勝たせるかというシンジケートからの指令が書いてあります。勝たせることができれば莫大な報酬が入りますが、負けてしまうと海底に、もとい罰金を取られてしまいます。
それから手札が13枚。このカードは馬を進めるカードでもあり、また馬券にもなります。レースの途中で2頭の馬を予想(いわゆる連勝複式)してカードを出し、当たればこれまた、莫大な配当を手に入れることができます。しかし馬券に使うカードは馬を進めるのに使うことができず、かといって馬を進めるのに使ってしまうと馬券にならないというジレンマになっています。
さて、レースが始まると各プレイヤーはカードを1枚ずつ場に出していきます。大きい数を出せば馬は早く進みますし、小さい数ならばなかなか進みません。全員が出し終わると、手番プレイヤーが山札から1枚カードを引いて場に出します。この不確定要素も効いています。それから場札の合計で馬を進めます。
自分の応援する馬は早く進め、それ以外の馬は数字の低いカードを置いて妨害しましょう。場札は各馬2枚ずつあり、全部埋まれば前に置かれたカードの上に新たにカードを置くことができます。こうして数字はどんどん変動していき、特にゴール前のレースは白熱します。
途中で手札の状況と、馬の状況を見ながら連勝複式の馬券を出します。その際、誰がどの馬を応援しているのかもわかるので、その流れに乗って予想をかけるのがコツです。しかし中には、わざと差し馬にして一発逆転を狙っている人もいるので要注意です。
3着まで入ると1レース終了。指令カードの報酬と馬券の配当を得て次のレースへ。最終3レース目はお約束どおり、報酬・配当・罰金が全て2倍になります。ついでに指令カードも最初からオープンになって、かなりあからさまな争いを目にすることができます。
今回は連勝複式を3回とも当てるという快挙を果たした白紙さんが1位と思いきや、最終レースで一攫千金を狙った米出さんが莫大な賞金を得て1位。私は負けが込んで穴馬を狙い、さらに負けていくというドツボのパターンで唯一人の元金割れでした。
報酬と配当の計算が煩雑なことと、レース途中に手札を補充するというルールがレースゲームとしてテンポを悪くしているように感じましたが、ゴール直前のデッドヒートはかなり興奮できました。それにしてもなかなか健全なマフィアだと思います。
アウフアクセ(Auf Achse / W.Kramer / F.X.Schmid, 1987)
仕事カードには出発地と目的地、そして荷物の数と報酬額が書かれています。この仕事を競り(簡単な競りです)で手に入れたらまず出発地に行きます。そこで荷物を積み込んで目的地へ。いくつかの仕事を同時進行させることも可能ですが、トラックの積載量を超える場合は荷物を積み込むことができず、その場合はまず前の仕事を終わらせなければなりません。トレーラーを買えば積載量を増やすこともできますが、積む機会がないと無駄な買い物になりかねません。
トラックはダイスで進みます。1が出ると工事による通行止めを好きなところに置けますのでトップ目を邪魔するのに使いましょう。途中△のマスに止まるとイベントカードが出ます。ここには「奥さんの出産、次の目的地まで一気に移動」といったお得なものから、「関税を払っていないタバコが見つかり収監、1回休むか罰金」といった損なものまで実にさまざまです。
このようにして中央ヨーロッパを東奔西走し、お金を稼ぐわけですがゲーム終了の仕方がよくできています。仕事カードの場札がなくなってかつ、誰かの仕事が全部終わったらゲーム終了なのですが、そのためわざと場札を取らずにゲームを長引かせたり、逆にわざとカードを少なめにして先々に終わらせようとしたりと、思惑が絡み合います。というのも、せっかく競りで大枚を払って手に入れた仕事も、最後まで完了させなければ報酬がないまま終わってしまうからです。この損益をなくすためにも、ルートを上手に計画して無駄な仕事を引き受けないようにしなければなりません。
ゲームは終了間際に大仕事(遠方にたくさん荷物を運ぶ)を終わらせた私が1位。「フレンスブルクってどこ?」というようにドイツ語で書かれた地名にみんな苦しみました。舞台が日本だったらいいなという話をしたところ、T.V.Flipperさんが「日本全国ミケ猫トマトの配達屋さんゲーム」というパーティージョイが昔あったことを教えてくれました。調べてみるとこのゲームより先に発売されたオリジナルゲームとのこと。邪魔のしあいで全然終わらなかったそうですが、ちょっと見てみたい気がします。