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伝説の大陸の獲得競争『バールバラ』日本語版、3月17日発売

Engamesは3月17日、『バールバラ(Vaalbara)』日本語版を発売する。ゲームデザイン:O.シピエール、イラスト:F.ドナディオ&A.レノー、2~5人用、10歳以上、25分、2750円(税込)。

オリジナルはスタジオH(フランス)から2022年に発売された作品。神話上の5つの一族のいずれかを率いて、伝説の大陸バールバラで領土の拡大を目指す。

全員、部族のメンバーを表す12枚のカードから密かに1枚を選び、一斉に公開して優先順に発動する。人物カードには特殊効果があり、優先順が早いカードには他の人を有利にする効果、優先順が遅いカードには自分を有利にする効果になっている。

カード効果で獲得した土地カードにはさまざまな条件の勝利点があり、組み合わせて得点を増やす。9ラウンドで、最も多くの勝利点を獲得したプレイヤーが勝者となる。

タイミングを見計らってメンバーを派遣し、他の部族よりも広大な領土を獲得しよう。

内容物:土地カード 51枚、人物カード 60枚、勝利点トークン 75枚、ルールブック 1冊

Engames:バールバラ 日本語版

vaalbara
(写真は英語版)

Posted in エッセイ

ボードゲームと教育

(月報司法書士2023年2月号掲載)

注目される教育効果

コロナ禍のボードゲームブームでは、親子でボードゲームを遊ぶ人が増えたことが大きい。しかし子どもが遊びたいのはボードゲームよりもむしろデジタルゲームであり、コミュニケーション不足やゲーム依存を心配した親が買い与えたケースが多かったのではないだろうか。

ボードゲームの知育・教育効果は近年国内外で注目されており、家庭だけでなく学校、大学、図書館、学習塾でも導入されるようになっている。筆者は、地域の小学校のクラブ活動、学童保育、PTA行事、特別支援学級、保育士研修、コミュニティセンターや学習交流施設のイベントなどに招かれ、子ども向けにボードゲームを紹介しているが、こういうところに呼ばれるのも「ボードゲームは子どもの成長に良い影響を与えそう」というイメージがあるからだろう。

非認知能力のトレーニング

筆者は、ボードゲームで「非認知能力」を伸ばすという話をよくしている。「非認知能力」とは読み書き・計算など数値では測れない能力のことで、子どもの将来や人生を豊かにする力とされる。学校の成績はぱっとしなかった同級生が社会的に成功し、逆に成績は良かった人が今はそれほどでもないということはないだろうか。社会的成功にはさまざまな要因があるが、非認知能力がその一因になっているかもしれない。

ボードゲーム内の協力により自信・やる気・外交性・社会性・協調性が、ルールを守ることにより忍耐力・自制心・勤勉性が、負けてもめげないことにより自分を客観的に見る力や凹まない力が、戦略的思考により複眼力が、新しい手を考えることにより創造性や好奇心が養われる。非認知能力のほかにも「ジェネリック・スキル(汎用的技能)」「人間力」「社会人基礎力」「21世紀型スキル」など近年重視されている力において、学力を「覚えている知識量」や「事務処理能力の早さ」だけでなく、「主体的に学びに向かう力」として捉える動きが強まっており、ボードゲームはそのトレーニングにうってつけのものとして教員や研究者から注目されている。

遊びだから楽しい

しかしこのようにボードゲームの知育・教育効果を謳うことに対して、愛好者からは疑問の声も上がる。親や教育関係者に関心を持ってもらう方便としてなら分からなくもないが、子どもの立場に立ってみれば、親のそのような意識が見え隠れするものは、もはや遊びではなくて勉強にすぎない。ボードゲームは純粋な遊びだからこそ楽しいのではないかというわけだ。

筆者も、知育が目的になってしまわないように、家族で一緒に楽しむこと、特に親が真剣になることが大事であることを伝え、実際にボードゲームをいくつか遊んでもらってから結果として実感してもらうようにしている。親や祖父母が子どものためにボードゲームを買うならば、プレゼントして終わりでは残念ながら不十分だろう。説明書を読んで、ルール説明をして、一緒に遊ぶところまで含めてのプレゼントである。子どもにとっては、大人になってもずっと記憶に残るよい思い出になるだろう。

感情のコントロール

ボードゲームを遊ぶと、子どもも大人も感情を解放される。勝って楽しいばかりでなく、勝者がいれば敗者もいるのがゲームというもの。泣き出したり、物に当たったり、不機嫌になったりすると周囲の人が困ってしまう。

そこで筆者は子どもたちに遊ぶ前のお約束として、「ルールを守る」「ものを大切にする」と共に「負けても泣かない」と伝えているが、繰り返し遊んで勝ったり負けたりするうちにネガティブな感情をコントロールできるようになる。子どもにとって、負けても悔しさに耐え、勝った仲間をたたえることはボードゲームを通して学ばなければならないことである。

ボードゲームで負けるのは嫌だという人は大人にもいる。でも賭博でないから失うものはないし、運もそれなりにあるから諦めもつく。真剣に遊ぶほど負けるのは確かに悔しいものだが、恥ずかしいことでは決してない。ボードゲームをコミュニケーションツールと捉え、「みんなで楽しいひと時を過ごせた」というほうに意識を向けるのがよいだろう。

勝ったり負けたりを楽しむ

ただし負けてばかりでは子どもの自尊心に悪影響が出てしまうから、大人と同じように子どもが適度に勝てるよう、年齢に合ったボードゲームを選ぶことが大切だ。ここで小学校入学前のお子さんでも夢中で楽しめるものをいくつか紹介しよう。

最初は見た目が華やかで、シンプルで短いものがよい。『くるりんパニック・リターンズ!』(アークライト)は電動で飛び回る飛行機からコインを落とされないようにするアクションゲームで、1回5分もかからず、何回でも遊べる。2人で遊ぶなら、台の下にある磁石を操作して遊ぶエアホッケーのような対戦ゲーム『クラスク』(カワダ)もおすすめだ。

また大人が苦手とする記憶系も子どもは大好きである。『ナンジャモンジャ』(すごろくや)はキャラクターに自由につけた名前を憶えておいて真っ先に言うゲームで、Youtubeなどで知名度が高い。『ナナ』(モブプラス)は手札と場札から同じ数字を3つ出す記憶と推理のゲーム。順番を守れるようになったら、親子でもっと時間のかかるボードゲームにも挑戦してみよう。今は専門店やネット通販だけでなく、書店、家電量販店、ディスカウントストアなどでも販売されているので入手は難しくない。